配信日時 2021/06/25 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】米空母を無力化するロシア軍兵器(5) 終末兵器「ポセイドン」(2)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。

『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
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武器オンチの日本人には
特におススメです。

加藤さんも冒頭文でいわれているとおり
プロパガンダが大手を振ってまかり通る
恥知らずな今の時代。

「権威の言葉を鵜吞みにする」
ことほど危険なことはありません。

さっそくどうぞ


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato  

米空母を無力化するロシア軍兵器(5)

ロボット核魚雷「ポセイドン」(2)


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□武漢研究所の嘘を暴き立てた市民ジャーナリズム
 ─新型コロナウイルス起源の深層─
 
 先週、当メルマガの紹介文でエンリケ氏が、DR
ASTIC(Decentralized Radical Autonomous Search
Team Investigating COVID-19)を名乗るオンライ
ン素人探偵団に触れられていました。不覚にもこの
ニューズウィーク記事は未読だったので、早速確か
めました。
 
「新型コロナウイルスに関する分散的先鋭的独立調
査チーム」とは、世界各国に分散した人々が好奇心
と市民ジャーナリズム精神で結ばれ、持ち前のネッ
ト検索技術と専門知識、そして粘り強さを武器に、
公開情報からパンデミックの起源に迫ったサイバー
活動です。
 
 米マスコミがトランプ氏の「武漢ウイルス研究所
起源説」を排除したカラクリをあぶり出し、ウイル
ス実験に関する情報提供を拒む武漢研究所の嘘を暴
き立てるプロセスは痛快かつ説得力があります。
 
 文字通り探偵小説顔負けですが、そればかりか、
独裁国家やビッグテックが企業や政府にとって都合
のいい「現実」を造り出すオンライン世界にあって
も、ネットの裏ルートに精通した一般人集団が「強
いられた現実」の鼻を明かし、真実に迫れる可能性
を示したのです。
 
 いまにして思えば、トランプ氏が「ウイルスは武
漢研究所から漏れた。確たる証拠があるが、大統領
にも公開権限がない」と述べたとき、彼は真実を語
っていたのでしょう。しかし、ワシントンポストや
CNN、ニューヨークタイムズ、米公共ラジオ(NPR)
など主流メディアは一斉に「反中陰謀説」、「オル
タナ右翼の虚構」、「非科学的デマ」と一蹴。各マ
スコミお抱えのファクトチェッカー(事実確認担当
者)も「トランプ声明はフェイクニュース」と不用
意に断じたのです。
 
 この動きと連動し、武漢研究所への公的資金提供
を知られたくない米国立アレルギー・感染症研究所
(NIAID) 所長のファウチ博士や、そのパイプ役を
務めたエコヘルス・アライアンス社のダザック博士
は、陰になり日向になり医学界の総意を「自然発生
説」へと誘導していました。主流メディアと専門家
の二正面作戦にさらされた多くの一般人が、トラン
プ氏の主張に懐疑的だったとしても無理はありませ
ん。
 
 マスコミがいま少し熟考していたら防げた間違い
もあります。たとえば、エコヘルス・アライアンス
社経由でNIAIDがウイルス実験を武漢研究所に委託し
ていたことを知ったトランプ大統領(当時)は同社
との契約を打ち切りましたが、主流メディアは「ト
ランプの敵は味方」との短絡からダザック博士を
「オルタナ右翼」の犠牲者として擁護。その結果、
武漢研究所で長年行なわれていた危険なウイルス研
究が見過ごされたのです。
 
 同研究所とウイルス実験に関する事実究明がパン
デミック当初に始まっていれば、世界への伝播を遅
らせたり、ワクチン開発をさらに加速させたりする
ことができたかもしれません。
 
 いま一つは、世界保健機関(WHO)が調査チームを
中国に派遣した際、前述のダザック博士がメンバー
に加わっていたことです。これは明らかに利益相反
にあたります。ウイルスの出処を客観的に明らかに
するべき調査要員が舞台裏で「自然発生説」を伝播
し、しかも、武漢研究所に個人的利益を抱えていた
からです。
 
 ところが、マスコミも医学界も同博士の参加を問
題視しませんでした。パンデミックをめぐるWHOの
報告書が、中国共産党の主張をほぼ踏襲したものに
なったのは読者諸氏もご記憶でしょう。
 
 もちろんDRASTICの活動によって武漢研究所がウ
イルス発生源だと特定されたわけではありません。
しかし、彼らが掘り起こした様々な事実はいずれも
同じ方向を指し示しており、その先にあるのが武漢
ウイルス研究所なのです。
 
 これらを総合すると「推定原因」すなわち「ウイ
ルス漏出が起きたと信じるに足る合理的な理由」に
なり、仮に米国内なら、漏出に関わった容疑者を逮
捕できる状況です。
 
 DRASTICの報道が引き金になった「武漢ウイルス
研究所起源説復権」から学ぶべきは、まず、政府の
専門家やマスコミ、ソーシャル・ネットワーキング・
サービス大手、そして流行りのファクトチェッカー
も含め、いわゆる「権威が強いる事実や現実」を鵜
呑みにしないことでしょう。
 
