配信日時 2021/05/28 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】米空母を無力化するロシア軍兵器(1) ジルコン極超音速ミサイル

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。

『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
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武器オンチの日本人には
特におススメです。


この連載の冒頭文は、
日米パヨクの核にどういう理論があるのか?
がつかめる「いまの思想戦」に欠かせない知識、
武器です。

ここ以外では手に入らない武器です。

ぜひご活用を。


なお、本編の

bulletでなくammunitionを。

は目からうろこですね。

忘れないようにしましょう。


わが敵は、南だけでなく北にもいます。
これも忘れないようにしましょう。

さっそくどうぞ


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato  

米空母を無力化するロシア軍兵器(1)

ジルコン極超音速ミサイル


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□祖国を貶めるCRTの愚かさに反論の声

批判的人種理論(Critical Race Theory: CRT)は、
「アメリカは1619年、最初の黒人奴隷が到着すると
同時に建国された人種差別国家であり、奴隷所有者
であった白人は生来的に邪悪だ」と主張します。こ
の急進左派の視点は、1776年の独立宣言で「万人は
生まれながらに平等である」と唱えたアメリカとそ
の国柄を真っ向から否定する「自虐史観」。母国を
蔑む心からは人心をまとめ国家の未来を開拓する志
やエネルギーは産まれません。
 
しかし、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は
「(CRTの論旨である)米国の『制度的人種差別』
を子供や将来の指導者に教えることは洗脳ではない。
むしろ責任ある態度だ」と述べ、CRTを全面支持して
います。この発言はバイデン大統領や同政権閣僚ら
の意向を忠実に反映したものです。米首脳部が
「反差別運動を装った嫌米思想」を喧伝するとは
前代未聞の倒錯心理。この不可解な言動の動機はい
ったい何なのでしょう?
 
 ひとつには、CRTが「反差別に異議を唱える者は
白人優越論者か、無意識の人種偏見を持った抑圧者
だ」との論法を用いて異なる意見を封殺し、大衆を
恫喝していることが挙げられます。
 
 いまの世の中、どこの国でも「差別者」のレッテ
ルを貼られれば万事休す。今年初旬、マスコミとネ
ット世論に滅多切りにされ、五輪・パラリンピック
会長職を辞した森元総理や、同大会クリエーティブ
ディレクターの佐々木氏の憂き目を見れば分かりま
す。
 
 宗教裁判にも似た「差別者狩り」の世相に、多く
のアメリカ市民は社会や政治、ことに人種絡みの話
題で意見を述べることに不安を感じています。アイ
デンティティ政治やキャンセルカルチャーといった
反米思想に眉をひそめつつも、8割近い保守層が公
共の場での政治発言を控えるようになっているので
す。
 
 政治家はことのほか世相の潮目に敏感です。バイ
デン大統領もある時点でCRTの台頭を察し「敵対す
るのは得策でない」と判断したのかもしれません。
なぜならバイデン氏は、CRT信奉者が「制度的特権
階級」とか「無意識の差別者」として槍玉にあげる
白人異性愛男性の典型だからです。下手に敵に回せ
ば、ソーシャルメディアでの炎上や支持率急落、
そして急進左派の離反が避けられないことから、少
なくとも表向き「CRTへの恭順」と「制度的人種差
別国家アメリカ糾弾」を政権の立ち位置にしている
のかも知れません。
 
 民主党政治家らの偏向ぶりとは対照的に、最近に
なってCRTに毅然と反論する勇気ある一般市民がメ
ディアに登場するようになりました。一人はアメリ
カ宇宙軍のマシュー・ローマイアー中佐。国防総省
がCRTの趣旨に基づいて制作した将兵教育ビデオに
反対し、自著で米軍内部に蔓延(はびこ)りつつあ
る反米思想に警鐘を鳴らした人物です。これが軍上
層部の不興を買い司令官を解任されましたが「自分
に政治的な意図はない。部下や同僚を軍内部に広ま
りつつある過激思想から守りたいだけだ」との態度
を貫いています。
 
 いま一人はアメリカン航空のベテランパイロット、
ガイ・ミッドキフ氏です。地元テキサスの教育委員
会が差別排除の名目で行なった「生徒による差別行
為の告げ口奨励」と教員と生徒向け「多様性トレー
ニング」の強制をネット上で批判。これに反発した
CRT支持者がミッドキフ氏の行為を「ハラスメント」
だとして苦情を申し立て、アメリカン航空に聴聞会
開催を要求したのです。差別批判を恐れた同航空は、
現在ミッドキフ氏の進退去就を検討中だとされてい
ます。しかし職場を巻き込んだ脅しにもめげず、ミ
ッドキフ氏は「CRT論者らは子供たちを盾にあらゆ
る反論を封じようとしている。左派の恫喝などには
屈しない」と徹底抗戦の意向です。
 
