━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
E-mail
hirafuji@mbr.nifty.com
WEB
http://wos.cool.coocan.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
https://amzn.to/3gGpNcq
※大好評発売中
武器オンチの日本人には
特におススメです。
冒頭文にある、
将来の日米同盟を考えるうえで、
アメリカの「隠された脆弱性」を見抜いておく必要
がある、
との趣旨の指摘は極めて重要です。
さっそくどうぞ
エンリケ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
ロシアをも狙う中共の中共のスパイ活動(1)
静粛性に優れたロシアのミサイル原潜の情報を窃取
加藤喬(元米陸軍大尉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□軍の存在意義を危うくするCRT系訓練
1980年代後半、米陸軍で新兵訓練を受けまし
た。読者諸氏も映画などでご存知のとおり、坊主頭
にされ野戦服をまとい、四六時中、集団の一員とし
て行動することを叩き込まれます。娑婆(民間人の
自由な社会)で沁みついた個人のアイデンティティ、
出自意識、社会通念、信条、規範などを一掃するた
めです。もちろん兵士とて個人。性格や性向は千差
万別です。しかしそういう差異をいっとき無視し、
チームとして任務を遂行する術を学びます。
過酷な環境下で助け合う新兵らは徐々に団結心を
つちかい、卒業時には、軍服の左胸に縫いつけられ
た US Army(米陸軍) タグを心から誇るようになり
ます。軍隊は米社会で最も信頼されている政府組織
であり、軍人は貴(たっと)ばれる職業。その背景
には「名誉、任務、国家」を「私」に優先させる古
き良きアメリカの伝統があります。
その米軍に、昨今、批判的人種論(CRT)が浸潤
しているとの不穏な情報があります。「反人種差別
や多様性尊重、少数派包含を名目に、肌の色の違い
をことさら強調するトレーニングが常習化している」
と警鐘を鳴らすのはダン・クレンショウ下院議員。
彼はエリート部隊である海軍特殊戦部隊シールズ
の元少佐。アフガン戦争3度目の参戦で右目を失っ
た英雄であり戦傷復員兵です。退役後、議員秘書を
経て2018年下院議員当選。以来、この「片目の戦士
議員」は共和党保守派の星として注目されています。
クレンショウ議員は400件に及ぶ信ぴょう性ある内
部告発の一例として、「テキサス州ブリス陸軍基地
で行なわれたCRT系トレーニングに際し、兵士らが
人種や民族性、社会階級などを記したタグを付ける
よう強要された」と報告しています。
この訓練はアイデンティティ政治が好んで用いるイ
ンターセクショナリティの応用で、「人種」「出自」
「性別」など、個人が持つアイデンティティの組
み合わせによる社会的特権を指弾する目的がありま
す。つまり、「白人」「男性」兵士を「白人特権の
受益者」としてふるい出し、加害者としての罪悪感
を植え付ける訳です。同時に「黒人」「女性」「ア
ジア系」など少数派アイデンティティを持つ兵士ら
には被害者意識を煽ります。
前述の通り、本来軍事トレーニングとは兵士同士の
信頼関係を築き、仲間意識をつちかい、同胞愛を奨
励するために行なわれます。ならば、将兵に「でっ
ち上げられた差異」を押し付け、相互不信と敵愾心
を抱かせるCRT系訓練は本末転倒。民族や出自に関わ
りなく力を合わせ、「戦争に勝つ」という軍の存在
意義を危うくするものです。
何より不可解なのは、大統領の筆頭軍事顧問であ
るアスペン国防長官(退役陸軍大将)とミリー統合
参謀本部議長(現役大将)らがそろってCRTを容認
している事実です。彼らが発しているのは「祖国と
軍のために命を捧げよ。しかし、アメリカは本質的
に人種差別国家であり、米軍は過去に差別を制度化
してきた組織」とのメッセージ。
「恥ずべき差別国家のために殉ぜよ」。この矛盾が
将兵の士気を著しく低下させることは、大尉で除隊
した自分にも分かります。いわんや軍の最高位に登
りつめた2人が軍内部に拡がる自虐史観を諫(いさ)
めず、CRTの広告塔と化したバイデン最高司令官の
意向を忖度しているのなら、両氏の態度は国と軍隊
への背信行為でしょう。
米首脳部がCRTに触発された反米思想を容認・奨
励している現状は、アメリカにとって自爆行為。
逆に習近平国家主席とウラジミール・プーチン大統
領にとっては望外の敵失でしょう。
明日の日米同盟を構築するに際し、日本の政治家
諸氏はこういった米国内事情を正確に把握し、「兵
器の質と量」だけでは測りきれないアメリカの「隠
された脆弱性」を見抜く必要があります。日本国の
存立を盲目的にアメリカに託するのは亡国の政治で
す。
▼静粛性に優れたロシアのミサイル原潜の情報を窃
取
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
中国共産党が他国の知的財産権を日常的に無視す
ることはよく知られています。米国家安全保障局に
よれば、中共は年間3万件のサイバー攻撃をアメリ
カの軍需産業に対して行なっており、うち500件は
極めて重大な情報漏洩ケースだと言います。
同局は、日本でも配備が始まったF-35ステルス
戦闘機の主要構成部分の情報が中共によって盗み出
された事例を挙げています。本ビデオは、さらに日
本や欧米諸国のみならず、体面上は友好国であるロ
シアに対しても同様のサイバー・スパイ活動が行な
われていると指摘します。
今回から数回にわたり、ロシアのどのような兵器が
中共のスパイ活動の対象になっているのか、そして
、それを許したロシア側の背景について考察します
。中共によるサイバー攻撃のパターンを検証するこ
とは、日本の安全保障を強化し、従って、抑止力を
高めることになるからです。
