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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
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※大好評発売中
武器オンチの日本人には
特におススメです。
加藤さんの冒頭文は、
今のわが国では得難い
真実
を伝えてくれます。
一人でも多くの日本人に
伝えたい内容です。
さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
米空母を無力化するロシア軍兵器(8)
中国に対する究極の抑止力としてのロシアの核
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□成功の機会が均等に与えられる国、アメリカ
アラスカ大時代、授業とROTC(予備役士官訓
練部隊)訓練の間をぬって言語学教授のアシスタン
トをしていました。彼は韓国からの移民。渡米後、
時をおかずに博士号を取り正教授にまで登りつめた
人物です。
アメリカンドリームの実践者として、日韓をはじ
め多くの留学生たちに慕われていました。一足先に
米社会で活躍する先輩移民を間近にし、私も一度な
らず勇気づけられたものです。
卒業して陸軍少尉に任官。胸を高鳴らせて初任地
に向かったまではよかったのですが、早々にして大
隊長から「キミの英語にはアクセントがある」と叱
責される始末。意気消沈した私に指南役の中隊長は
「あの中佐、ここでは知られたマイクロ・マネージ
ャーなの。いつも説教を垂れないと気がすまないタ
イプ。でもあなたの英語は上手だし、気にしないこ
とよ」と理解を示し、そのうえ「カトー少尉、ソウ
ル・フードって知ってる? 南部の伝統的な黒人料
理。こんど主人と作るから食べにいらっしゃい」と
まで言ってくれました。
出だしで躓(つまづ)いた新米少尉を気遣ってく
れた黒人女性大尉には、数十年が過ぎた今も感謝の
念を禁じ得ません。
さて、連日紙面を賑わす批判的人種論(CRT)
によると、アジア系と黒人は「アメリカの制度的差
別社会に抑圧されてきた被害者」だそうです。しか
し、私の体験は違います。
1979年以来、私が知己を得てきた少数派の人
々には「被害者意識」など微塵もなく、前述の教授
と大尉のように、皆、独立独歩の気概と自民族への
矜持をみなぎらせていました。希望の土地アメリカ
で「生命、自由、幸福追求の権利」を体現した愛国
者でした。
この国で人生の半分以上を過ごした私も「アメリカ
は自由と機会均等の国」だと断言します。もちろん、
誰もかもがイーロン・マスクやビル・ゲイツにな
れるわけではありません。しかし身の丈に合った目
標を立て、勉学と仕事に邁進し、自由と権利を行使
する際の言動に責任を持つ限り、充実感と満足感の
ある暮らしが実現できます。
人種や出自に関わりなく、成功の機会が均等に与え
られる国となると、私が知る限りアメリカしかあり
ません。
先週とりあげたイーブラム・ケンディ教授などC
RTやアイデンティティー政治の信奉者は「奴隷制度
の上に建立された人種差別国家アメリカ」と、その
資本主義体制や自由競争社会の解体を目指していま
す。
確かに19世紀当時、奴隷制度を支持する南部連合
の指導者アレキサンダー・スチィーブンスは「白人
と黒人は平等ではない。奴隷制度とは黒人が優越人
種である白人に従属することであり、彼らにとって
自然かつ正常な状態なのだ」と公言していました。
奴隷制度が当たり前だった時代の発言とはいえ、人
道的に嫌悪感を催す思想です。しかし同時期、アブ
ラハム・リーンカーン大統領は「奴隷制度は道徳的
に許されるものではない」と確信していました。だ
からこそ、アメリカ合衆国から分離独立した南部連
合国と開戦したのです。
1861年から4年の長きに渡った南北戦争は、したが
って、黒人解放のために行なわれた米国の内戦だと
いえます。むろん何をもってしても、「奴隷制度は
アメリカの恥辱」との厳然たる事実を米国の記憶か
ら拭い去ることはできません。同時に、アメリカが
将兵・民間人合わせ90万人という米史上最悪の犠牲
を払い、黒人老若男女400万人を解放したのも史実。
とすれば、南北戦争の意義を意図的に無視するCRT
は虚偽であり、亡国のイデオロギーに他なりません。
昨今、古き良きアメリカを擁護する保守派の旗色
がよくありません。先日も、300万人の教職員を擁
する米最大の教員組合がCRTの主張を公式に承認し
ました。リベラル化した米教育界が意味するところ
は三つ。
第一に、幼稚園から高校まで、多くの教諭がすで
に祖国を憎む倒錯の心理、すなわち、自虐史観に染
まっていること。
第二に、これらの教諭が「米国イコール差別国家」
との反米プロパガンダを児童生徒の心理に埋め込み、
CRTの予備軍を形成するだろうこと。
第三に、米中対決の激化にともない、中共がこの
「米国内の嫌米感情」を陰になり日向になり煽り立
て、アメリカのさらなる分断と最終的には内部崩壊
を画策するだろうことです。
読者諸氏もご記憶のように、戦後日本の教育界で
も左傾化が起きました。深層心理に刷り込まれた
「自虐史観」が日本人から民族の誇りと愛国心を奪
い取り、その結果、たとえば敵基地攻撃能力獲得を
めぐり「まず中国の理解を求めるべきではないか」
との主張が大真面目でなされ、また、与野党の重鎮
らが中共創設100年に際し祝電を送るナンセンスが
まかり通るようになったのです。
かくいう私も、渡米前は国を想う心を持たぬ「精
神的無国籍者」の一人でした。アメリカ政界や教育
界に蔓延(はびこ)るCRTと「反米米国人」を目
にするにつけ、否応なく、かつての自分を思い起こ
し恥じ入ります。
いま一度くりかえしますが、アメリカでは良き師、
良き上官、馬が合う同僚、信頼できる部下、礼節正
しい教え子、そして気心の知れた友人知人に恵まれ
てきました。