 アメリカ建国の父らのなかに奴隷所有者がいたこ
とは紛れもない史実。しかし、それを現在の道徳感
と正義感から非難するのは公平ではありません。バ
イデン大統領も含めたCRT支持者らが問うべきは、
奴隷制度を疑う者が誰もいなかった17世紀から18世
紀の世の中で「自分だったらどのように振る舞うか」
ということです。この自問を通じ「建国の父らは25
0年も前に奴隷制度の邪悪さを悟り、同制度廃止を
決意し実行した」事実に気づきましょう。もとより
それは、祖国を制度的人種差別の国と貶(おとし)
める言動の愚かさを自覚することでもあります。
 
 「自虐史観は不毛であり、国の箍(たが)を蝕む」
日本人なら身に染みているこの事実を、バイデン大
統領に耳打ちできる和製政治家の登場が待たれます。
 

▼ジルコン極超音速ミサイル

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

米海軍は現在11隻の大型原子力空母(スーパーキ
ャリアー)を運用しています。米本土から遠く離れ
た地域で強大な戦力投射が可能な空母は米海軍の誇
りであり、また、外交力を裏打ちする「大きな棍棒
」でもあります。建造と維持に巨費がかかることか
ら、スーパーキャリアーを中核とした空母打撃群を
複数配備できるのはアメリカだけです。

ロシアも通常型空母を装備していますが、機動力や
艦載機の火力、隻数では足元にも及びません。冷戦
中、「核兵器を時代遅れにする」としてレーガン政
権が打ち出した戦略防衛構想いわゆる「スターウォ
ーズ計画」に対抗する過程で経済が破綻、ソ連邦崩
壊につながった苦い記憶から、ロシアは経済疲弊を
招く空母拡大路線を捨て、より対費用効果の高い手
段を選びました。今回から数回にわたり、「米空母
を無力化するロシア軍兵器」をとりあげます。初回
は極超音速ミサイル「ジルコン」です。

ジルコンは固体燃料ブースターで超音速まで加速し、
その後、液体燃料のスクラムジェット・エンジン
でマッハ9の極超音速に達し標的に向かいます。ち
なみに中国海軍が配備している「東風」対艦弾道弾
も極超音速兵器ですが、これは大気圏を出たあと放
物線を描いて再突入し敵艦船に着弾するタイプ。ジ
ルコンは終始大気圏内を極超音速で巡航します。

艦艇から発射されたジルコンは1000キロ先の敵艦を
撃沈できると言います。マッハ9で飛ぶミサイルの
運動エネルギーだけも標的を粉微塵にするには十分
ですが、ジルコンには通常弾頭または戦術核弾頭も
搭載可能です。

現行の艦隊防御システムは、超音速で飛来するミサ
イルを念頭に開発されており、極超音速で突入して
くるジルコンには対応しきれません。極めて高価な
空母を1発で撃沈できるジルコンは、ロシアにとっ
て安上がりな対抗手段だと言えます。アメリカ側か
ら見れば、虎の子のスーパーキャリアーを一瞬で無
力化する悪夢の兵器。自ずと空母打撃群の戦時運用
には慎重にならざるを得ません。ジルコンが投射す
る抑止力は相当大きなものになると考えられます。

教材ビデオ:
 PRESIDENT PUTIN's RUSSIA HAS 3 WEAPONS THAT C
AN SINK AMERICAN NIMITZ OR FORD CLASS SUPERCAR
RIERS ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=e7oS201nagM&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=146

(本エピソードは2:17から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Bullet(ブリット)弾丸
Kinetic energy(キネティック エナジー)
運動エネルギー
Rip apart(リップ アパート)バラバラにする
Tin can(ティン キャン)空き缶

シナリオ(カウンターを3:38に合わせてくださ
い)

The Zircon is capable of reaching speeds of Ma
ch9.

 (ジルコンはマッハ9のスピードに達することが
できる)

That makes it much faster than a bullet fired
from a sniper rifle.

(これは狙撃銃から発射された弾丸よりはるかに速
い速度だ)

Actually almost three times the speed of a sni
per’s bullet.

(実際、狙撃手の弾丸の約3倍のスピードだ)

The kinetic energy alone will rip a ship apart
 like a tin can.

(この速度だと、運動エネルギーだけで艦船を空き
缶のようにバラバラにしてしまうのだ)

(今回のエピソードは4:46まで続きます)


英語一言アドバイス:
 bulletは弾丸を指します。銃口から飛び出してタ
ーゲットに当たる部分です。日本の戦争映画などで
は「弾がない」「弾をくれ」というセリフが出てき
ますが、この場合の「弾」は、弾丸と装薬そして薬
莢が一体となった「弾薬」のことですからbulletで
はなくammunitionを使わないと意味が通じません。

発音サイト:
bulletの発音
 How to pronounce bullet | HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/bullet

参考サイト:
ジルコン極超音速ミサイル
 3M22 Zircon - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/3M22_Zircon

ロシアの極超音速巡航ミサイル「ジルコン」│ミリ
レポ|ミリタリー関係の総合メディア (sabatech.jp)
https://milirepo.sabatech.jp/3m22-tsirkon-zircon/

3M22 Zircon ? Missile Defense Advocacy Alliance
https://missiledefenseadvocacy.org/missile-threat-and-proliferation/todays-missile-threat/russia/3m22-zircon/


(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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PS
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