 私にはDRASTICが駆使した裏ネット検索は無理で
すが、表層ウェブで手に入る情報を精査し、自分に
納得のいく説明を組み立てるだけでもフェイクニュ
ースへの抵抗力が高まります。
 
 ちなみに先日、習近平国家主席が共産党幹部に対
し「愛される中国」のイメージづくりを命じたとか。
ことによると、DRASTICの活躍が習氏の変心に一役
買っているのかも知れません。
 
もっとも、日中友好を謳いながら日本の領海に海警
局の巡視船を連日振り向ける国であり、また福島第
一原発処理水の海洋放出は批判しつつ、自国原発の
放射能漏れ事故には報道管制を敷く国のこと。香港
や台湾、尖閣諸島、南沙諸島などをめぐる核心的利
益を取り下げてまで「愛される中国」を目指すこと
はあり得ません。
 
せいぜいが、プロパガンダで戦狼外交をカモフラー
ジュせよとのお達しでしょう。ならば今こそ、陰謀
説やデマ、そして中共のプロパガンダに対する免疫
を高める時です。
 

▼終末兵器ポセイドン(2)

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

 前回、ロシア海軍のロボット核魚雷「ポセイドン」
を取り上げました。その際、米海軍のスーパー空
母を撃沈可能な兵器として紹介しましたが、実はこ
の兵器、「空母の天敵」として以外にもいくつか戦
略的使途があります。2回目は敵国のミサイル潜水
艦隊を殲滅するシナリオです。

 アメリカの核抑止力は空軍が運用する有人戦略爆
撃機と大陸間弾道弾、そして海軍のミサイル潜水艦
からなっており、nuclear triad(ニュークリア―・
トライアド:三元核戦力)と呼ばれています。核兵
器の運搬手段を3つに分散させているのは、先制攻
撃を受けた場合の残存性を高めるためです。不意打
ちされても充分な核報復能力を温存し、敵国を壊滅
させる断固とした意思表示だと言えます。もちろん
相手国も同様の核戦略をとっていますから、どちら
が先にボタンを押しても結果は相討ち。冷戦時代か
らいまも続くMutual Assured Destruction(相互確
証破壊)の現実です。省略形はMAD(狂気)で、言い
得て妙な語呂合わせになっています。

 ニュークリア―・トライアドの中で最も隠密性に
優れ、したがって生存率が高いのがミサイル原潜で
す。現在米海軍はオハイオ級14隻でローテーション
を組んでおり、半分が母港での保守管理や近代化改
修を受け、残りが七つの海の深海でパトロール任務
に就いています。各艦に与えられた航海ルートは最
重要機密で、乗組員でも艦長を含めた数名しか知
らないと言われています。したがって、いったん潜
行してしまえば、大洋に散ったミサイル原潜を発見
することは極めて困難です。

 逆に言えば、出港直後、浮上中の原潜を沖合で待
ち受けて尾行することができれば、潜水艦最大の利
点である隠密性は損なわれることになります。この
点、小型でステルス性に優れ、静粛モード航行や有
人原潜に優る潜行能力を持つポセイドンなら打って
つけでしょう。

 しかもポセイドンは標的を直撃する必要はありま
せん。最大潜行深度240メートルを誇るオハイオ級
も、深海で100メガトン水爆が発する衝撃波にさら
されれば圧壊する可能性が高いからです。パトロー
ル中のオハイオ級7隻が一挙に失われれば、アメリカ
の核抑止力が半減するのは避けられません。
ポセイドンは、相互確証破壊によって辛うじて保た
れている核保有国間のバランスを崩し、全面核戦争
を誘発しかねない武器。終末兵器と呼ばれる所以で
す。

教材ビデオ:
 (1) WHY RUSSIA’S 'POSEIDON' UNMANNED UNDERWAT
ER DRONE IS A DOOMSDAYWEAPON? - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FrhUSEcQrgk&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=176

(本エピソードは3:35から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Robust(ロウバスト)頑丈な 堅牢な
Detonate(デトナイト)爆発する 起爆させる

シナリオ(カウンターを4:06に合わせてくださ
い)

Even a robust submarine of Ohio class may not
survive a 100-megaton warhead even when detona
ted 100 kms away.

(堅牢なオハイオ級潜水艦といえども、100メガト
ン弾頭の爆発から生き延びることはできないかも
知れない。たとえ起爆地点が100キロ離れていた
としても)


(今回のエピソードは4:16まで続きます)

英語一言アドバイス:
 warheadは「弾頭」のことです。新聞記事
にはよく以下の4つが出てくるのでまとめて覚えて
おくと便利です。
conventional warhead(通常弾頭)、
nuclear warhead(核弾頭)、
biological warhead(生物弾頭)、
chemical warhead (化学弾頭)

発音サイト:
 nuclear warhead の発音
 How to pronounce nuclear warhead | HowToProno
unce.com
https://www.howtopronounce.com/nuclear-warhead

参考サイト:
ポセイドン核魚雷(本サイトのステータス6を参照)
核魚雷 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E9%AD%9A%E9%9B%B7#%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B96

オハイオ級ミサイル原潜
 オハイオ級原子力潜水艦 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AA%E7%B4%9A%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6




(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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PS
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