おはようございます、エンリケです。
今週もどうぞよろしくお願いします!
120回目の美佐日記。
蒲池猛夫さん、懐かしいですね。
さっそくご覧ください。
エンリケ
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『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(120)
日本射撃史上初の金メダリスト──アスリートの極
意に学ぶ
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年4月の今回
は120回目となります。
池江璃花子選手が白血病の闘病生活を経て復帰し、
五輪切符を手にした快挙には、日本中が歓喜しまし
た。思想信条に関係なく、どんな人にも感動を与え
られるって、本当に尊いと感じます。
しかし、一方で自分を見ればどうだろう、池江選手
が病気と闘っていた2年間に私は一体、何をしてい
たんだ! ただ起きて寝て過ごしてただけじゃない
かー!
そんな感情に見舞われる人もいるかもしれません。
私がそうです。
また、何らかの闘病生活を送っている方には、あん
なふうに死に物狂いで努力する気力がないわ・・・
という受け止めもあったかもしれません。
実際に「池江さんみたいに頑張って」と言われて、
かえって辛くなったというガン患者さんも少なから
ずいるようです。難しいところですね。
池江選手の快進撃が教えてくれるのは、ものすごい
努力だけが報われるという摂理ではなく、どうして
も頑張れない、気力が萎えた人であっても「自分な
り」の進化ができればいいじゃないかの精神で、と
にかく前だけは向こうということなのかもしれませ
ん。
池江さん自身が「ネガティブに捉えないで、これこ
そが自分の人生だと思うようにしたら、全てが楽し
いなって思うようになりました」と言っています。
20歳にして実に慧眼です。
それにしても、これだけ世論を二分している五輪開
催であったにもかかわらず、この復活劇によって多
くの日本人が「オリンピックを観たい!」と思い始
めたのではないでしょうか。「心を動かす」とはま
さにこのことです。
オリンピックにまつわる話では、もうひとつ驚かさ
れたものがありました。
時代は遡りますが、2014年に他界した自衛隊体育学
校所属の元オリンピック選手、蒲池猛夫(カマチ・タ
ケオ)さんのエピソードです。
読者の皆さんにはご存知の方も多いとは思いますが、
蒲池さんは自衛隊体育学校に所属し、日本射撃史上
初の金メダリストになった方です。
蒲池さんが行なっていた競技はラピッドファイアー
ピストルで、25メートル先に設置された5つの標
的を、8秒、6秒、4秒の各時間内に速射射撃する
ものです。
射撃は合計60回で、標的の中心に着弾すれば10
点で満点は600点です。なんと蒲池さんは練習で
は599点を獲得していたのだそうです。
しかし、日本もボイコットしたモスクワ大会も含め
て、5大会連続で五輪代表に選出されたものの、栄
冠を掴むまでには長い道のりがありました。
王座に輝いたのは、初出場から16年後のロサンゼ
ルス五輪でした。
蒲池さんは、595点をマークし、日本人として初め
て金メダルを獲得したのです。
その時の年齢は48歳、孫もいたので「おじいちゃ
ん選手」と異名をとったのだとか。そしてここから
がまた驚かされるのです。
蒲池さんは強度の乱視が進行し、あらゆる物が二
重三重にかすんで見えるような状況だったというの
です。
そして、ロス五輪の3年前には、なんと体育学校
の所在する朝霞で草刈中に大ケガをしてしまいます。
診断は伸筋腱の断裂、右手で曲げられるのは親指だ
けになってしまい、引退を余儀なくされる状況にな
ります。
しかし、草刈りって・・・、自衛隊的すぎる・・・。
選手を過保護にしないところが「自衛隊流」なので
しょうか・・・。
まあ、それはともかく、蒲池さんは現役を退き後輩
の指導に励むことになります。
ところがある時、若手選手が伸び悩むなか、選手と
して再度オリンピックに挑戦せよとの命が体育学校
長から下ったのです。
実は、蒲池さんはモントリオール五輪で成績が振
るわなかった後に、ある種の「自分改革」を行なっ
ていました。
「心に問題があるのではないか」と思った蒲池さん
は、精神統一を学ぶために禅寺を訪ねます。
そこで教えられたのは『心眼で撃て』『ヘソで撃て』
ということでした。
この言葉を理解できず悩んでいた時に、ふと思いつ
き、自宅で線香に火をつけ、あぐらをかいて、燃え
尽きるまで眺めたそうです。
これが選手人生を変えることになりました。
雑念が消え、光の天が瞼に残る。ピストルを持った
時もこの光を思い出すことによって、揺れ動く心の
波を静められるようになったというのです。
それから毎日、この線香によるメンタルトレーニン
グと、鉄アレイで右腕を鍛えることは欠かさず実施
したといいます。
その練習に効果があるのかどうか分からないのに続
けることは、普通なら疑問や不安を持ってしまいが
ちです。しかし、とにかく続けたのです。
かつて蒲池さんに「世界の頂点に立つ条件は?」と
問うたインタビュー記事を見つけました。
そこには「平常心」とあります。渇望や願望の強さ
では「100%無理」だとも言っています。むしろ、
それが強くなればなるほど「メダルは遠ざかります」
と。
自分の器を知って、そこに入りきらない欲は待た
ずに、自分なりの努力をする、この悟りの境地こそ
がアスリートの極意であり、万人に共通の真理なの
かもしれませんね!
<おしらせ>
月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
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会員制月刊誌『テーミス』でも自衛隊ルポを連載中
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。
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