配信日時 2021/05/24 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(125)】自衛隊による大規模ワクチン接種始まる

おはようございます、エンリケです。

今週もどうぞよろしくお願いします!

125回目の美佐日記。

先日の、自衛隊による大規模ワクチン接種をめぐる
ごたごた。桜林さんはどこをどう見てらっしゃった
のでしょうか? 個人的には視座をこそ学んでほし
いです。

また、官民統合任務部隊ともいうべき今回の集団接
種対処。でもそのあたりが一般国民には非常に見え
にくいです。

この記事は、
今回の集団接種自衛隊対処の実相の一端、問題点を
的確につかめる貴重な内容といってよいでしょう。


さて、桜林さんが台本づくりを担当したラジオドラマ
『コロナという危機・あなたは誰と乗り越えますか?』
が、5/30(日)深夜にニッポン放送で放送されます。

実に楽しみですね!
ギャラクシー賞取ってほしいです!

生で聞くのが一番面白いですが、再放送もありますし、
radikoではその後1週間聞けますよ。オススメです。
http://radiko.jp/share/?sid=LFR&t=20210531013000


また桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
という名で出ました!

まだの方はぜひご一読を。
https://amzn.to/3avtwJe
すでに読んだ方も、文庫でもう一冊!
https://amzn.to/3avtwJe
※メチャメチャ売れてます!


ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。

エンリケ

----------------------------------
『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。

https://amzn.to/38gvhr1
----------------------------------


ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
https://okigunnji.com/url/7

───────────────────────

桜林美佐の「美佐日記」(125)

自衛隊による大規模ワクチン接種始まる

桜林美佐(防衛問題研究家)

───────────────────────

おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年5月の今回
は125回目となります。

いよいよ、自衛隊による大規模ワクチン接種が始ま
ることになりました。

朝日新聞社の雑誌AERAと毎日新聞が、接種券が
なくても架空の番号を入力すれば予約ができるシス
テムの不備を報じるために、わざわざ虚偽の予約を
してみせたのだとか。

率直に私は、よく検証してくれたものだなーと思い
ました。後で問題は起こるより良かったのではない
でしょうか。

なぜなら、朝日・毎日そして野党がそれに乗じて防
衛省・自衛隊を責めるほど、反感や顰蹙を買うだけ
だと思いますし、むしろこのことで、自衛隊に不向
きなことを、いきなりさせているという事実が世の
知るところになればいいのではないかと・・・。

そもそも、自衛隊による大規模接種の予約は自治体
の予約システムと連携できないらしく、そうした建
付けの中で運営まで全て実施せざるを得ない自衛隊
に同情の声があってもいいくらいです。

自衛隊に「それみたことか」と言わんばかりにいじ
めてはしゃいでいる人たちには必ずしっぺ返しがあ
ると思いますので、私は静観しています。

色々ありますが、自衛隊が出るということは政府の
強い意志を示すことであり、こうして本気度を見せ
ることで全国の自治体に刺激を与えることになれば
いいと思います。

ただし、常に訴えているように、災害派遣も予想さ
れる季節でもあり、またオリンピックでの支援も想
定される時期です。最も重要な本来の任務に支障が
ないように、また隊員さんたちの処遇についても配
慮をお願いしたいところです。

一方で、またぞろ「1日1万人」などという数字が
先走りしているのは問題だと思います。

自衛隊は示された目標を達成しないわけにはいかな
い組織ですので、軽々に数字を出すことに私は反対
です。

いつもこうした「〇万人を目指す」とか「〇万人態
勢」といった言葉で自衛隊を縛っていますが、人数
を公言するのはやめるようにしたらどうかと私は思
います。

かねて述べているように、自衛隊医官・看護官は全
国にそれぞれ1000人しかいません。これだけの
人員で大規模接種に足りるはずがなく、民間業者に
も高額なお金(37億円)を払って外注することに
なります。

総額約60億円は防衛費から捻出するということで、
トンデモナイと思いましたが、当初、自民党国防
部会などから批判が湧き、これは後に予備費がつく
ことになったとのことでした。

