配信日時 2021/08/11 09:00

【防衛省の秘蔵映像(27)】 ルワンダ派遣と機関銃 ─平成6年映像(2)─ 荒木肇

--------------------
=====
高速バス手配
ホテル予約
レンタカー
航空券確保
・・・
=====
 G O T O !!
↓  ↓  ↓  ↓  ↓
http://okigunnji.com/url/87/

---------------------------

--------------------------
荒木さんの最新刊

知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。

そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!

自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。

『自衛隊警務隊逮捕術』
 荒木肇(著)
 https://amzn.to/34szs2W
-----------------------------------------

こんにちは。エンリケです。

「防衛省の秘蔵映像」解説 第27回です。

愚かな政治家やマスコミ、識者たちのことば・行動・
振る舞いを振り返りながら、思うところ実に多い
です。

さっそくどうぞ。


エンリケ


メルマガバックナンバー
https://heitansen.okigunnji.com/

ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
https://okigunnji.com/url/7/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

防衛省の秘蔵映像(27)

ルワンダ派遣と機関銃
─平成6年映像(2)─

荒木 肇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1994(平成6)年の映像紹介-(2)
https://www.youtube.com/watch?v=WQTZQU1VOC4

□はじめに

 このとき、国会ではとんでもない話題で議論して
いました。部隊が携行する武器についてです。人道
救援なのだから非武装で行けと主張したのは当時の
社会党と共産党でした。政府側がそれを否定すると、
自衛用の武器というが、人を殺傷する可能性のあ
る地域に派兵するのか、だったら危険なところに行
かせるのか、憲法9条に違反すると大騒ぎです。

 大新聞も「武器携行を許さない」、「武装派兵は
戦争につながる」という記事で反対をしていました。
テレビでは、現社会党党首のF女史が機関銃の模
型の前で、「何これ?なんていうものかも知らない
けど、こんなもの持って行って何しようと言うのか
しら」と大きな声で騒ぎ、並んでいたコメンテータ
ーがみな口を揃えて賛同していたのを覚えています。

 自衛用の機関銃は1挺か、2挺かでもめました。
野党の言うことは明らかに「反対のための反対」で
した。現地に行く自衛官たちの安全のことなど何も
考えずに政府批判をするのが当時のマスコミや学界
の常識です。また、それに同調するテレビの視聴者
たち。もちろん、都合の悪い「街の声」はカットし
ます。「派兵でまた日本が悪者になる」、「9条を
何だと考えているのか」、「戦争に巻き込まれる」
という一般人もずいぶんいたようです。


▼ルワンダの内戦

 部族間対立が問題だったようです。ルワンダは1
962年までベルギーの植民地でした。そこに住む
人たちは、圧倒的な数のフツ族(84%)と少数の
ツチ族(15%)、そしてごく少数のトゥフ族(1
%)だったといわれます。独立の気運が高まるまで、
ベルギーはフツを冷遇していました。ところが優
遇されていたツチ族が強く独立を主張し始めると、
一転、フツ族を優遇するようになったのです。独立
後のフツ族からは大統領も出ました。

 1990(平成2)年頃から内戦が始まります。
フツ族はツチ族を迫害するようになり、隣国ウガン
ダへ多くのツチ族難民が流れ込みました。その難民
の中から「ルワンダ愛国戦線(RPF)」が組織さ
れ、ルワンダ軍と戦闘を交えるようになったのです


 難民はコレラや、赤痢の蔓延もあり、多くの死者
を出していました。わが国は国際連合難民高等弁務
官事務所(UNHCR)からの要請を受けて、国際
平和協力法に基づく初めての「人道的な国際救援活
動」への協力を行なうことになりました。

 この年の7月にはPRF(ツチ族)による政権奪
取があり、国連諸機関と欧米諸国の軍隊とNGOは
難民の救援活動を本格的に行ないます。

▼金だけの貢献から人も出す

 8月にはスイス・ジュネーブで開かれた難民緊急
援助会議で、日本は約3200万ドルの資金援助を
行なうこと、人的支援の必要性を検討すると表明し
ました。外務省中心の政府第1次調査団は2日から
11日まで現地におもむきます。そうして医療・衛
生・浄水作業と給水・輸送等の業務を行なうなどで
「自己完結性を持った組織」を促す報告書を作りま
す。

 自己完結性のある組織、それはわが国では陸・海・
空自衛隊しかありません。他の組織の援助や協力
がなくても活動できる。それが自己完結性です。自
衛隊を出す、そういった話がどこで、どのように決
まったかは分かりません。8月12日に官房長官が
「自衛隊の派遣を含め、あらゆる可能性を検討する」
と発言します。

 18日には連立与党は自衛隊派遣に基本的に合意。
第2次調査団が送られます。22日からのことで
した。今度は防衛庁からも調査員が加わります。治
安は悪化しているという報告がありましたが、岩垂
議員を長とする与党社会党調査団は自衛隊の派遣を
急げと指摘しました。これもまた、今から見ればど
ういうことか。

 9月13日、閣議決定がされました。ルワンダ難
民救援国際平和協力業務実施計画です。基本方針は
自衛隊の部隊等により、医療、防疫、給水、空輸等
の業務を実施するということでした。

