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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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こんにちは。エンリケです。
「防衛省の秘蔵映像」解説 第25回です。
今回の記事では、
なんといってもふーみんですw
実に懐かしいです。
それにしても「さきがけ」という政党の持っていた
悪辣さは想像を絶していますね。より深い事情を
知りたいものです。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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防衛省の秘蔵映像(25)
海外派遣ますますの進展
─平成5年映像─
荒木 肇
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1993(平成5)年の映像紹介
https://www.youtube.com/watch?v=KFhAKAU2Q_8
□はじめに
この年は政治では大きな変化が起きた年でした。
自民党と社会党の対立があり、ただし自民党がずっ
と政権を取り続けるという「55年(昭和30)体
制」が大きな音を立てて崩れたのです。日本社会党
はいっとき土井たか子委員長によって「マドンナ旋
風」という流行語を生みだすほどの勢いがありまし
た。
ところが、湾岸戦争での「派兵反対」、「海外侵
略の始まり」というような過激な反対、それでいて
具体的な施策も提案できないといった醜態を見せて
しまいます。では、自民党ならどうなのか。多くの
国民は自民党にも期待をしていませんでした。それ
が自民党からの多くの脱退者を出し、非自民、非共
産の連立政権を生んだ元になりました。
では、1991(平成3)年、ソビエト連邦が消
滅してからの国際情勢を見直しておきましょう。前
年にはペルーで日系人フジモリ大統領が誕生しまし
た。先日、そのお嬢さんが大統領選挙で負けたこと
が報道されています。ドイツが統一されたのもこの
年です。92(平成4)年には欧州連合(EU)が
結成されました。
ユーゴスラビアは、独立した5つの共和国になりま
す。クロアチアでは内戦が始まり、ボスニア・ヘル
ツェゴビナに戦火が波及しました。この内戦は泥沼
化していきます。東アジアでは中国と韓国が国交を
樹立しました。1989(平成元)年の中国の民主
化弾圧運動、天安門事件から世界中の攻撃を受けて
いた中国に手を差し伸べ、経済的な結びつきを強く
してきたのです。
アフリカでも内戦と飢餓がソマリアを襲っていまし
た。国際連合安全保障理事会はこれに介入するため
に多国籍軍を編成し、主力のアメリカ海兵隊が先陣
を切ります。
▼細川連立政権、短命に終わる
今は神奈川県湯河原市で茶人、芸術家として活動
する細川護煕(ほそかわ・もりひろ)氏をご存じで
しょうか。氏は元熊本藩主細川公爵家に生まれ、朝
日新聞記者を経て政治家になりました。1938(
昭和13)年生まれですから、この年はまだ55歳
でした。自民党政治を批判する「日本新党」を立ち
上げます。他に羽田孜(はた・つとむ)氏(193
5~2017年)は「新生党」、武村正義氏(19
34年~)は「さきがけ」を造り、それぞれに反自
民の支持者を増やしてゆきました。興味深いのは現
在の立憲民主党の枝野氏、国民民主党の前原氏が、
武村氏の「さきがけ」にいたことです。
8月9日に連立政権は成立、細川政権は翌年4月
28日まで続きます。このときの閣僚の出身分布が
面白い。社会党が6人、公明党が4人、新生党が5
人、民主社会党・さきがけ・社会民主連合が各1人
そして民間からの登用が2人という内訳です。
この政権は発足直後、世論調査では71%もの高
い支持率を取りましたが、なんと短命内閣に終わり
ました。細川氏の献金疑惑などもあり、政権運営も
下手だったそうで、小沢一郎民政党代表幹事に言わ
せると「素人が政権取ったのだから仕方ない」のだ
そうです。
また、北朝鮮の核疑惑が出ました。このとき、社
会党や武村氏の率いる「さきがけ」は北朝鮮に融和
的態度をとってきたと警戒されています。事実、社
会党の首脳部は北朝鮮特殊機関による日本人拉致事
件を「空想的、あり得ない」と否定したことが分か
っています。のちに北朝鮮最高指導者が自ら拉致を
認めたときには、そのことをすっかりとぼけていま
した。
▼自然災害続く
雲仙天草普賢岳噴火による災害派遣は3年目に入
りました。長崎県大村市の第16普通科連隊長のイ
ンタビューが聞かれます。また、7月には北海道奥
尻島に巨大津波が襲い、その後の大火でも住民は犠
牲者も含め、大きな被害を受けました。航空自衛隊
偵察機RF-4Eが被害状況を画像、映像でとらえ、
海自の哨戒機P-3Cも救援に向かいました。
9月には台風13号が九州に上陸し、鹿児島では
48人の方々が亡くなります。給水支援、泥まみれ
になって救援活動を行なう陸上自衛官がいます。
またこの年は戦後最悪の凶作が報告され、米不足
で買占めや隠匿、緊急でアジア産の米を輸入すると
いった事件がありました。
▼親しまれる自衛隊に
細川ふみえさんという美女タレントがおられます。
彼女が「わたしの父は自衛官です」と海自の制服
の脇に立たれました。どうも、自衛隊は遠慮深く、
家族もまた自分の身内に自衛官がいると胸を張って
他人に言えなかった時代でもあるのでした。
じっさい、高校の先生から授業の中で「自衛官に
なるなんて」と満座の中でバカにされた志願者の話
も聞きました。何よりひどかったのは小学校や中学
校の授業で、「憲法違反の自衛官の子供」と辱めら
れたことがあったという思い出です。どちらも当人