ルビーン海洋工学中央設計局は1900年代から潜水艦
の設計開発と建造を行なってきた権威ある官営設計
局です。現在ロシア海軍が運用する原潜の大半を設
計した実績があります。強力な対水上打撃力を誇る
巡航ミサイル潜水艦オスカー級や世界最大のミサイ
ル原潜タイフーン級、そして最新鋭のボレイ型ミサ
イル原潜も同設計局が手がけました。
ボレイ型は一隻で米国に壊滅的な打撃を与えるに足
る核ミサイルを装備し、また、静粛性に優れたポン
プ・ジェット推進方式を採用。ステルス性を重視し
た船型と相まって、本艦を探知するのは極めて困難
だとされています。
こういったボレイ型ミサイル原潜の特性に目をつけ
たのが中共の人民解放軍海軍。太平洋の覇権を米海
軍と争うためには、これまでの沿岸海軍から外洋海
軍に脱皮する必要があるからです。
中共のサイバー部隊はスピアー・フィッシングと呼
ばれる手口で、ルビーン設計局の最高責任者本人の
コンピューターに侵入を試みたとされています。2
019年4月30日のことです
教材ビデオ:
(2) Russia's Rubin Design Bureau - designer o
f submarines attacked by potential Chinese esp
ionage! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=eSGteRdEQgI
(本エピソードは2:21から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Subtle(サトル)控えめな 繊細な 微妙な
Rampant(ランパント)蔓延した 荒々しい
Notable(ノータブル)目立った
シナリオ(カウンターを3:24に合わせてくださ
い)
The efforts against Russia are a bit subtle in
nature and a little less rampant. The attack
on Rubin is particularly notable since China
plans to increase the overall size and capabil
ities of its submarine fleets.
(欧米諸国に対するスパイ行為に比べると、ロシア
に対するものは控えめで、多少は激しさに欠ける。
が、ルビーン海洋工学中央設計局に対するサイバー
攻撃は特に目立った。というのも、中国は人民解放
軍海軍が有する潜水艦隊の規模と能力を向上させる
計画だからだ)
It is especially looking to introducing quiet
er nuclear-powered ballistic and guided missil
e submarines.
(中国はより静粛性に優れた弾道ミサイル及び誘導
ミサイル原潜を導入しようとしているのだ)
(今回のエピソードは3:43まで続きます)
英語一言アドバイス:
subtle は「微妙な」「捉えにくい」「控えめな」
という意味です。たとえば、「中国共産党を敵と
呼ぶか競争相手と呼ぶかには、微妙な差がある」
と言うなら、Calling Chinese Communist Party a
competitor is subtly different from calling
it an enemyになります。
発音サイト:
subtleの発音 subtle - Google Search
https://is.gd/TQFfS6
参考サイト:
ルビーン海洋工学中央設計局 ルビーン海学中央設
計局 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E8%A8%AD%E8%A8%88%E5%B1%80
ボレイ型弾道ミサイル原潜 ボレイ型原子力潜水艦
- Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%82%A4%E5%9E%8B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
追記
『ミニミ軽機関銃』
https://amzn.to/3gGpNcq
※大好評発売中
「MP5サブマシンガン」
http://okigunnji.com/url/14/
※大人気継続中
『AK-47ライフル』
http://amzn.to/2FVniAr
※根強い人気
『M16ライフル』発売中♪
http://amzn.to/2yrzEfW
『ガントリビア99』発売中!
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633456/
『アメリカンポリス400の真実!』発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633405
『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
---------------------------------------
日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
----------------------------------------
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------
配信停止はコチラから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
----------------------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権はメー
ルマガジン「軍事情報」発行人に帰属し
ます。
Copyright (C) 2000-2021 GUNJIJOHO All rights reserved.