▼指揮通信車と機関銃1挺

 陸上自衛隊は280名あまりの隊員を派遣します。
そのときに「過剰武装」だと与党社会党からも反
対意見があり機関銃は1挺とされました。素人のわ
たしにはよく分かりませんでしたが、器械は故障し
ます。素朴に、おかしなことを言うものだと思いま
した。また、自衛隊が主張した360度の全周警戒
には2挺が必要だということにも、「誰と戦う気な
んだ」などと罵声を浴びせる議員を見ました。

 装甲してある車輌は82式指揮通信車1輌だけで
した。78年度から81年度にかけて開発されたこ
の6輪車は87式偵察警戒車と同じファミリーです。
エンジンはいすゞ製の水冷4サイクルV型10気
筒ディーゼルで305馬力を発揮します。73式装
甲車などの軽合金ではなく鋼板が使われています。
化学防護車も88年に同じファミリーとして制式化
されました。いずれも小松製作所製です。

 武装は後部乗員室の右側ハッチに装備された
12.7ミリ重機関銃と、前部操縦席左側ハッチの
オプションで取りつける7.62ミリ機関銃でした。
すいぶん軽武装です。何よりの売りは強力な通信機
能でしょう。FM系、AM系のアンテナはそれぞれ
干渉しないようにフィルターが付き車体の左右に取
りつけられます。

▼部隊の業務

 自衛隊の医官はゴマ市内の病院で、主に難民キャ
ンプから運ばれてきた患者の治療を行ないました。
わが国では治療経験の少ない病気にも出合ったとい
います。緊急の夜間診療も含めて10月10日から
12月17日までの間に1日平均30名以上、延べ
約2100名にものぼった外来患者の診療も行ない
ました。また、70件以上の手術も手がけました。

 ゴマ市内にある衛生試験場では、コレラ菌に関す
る検査方法についての共同研究やマラリア原虫、便
の検査等も行ないます。野外手術システムや医療用
のテントを持ちこみ、風土病やエイズの感染の危険
の中で隊員たちは奮闘します。

防疫にも努めました。10月13日から12月11
日まで、難民キャンプの共同トイレなどの消毒、シ
ラミを駆除するための薬剤をキャンプに輸送しまし
た。また、現地のスタッフにマラリヤの予防や、シ
ラミ駆除の普及教育も行ないます。排水設備の整備
がされていないので環境は不潔になっていました。
水はけをよくするための排水設備の造成も自衛隊の
仕事でした。

キブ湖という大きな湖がありましたが、水の汚染は
ひどいものでした。スウェーデンの給水チームから
機材を引き継いで、10月20日から難民への給水
活動を始め、12月17日までに1日平均1200
トン、合計で7万トンの給水を行ないます。

▼評価された空輸

 空輸派遣隊は航空自衛官とC-130H輸送機が
行ないました。ケニアのナイロビとゴマの間は片道
約1000キロメートル、隊員や補給物資の輸送を
やり遂げます。国連職員や救援活動を行なうNGO
の要員や、その物資の輸送もしました。98便を運
航し、延べ3400名もの人員を運びます。人の中
には約900名のNGO要員も含まれました。物資
は約510トンで国連からの要請された物資はその
うちの40%も占めました。

 ゴマの空港の整備状態はひどく悪く、滑走路の様
子もひどいものでした。地上からの管制も不十分で
したが、わが航空自衛隊の隊員は無事故で任務を達
成しました。そして日本からナイロビまでの物資輸
送に初めて、ロシア製の大型輸送機アントノフ12
4がチャーターされたことも話題になりました。

▼何でも批判のマスコミ

 現地で事件が起きました。日本人の医療NGO構
成員が武装集団の襲撃に遭いました。意図は不明で
すが、なんらかの効果をねらっての襲撃でした。こ
れに対して難民救援隊指揮官は、構成員の輸送を行
ないます。ふつうに考えて当たり前の自国民保護、
救援のために部隊は出たのですが、これが日本国内
ではたいへんな非難にさらされました。

 こうした状況と対応案は国際平和協力法にも、現
地部隊の実施計画にも明文化されていなかったので、
マスコミからは大変な非難を浴びました。では、
どうすればいいのか、海外で不慮の事故、暴徒に襲
われたり、武装勢力に攻撃されたりしたら日本人は
座して死ねというのでしょうか。いや、もともとそ
んな危険な所に行くなというのでしょう。

 こんなバカな話が、30年前のわが国にはいくら
でもころがっていました。そうして、30年前にと
んでもないことを言っていた人たちが、いまも言論
界やマスコミにいるのです。

 

(つづく)


(あらき・はじめ)


☆バックナンバー
 ⇒ https://heitansen.okigunnji.com/
 
荒木さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/
 
 
●著者略歴
 
荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
 
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
 

『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
 https://amzn.to/31jKcxe


 
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。

----------------------------------------------
-
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
      (代表・エンリケ航海王子)
メインサイト:https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:https://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:okirakumagmag■■gmail.com
(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------
 
 
 ●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
 
 
--------------------
ビタミン、ミネラル、サプリメントなら
↓  ↓  ↓  ↓  ↓、
http://okigunnji.com/url/108/
※↑は5パーセント割引専用URL。利用者多数

---------------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。

Copyright(c) 2000-2021 Gunjijouhou.All rights reserved