ばかりではなく、周囲で確かに聞いたという証言な
ので事実だったと思います。
いまになると、へえそうだったのですかという方
も増えましたが、当時はけっこうそんな気分が世間
にはありました。そんなことから「フーミンて自衛
官の娘だったんだ」ということを前向きに広報しよ
うと思ったのでしょう。
その流れの中に、防衛庁の広報誌「セキュリタリ
アン」が創刊2年目になります。素顔の自衛隊を知
ってもらいたい、そういう気持ちがよく分かる内容
です。いまや死語になったと思われる「乙女(おと
め)の自衛隊生活」などと柔らかい印象を与えよう
としています。
▼カンボディアの派遣続く
カンボディアでは22年ぶりの総選挙が行なわれ
ます。そこで悲劇も起きました。選挙を妨害するた
めにポル・ポト派が攻撃をしかけてきたのです。投
票所を管理する文民たちへの攻撃が予想され、自衛
隊は何ができるかという谷間に落とされます。自衛
隊は襲われるのではないかと予想されても警護はで
きません。自衛隊ですから正当防衛とされる行動し
かとれません。誰かが撃たれてから撃ち返すことし
かできないのです。
もし、自衛官が誰かを、それがポル・ポト派であ
ろうと撃ったら、帰国させて殺人や傷害罪で訴えて
やる、そうして自衛隊を解散に追い込んでやるのだ
という「人権派弁護士」もいました。わずか30年
前のことです。海外での武力行使にあたるからだそ
うで、マスコミには多くのこうした論者がいました。
この年にはもう1か所、国際連合活動のために自
衛官が派遣されました。アフリカ南東部の旧ポルト
ガル植民地だったモザンビークです。反体制派の武
力蜂起で大混乱がありました。ソ連・中国の援助を
受けた共産主義勢力が政権を奪おうと戦ったのです。
経緯は複雑ですが、ようやく戦乱が終わり、国際
連合は荒れ果てたモザンビークの復興のために多く
の援助を行ないます。
自衛隊は輸送統制などのために人を送りました。
45名が活躍しました。
▼まあなんとなくおざなりな訓練の映像紹介
この頃、続々と新しい装備が開発されて配備が始
まります。制式化というのはテストを受けて量産に
かかることができる、政府が発注するということを
意味します。だから、90式戦車は1990年に制
式化されましたが、部隊に実際に配備されて使われ
るのは少し遅れます。
訓練の様子はこれまで通り映像に登場しますが、
細かい説明もなく、ただ流されるだけです。
装備は、その使われるべき方面、どのように使わ
れるかを十分に考慮して計画されます。たとえば、
古い話ですが64式小銃の正照準という距離は30
0メートルです。照準器をいじらずに狙えるのは3
00メートルとなります。それより近いか、遠いか
で照準器の調整機能を使って目盛りを変えるのです。
この300メートルという数字は、開発研究の当
時に決まったものでした。日本中のあらゆる地点に
小銃をもたせた自衛官を置く。もちろん架空の話で
すが、そこから周囲の状況を見渡して、その視界を
考えてみます。あるダミーは東京銀座の雑踏にいて、
隣のビルが最も近いところになる5メートルかも
知れません。また別のダミーは長野県八ヶ岳山麓の
高原地帯で視程が500メートルだということにな
ります。それを積算していって、平均300メート
ルが決まったという話を聞いたことがあります。つ
まり64式小銃はあくまでも国内を主に使われるこ
とが想定された装備といえます。
▼90式戦車を中心にした諸装備
90式戦車が搭載した砲は、ドイツのラインメタ
ル製の砲身長44口径120ミリ滑腔砲はやはり当
時の西側諸国(ソ連崩壊前の言い方)の標準装備で
す。2000メートルの距離でソ連の主力戦車T7
2の正面装甲を撃ち抜くことができました。
この前後に制式化された装備は、多連装ロケット
システム・MLRS、89式装甲戦闘車、87式偵
察警戒車、87式自走高射機関砲、87式地雷散布
装置、87式対戦車誘導弾、88式地対艦ミサイル、
120ミリ迫撃砲RT、91式戦車橋、92式浮
橋(ふきょう)、92式地雷原処理車、対戦車誘導
弾TOW、携帯対空誘導弾スティンガー、91式携
帯対空誘導弾、そして89式小銃などなどです。ま
た、4年度予算では従来のOH-6に代わるOH-
Xの試作が始まります。
このように、平成の初めの装備は、とにかくソ連
軍の北海道侵攻に備えたものでした。第7師団(機
甲師団)の対空装備は87式自走高射機関砲、歩兵
は89式装甲戦闘車に乗って75式自走155ミリ
榴弾砲が掩護、90式の戦車連隊が3個となります
。施設科には戦車橋や浮橋があります。地雷原の突
破には専用の処理車。そうして北海道の特科団(砲
兵旅団)は203ミリ自走榴弾砲やMLRSの鋼鉄
の雨を降らせる。
そして翌、平成6年には自衛隊40周年を迎え、
アフリカ・ルワンダのゴマ宿営地での難民支援に自
衛隊は臨みます。そうして村山富一氏の首相就任。
社会党のそれまでの「憲法9条堅持・自衛隊否定」
を180度転換する変節。阪神淡路大震災での初動
の不手際には「なにぶん、初めてのことだったから」
という弁解。社会党の凋落が始まります。
来週はその波乱の1994年の映像です。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
https://amzn.to/31jKcxe
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ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
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心から感謝しています。ありがとうございました。
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