また派遣される隊員さんは今回は災害派遣ではない
ため手当がつかないということですが、こちらも検
討されるということで、少し安心しました。

災害派遣ではないので、予備自衛官の参加はできな
いということで、医療従事者の予備自の方もいるこ
とを考えれば、これもなんとかクリアできないもの
かと思います。

人材派遣会社に依頼するわけですから、少しでも自
衛隊の予備自に活躍してもらえるようにしてもらい
たいです。こんな時に出て行くことができなければ、
人材派遣に登録したほうがいいということになっ
てしまいかねません。

いずれにせよ、ワクチン接種に訪れた多くの国民が
戦闘服姿の自衛官の仕事ぶりを肌で感じ、テレビ画
面を観た子どもたちが「あんな仕事をしたい」と思
ってくれたらいいなと思います。

不足している自衛隊医療従事者を希望する若者が増
えること、そのような環境整備が進む契機となるこ
とも願っています。

ところで、今回ちょっと驚いたのは、多くの人々が
「自衛隊は優先的にワクチンを打っている」と思っ
ているらしいと分かったことです。

自衛隊を憲法で認めるべし、などの議論がなされて
いる意味を理解していない人が多いということでも
ありますよね・・。

言うまでもなく自衛隊員の地位は特別職国家公務員
ですので、一般人と同様、その人の住む自治体の指
示によって打つかどうか決めるわけです。

自衛隊医療従事者はすでに接種を済ませている人も
いますが、それも「自衛隊枠」でもなんでもなく、
それぞれの人や病院の所在する地域主導です。

ただ、今回、派遣される隊員さんたちは大急ぎで接
種し(2回の接種は間に合わないと思いますが)、
余ったワクチンも自衛隊に回すようなことが言われ
ていますので、逆に言えば今回のミッションは、自
衛官に早期に接種させるための「離れ業」と言える
のかもしれません。

まあ、しかし、こんな離れ業を使わなければ、自衛
隊に目が向けられず、また自衛隊を特別視すること
が忌避されているということでもあります。

今回の「離れ業」によって自衛隊が図らずも「優先
接種」可能になるのですが、それで良かったという
ことにせずに、警察や消防など危機管理の任に就く
人たち優先されていないという日本の危機管理態勢
については顧みる必要があると思います。

それにしても、人材派遣会社が集めた看護師さんや、
旅行会社の人たちとの、いわば統合部隊となる今回、
自衛隊がこうした一般の人々を指揮するのって、こ
れまでにあったでしょうか。

 かろうじて同じ日本語を使うとはいえ、文化の違
いがかなり大きいと思われ、どうなるものかと気に
なるところです。

 お互いに良い出会い、良い刺激になることを祈っ
ています。

<おしらせ>
●私が構成台本を担当したラジオドキュメンタリー
がまもなく放送されます。
番組タイトル:ニッポン放送『コロナという危機・
あなたは誰と乗り越えますか?』
放送日時:
2021年5月30日(日) 25時30分~26時30分
(5月31日(月)午前1時30分〜2時30分)
radikoのタイムフリー機能で、放送1週間後
まで聴くことができます。
http://radiko.jp/share/?sid=LFR&t=20210531013000


<おしらせ>
●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
https://amzn.to/2XnvrIy

●会員制月刊誌『テーミス』でも自衛隊ルポを連載中
です! http://www.e-themis.net/

●YouTubeチャンネルくららで毎週末にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます!
http://okigunnji.com/url/42/



(さくらばやし・みさ)



桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/

 
【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。


PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
 
PPS
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。その他す
べての文章・記事の著作権はメールマガジン「軍事
情報」発行人に帰属します。
 
 
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国
に、心から感謝しています。

ありがとうございました。


 
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
 
 
---------------------------------------
 
発行:
おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
 
メインサイト
https://okigunnji.com/
 
問い合わせはこちら
https://okigunnji.com/url/7/
 
 
Copyright(c) 2000-2021 Gunjijouhou.All rightsreserved.