肌の色や出自に関わらず、この人たちには共通点
があります。まず、アメリカの過ちや欠点を認めた
うえでこの国をこよなく敬愛していたこと。次に軍
人として、軍属として、一市民として、一個人とし
て、国家に尽くしつつそれぞれのアメリカンドリー
ムを追い求め、叶えていたことなどです。
私が愛国心に目覚め、二つの祖国に献身するよう
になったきっかけは、このような愛国者たちとの出
逢いだったのです。
この体験が、自虐史観と反米プロパガンダに対峙
する勇気を与えてくれます。私が生きてきたアメリ
カでは、黒人、白人、アジア人、ヒスパニックらが
手に手を取って、万人平等、権利、自由、機会均等
を守ってきたのです。アメリカが今も世界の人々を
誘(いざな)うのはこのためです。
好き好んで人種差別国家にやってくる者などいるわ
けがありません。CRTが喧伝する「差別国家アメリ
カ」は虚偽。わたしの実体験はCRTに正面突破され
るほど「やわ」ではありません。
▼中国に対する究極の抑止力としてのロシアの核
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
現在、各国が保有する核兵器の総量は1万3千発以
上だとされています。その9割を米露がほぼ等分し
ているそうですから、ロシアは6千発弱ということ
になります。これに対し中国は300発強。単純に比
較した場合、ロシアの核戦力は20倍。これに核弾頭
の爆発力、精度、射程、そして核運搬手段の残存性
を加味すると、今のところロシアが中共に与える核
抑止力は圧倒的。いかに中華民族復興の夢に酔う習
氏といえども、第2次アヘン戦争でロシアに譲渡し
たウラジオストクの奪還は危険が高すぎます。
この状況をロシア側から見れば、中国に対する究
極の抑止力は核であり、また、優勢な核戦力を維持
し続けることがロシア領土保全の要だということに
なります。
ところが中共は、米露の核兵器削減努力を尻目に
核戦力増強を進めてきました。米露中で新たな核軍
縮の枠組みを模索する提案はきっぱり拒否しており
、先日の中共創設100周年の演説でも、習近平国家
主席は「外国勢力による脅しや圧迫を認めず、軍事
力を増強する」と宣言しています。
習氏の発言を裏付けるように、中国は甘粛省の砂
漠に大陸間弾道ミサイルの地下サイロを100基以上
建設中で、米露との核戦力ギャップを埋めようとし
ているのは明白です。中共の核戦力強化はロシアの
核優位を相対的に低め、したがって、露中の領土問
題を不安定化させる恐れがあります。
当メルマガでも取り上げてきましたが、プーチン大
統領がアバンガルドやツィルコンなどの極超音速ミ
サイル配備を急いできた背景には、隣国中共への不
信感があるとも考えられます。
教材ビデオ:
CHINA NOW CLAIMS RUSSIAN TERRITORY - EYES CIT
Y OF VLADIVOSTOK ! RUSSIA vs CHINA IS BREWING? - YouTube
(本エピソードは8:00から始まります)
https://www.youtube.com/watch?v=xmFZ7cn9uUA
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Platform(プラットフォーム)基盤 (駅の)プラ
ットフォーム
Next only to(ネクスト オンリー ツー)
~に次ぐ唯一のもの
Long way to go(ロング ウェイ ツー ゴー)
目的を達するにはほど遠い
シナリオ(カウンターを10:00に合わせてくだ
さい)
It is important to note that the U.S. and Russ
ia are estimated to possess about 90% of the w
orld’s nuclear weapons.
(アメリカとロシアが全世界の核兵器の9割方を所
有していると推定される。これは注目に値する)
In terms of strategic platforms, Russia is sti
ll next only to the U.S. and China has a long
way to go in this regard.
(戦略的基盤に関して言うなら、ロシアはアメリカ
に次ぐ唯一の国だ。中国がロシアに取って代わるに
はまだほど遠い)
(今回のエピソードは最後まで続きます)
英語一言アドバイス:
日本語になっている platformは駅のプラットフォ
ーム、つまり乗降口を指します。しかしこれ以外に
もいくつか使用法があります。本ビデオの場合は
「基盤」が良いでしょう。
発音サイト:
platformの発音
How to pronounce platform | HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/platform
参考サイト:
核保有国
核保有国の一覧 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E4%BF%9D%E6%9C%89%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
米ロが世界の核兵器9割を保有
アメリカとロシアが世界の核弾頭の90%以上を
保有 - Pars Today
https://parstoday.com/ja/news/world-i39031
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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PS
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心から感謝しています。ありがとうございました。
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