配信日時 2021/08/09 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(136)】幼稚園のバス事故と危機管理

おはようございます、エンリケです。

今週もどうぞよろしくお願いします!

136回目の美佐日記。

さいきん、荒谷卓さんのYoututube動画に
はまっています。

学生時代のすさまじい武勇伝など、
まさに「伝説的英雄 (Hero ,Legendary...)」の名に
ふさわしい方ですね!

さてきょうの記事を読みながら、
子供までもが金勘定の道具になってしまった
今の日本を感じました。

文中の
<パニックになっていて、何をしたらいいのか判断
できなかったようです。>
に、今の日本人多数の核を見た感を持ちます。


桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
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ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。


エンリケ

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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(136)

幼稚園のバス事故と危機管理

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年7月の今回
は136回目となります。

最近、友人の長男が幼稚園に入園しました。初めて
スクールバスに乗る日、行きたくないと泣く息子を
バスに乗せ、窓越しに手を振りながら彼女も思わず
泣いてしまったそうです。

その話を聞いたばかりだったので、福岡県で起きた
園児のスクールバス置き去り死亡事件にはショック
を受けました。友人たちも皆、この事件に衝撃を受
けています。

思い出したのは、東日本大震災でのことです。石巻
市の日和幼稚園のバスは大津波警報が出る中で海の
方面に向かってしまい、乗っていた5人の幼い命が
奪われました。

私はこの出来事についてのラジオドキュメンタリー
制作に携わったため、本当にやり切れない思いでし
た。

出発したバスは渋滞に巻き込まれ津波にのまれます。
しかし、その時まだ園児たちは生きていたことが
分かっているのです。

津波が引いてから「助けて、助けて」という声がず
っと聞こえていたという証言があり、近隣の人たち
が確認しようとしたものの、バスはガレキの下にあ
り発見に至りませんでした。

声は深夜まで聞こえたといいますが、その後、火災
が発生し、子供たちは焼死したのです。

火災発生まで10時間はあったといわれ、その間に
救助活動が行われていれば助かったのではないかと
いう思いをご遺族はずっと持ち続けています。

バスの運転手は津波にのまれ意識を失ったものの、
気がつくと車の外に投げ出されていたということで
無事でした。

この運転手さんはその後、幼稚園に戻って状況を園
長に伝えましたが、捜索活動は行われませんでした。
パニックになっていて、何をしたらいいのか判断
できなかったようです。

ずっと子供を探し回っていた親御さんたちがバスを
見つけ、焼け焦げた娘を確認することになります。
その時のことを語ってもらったインタビューを、何
度も何度も聞いたこともあり、この事案は私にとっ
ても他人事とは思えないものです。

こうした幼稚園のバス事故から、頭をよぎるのは「
国民保護法」との関係です。

同法では、国民保護計画の作成を学校、病院や公共
機関などに義務付けていますが、幼稚園はどうなん
でしょうか。公立なら適用されているのかもしれま
せんが、私立はどうなのか?など疑問が浮かびます。

そもそも計画を作っても、金庫にしまい込んで見た
こともなかった、などと災害が起きた後などによく
証言されていて、当然、作成するだけでなく訓練と
見直しが必須であることは言うまでもありません。

しかし、それすら存在せず、緊急時のマニュアルも
ないとなれば、大きな問題ではないでしょうか。

親は全面的に信頼してバスに乗せ幼稚園にわが子を
預けるわけですから、本来は相当な危機管理をしな
ければならないはずですよね。有事に備えることも
必要な務めです。

さらに言えば、基本計画を策定しても、それに対す
る評価がなされないと、よくできたものなのか、全
くダメなのか分からないままになってしまい、これ
も何らかの審査があってもいいのではないかと思い
ます。

訓練を実施することで自らレビューすることが理想
的でしょうけど、なかなかやらないでしょうから・・。

退官した自衛官の方がスクールバス・ドライバーに
なるケースも多くありますので、自衛隊で身に付け
られた危機管理ノウハウが活かされることも期待し
たいです。

また、幼稚園を選ぶ際も、危機管理面をよく見ると
いう視点が重要ではないかと、今回の事故から改め
て感じています。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
皆さんにとって素敵な1週間となりますように!


<おしらせ>
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業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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