こんばんは、エンリケです。
一昨年と去年にお届けしたシリーズ
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
のつづきをお届けしています。
過去配信した内容はこちら
http://okigunnji.com/watanabe/category1/category45/
きょうは福一出動時の話です。
国防軍事自衛隊への国家国民の無知は、国を亡ぼす。
改めてそう思います。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪がはじまっています。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、大会全般の支援に当たっている
わが自衛隊に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/
ご意見・ご感想はコチラから
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『ライター・渡邉陽子のコラム (335)』
神は賽子を振らない(14)
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こんばんは。渡邉陽子です。『PANZER』で連載中の「神は賽子を振
らない第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」、今回からは原発対応の
話にうつります。読んでいただきたいですが、今週はちょっとイラ
っとされるかもしれません。「爆発的事象」と嘘の発表をし、かつ
自衛隊にまで事実を伝えようとしなかった政府や東電、原子力保安
院……こらえて読んでいただければ幸いです。
『PANZER』9月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第29回が掲載されています。在日米陸軍による支援や、
増援部隊撤収時期についての苦言などに触れています。
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『丸』9月号の「世界の軍備」ページに「自衛隊の東京オリンピッ
ク支援」が掲載されました。1964年、自衛隊創設から約10年という
時期に行なわれた支援と今回の支援の違いについて紹介しています。
五輪で化学兵器を用いたテロが発生したら…などにも触れました。
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『正論』9月号「われらの女性自衛官」、今回は海上自衛隊東京音
楽隊のピアニスト、太田紗和子1曹です。太田さんを初めて取材し
たのは彼女が入隊2年目のとき。ピアノだけでなく人柄もとっても
素敵な方です。自衛隊の全音楽隊で、ピアニストとして採用されて
いるのは彼女だけです。
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雑誌記事のお知らせです。
『PANZER』9月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第29回が掲載されています。在日米陸軍による支援や、
増援部隊撤収時期についての苦言などに触れています
。
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ク支援」が掲載されました。1964年、自衛隊創設から約10年という
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五輪で化学兵器を用いたテロが発生したら…などにも触れました。
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楽隊のピアニスト、太田紗和子1曹です。太田さんを初めて取材し
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■神は賽子を振らない(14)
東日本大震災の災害派遣とそれまでの国内で発生した天災における
災害派遣との決定的な違いは、地震と津波という大災害への対応だ
けでなく、福島第一原子力発電所の事故という複合事態による二正
面作戦だった点にある。
しかも原発対応は計画で定められた自衛隊の任務を超えた活動であ
り、必然的になにもかもが手探り状態の過酷な任務となった。陸上
幕僚長である火箱も、否応なくその渦中に身を投じることとなった。
3月11~13日
3月11日19時30分、自衛隊に原子力災害派遣命令が発令された。任
務は原発周辺地域の避難者などの輸送支援や給食・給水支援などで、
通常の災害出動とさほど変わりない。
このとき、原子力災害対策本部から入ってくる情報は「交流電源喪
失、非常用ディーゼルエンジン停止。ただし、心配なし」という程
度のものばかりだったから、火箱は「そうか、心配ないんだな」と
ほとんど気にもとめなかった。
20時に郡山の部隊に「原発に自衛隊の電源車の運搬依頼がありま
した」という報告があったときも「ヘリで運べるか、電源車の重さ
を確認しろよ」と言った程度で、火箱の頭は地震・津波による被災
者の救助に集中していた。ひとりでも多くの人を助けるために、発
災後の72時間はまさに時間との戦いだったからだ。
それにこの日は政府から、防衛省・自衛隊への原発関連の要請はな
く、現地の部隊への依頼だけだったから、福島第一原発が深刻な状
況に陥りつつあるとはまったく思っていなかった。
3月12日、東電から郡山の部隊に再び要請があった。今度は冷却水
を注入して欲しいという。どのくらい必要か聞くと、5トンの放水
車1台でいいらしい。そのボリュームならば現地の部隊だけで対応
できるので、火箱は「現地で要請に応えてくれ」と返した。それが
朝9時のことだ。
15時36分、「1号機が爆発した」「東電の社員が負傷した」という
情報が入ってきた。テレビでは枝野幸男官房長官(当時)が「爆発
的事象」という妙な日本語を発していた。
この爆発が水素爆発だったと知るのは後のことで、これは枝野官房
長官の嘘、ごまかしだった。
この時点では、火箱はもちろん、自衛隊は「原発は政府と東電でな
んとかなるだろう」と思っていた。実は負傷した東電社員のそばに
隊員もいて、負傷した東電社員の搬送を手伝っていたのだが、火箱
にはその報告を受けた記憶がない。しかも、政府も東電もパニック
を招いてはいけないという危惧があったのか、差し迫った情報は防
衛省には入ってこないし真意も伝わってこない。火箱が今ひとつ原
発への危機感を抱けなかったのには、こうした背景があった。
ただ、オフサイトセンターから福島の部隊への輸送要請が多いこと
が気になっていた。そこで13日8時、輸送力強化のため、統合幕
僚監部は中央特殊武器防護隊と東北方面隊の輸送隊を郡山に派遣す
る指示を出した。
13日には陸海空自衛隊の一元的な統合運用のため「災統合任務部隊」
(JTF東北)が編成されることになり、14日に北澤俊美防衛大臣と折
木良一統幕長が仙台で君塚栄治東北総監に統合任務部隊指揮官の辞
令を交付することになった。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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