配信日時 2021/04/09 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】ボディアーマー(3)ソトニク防弾システムの将来性

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
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WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
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さっそくどうぞ


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato  

ボディアーマー(3)ソトニク防弾システムの将来



加藤喬(元米陸軍大尉)

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□アメリカの分断を煽る社会主義者たち

3月26日配信のメルマガに、「全てを『差別問題
』にすり替える危うい社会」という巻頭言を掲載し
ました。早速、読者のMK氏からお便りをいただき
ました。以下、要約です。
 
「以前から言葉狩りが社会正義の一端として市民権
を得ていましたが、ファミマが販売した女性向き下
着の『はだいろ』という色表記が不適切だとの声が
寄せられ自主回収したとの新聞記事を見て、ここま
で来たかと思っていたところでした。(貴殿の巻頭
言は)タイムリーな内容でした」
 
「はだいろが不適切?」ファミマの記事は未読だっ
たので合点がいかず検索してみました。すると「人
種や個人などで肌の色が異なるのに、特定の色を『
はだいろ』とすることが良くない」との趣旨。「フ
ァミマ広報は再発防止とチェック体制を強化し、社
員教育の徹底をはかる」ともありました。常識とし
て使ってきた言葉を「差別」と見なす人たちの過敏
反応と、戦々恐々とした企業の自主規制に大らかさ
の失せた世相を感じ暗澹としました。MK氏が「こ
こまで来たか」と嘆息したのも道理です。
 
 実はこれとよく似た事例がアメリカでも頻発して
います。1月に始まった第117米連邦議会規定で
は、これまで使われてきた「母」「父」「息子」「
娘」「兄」「弟」「妹」「姉」などといった言葉が
「血縁者」に変更されています。ペロシ下院議長は
「性差を表す言葉を男女区別のない表現に置き換え
ることで、議会がより包括的になる」との意見です

 
 3月にはニューヨーク市の私立中学校が「包括的
言葉遣いのガイドブック」を父兄らに配布。「お母
さん」「お父さん」を「家族」や「両親」に、「女
の子」「男の子」を「人々」に、「妻」「夫」を「
配偶者」に置き換えるよう求めています。同校のデ
ービソン校長は「すでに時代遅れになった伝統的家
族や家族構成に基づく表現をなくし、レスビアンや
ゲイ、両性愛者、トランスジェンダーを含む性的少
数者(LGBTQ)に育てられている子供に疎外感
を与えないため」と説明しています。ちなみにこの
手引書ではまた「メリークリスマス!」ではなく、
「良い休暇を!」という年末の挨拶が奨励されてい
ます。一切合切を差別問題にすり替える世相の裏に
は何があるのでしょうか?
 
 時の移り変わりと共に、人々の価値観や常識、世
界観、そして行動様式が変わっていくのは抗いがた
い事実。LGBTQの保護者と暮らす子供たちへの
気配りや、キリスト教国アメリカとは言え、それ以
外の信仰を持つ人々への配慮は時勢にかなったもの
でしょう。それはそれで評価できます。しかし・・
・ペロシ議長やデービソン校長が「包括的」と呼ぶ
反差別世相が、皮肉にも保守層の「排斥」と、ひい
てはアメリカの更なる分断につながっていやしない
かと憂慮します。
 
「差別をなくすため」と言われれば反対しにくいの
が人情。だからこそ反差別なる美名のもとに、慣れ
親しんだ言葉遣いや旧来の家族構成を大切にする人
々にまで「性的に中立な表現」を強いたり、敬虔な
キリスト教徒に非宗教的挨拶を押しつけたりするの
は禁じ手だと思うのです。突き詰めれば、これは保
守層の価値観に向けられた逆差別。アメリカの伝統
、文化、風俗、習慣と国体を損ないかねない風潮で
す。
 
 米国の米国たる所以は、個人、自由、人権、義務
、名誉、愛国心を尊ぶ国柄であり、空前の繁栄をも
たらした自由市場資本主義です。これらを目の敵に
したのが新左翼と呼ばれる社会主義者たち。196
0年代、ベトナム反戦運動や公民権運動の急進化を
煽り体制打倒を目指した政治勢力です。しかし、努
力次第で誰もが豊かで幸福な生活を実現できる機会
均等の国アメリカには「抑圧された労働者階級対支
配階級」という対立は存在せず、新左翼の活動家が
革命を起こすことは不可能でした。
 
 しかし・・・新左翼の流れをくむ勢力は今も存在
します。これまで何回か言及してきたキャンセルカ
ルチャーやアイデンティティ・ポリティックスなど
「反差別」をテコにアメリカ分断を煽る風潮を見る
につけ、この半世紀、教育機関、マスコミ、そして
政界に深く浸透した社会主義者たちが「黒人対白人
」「男性対女性」「LGBTQ対異性愛者」「違法
移民対アメリカ市民」などの対立を煽っているので
はないか、との疑惑が湧いてきます。「まさかこの
自由の国で」とは思いつつ、昨今はそんな不安が拭
えません。
 
 分断やまぬアメリカを見て、読者の方々はどうお
考えでしょうか?
 
▼ソトニク防弾システムの将来性

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があ
ります。刀を抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ
「鞘の内の勝ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまら
せる圧倒的な破壊力のことです。「平和を望むがゆ
えに兵器を手放せない」。人類が陥って久しいこの
ジレンマの裏面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
歩兵用のボディ・アーマー3回目はソトニク防弾シ
ステムの将来性についてです。

 装甲車の乗員を.50口径弾から守るためには高
硬度鋼板40ミリの厚さが必要だと言います。しか
しこれでは重量増で機動性が失われます。米陸軍の
現用装輪装甲車ストライカーの場合、スチールとセ
ラミックスを組み合わせた複合装甲で軽量化し、機
動性を確保すると共に空輸にも対応しています。

 しかし、歩兵を守る防弾ベストとなると複合装甲
でもまだ重すぎます。また、よしんば弾丸の貫通は
防げても、着弾の衝撃による鈍的外傷で内臓破裂や
骨折が起こります。したがって、着弾インパクトが
身体に伝わらないような画期的工夫も必要です。

 これらの事情を総合すると、現段階では高分子化
合物ポリエチレンの層やチタニウム装甲を組み合わ
せたソトニク防弾システムでも、.50口径の機関
銃弾から歩兵を完全に防護するのは無理ではないか
と思われます。動力付き外骨格(パワードスーツ)
を採用するにしても、弾丸の貫通を防ぎ着弾インパ
クトをやわらげるに足る装甲は相当な厚さになり実
用性に欠けるからです。
 
 とは言え、戦争を最終的に終わらせるのは歩兵。
空軍や海軍がどれほど強力なハイテク兵器を投入し
ようとも、実際に敵地を占領し長期にわたって確保
するには歩兵が不可欠なのです。とすれば、歩兵を
敵弾や路肩爆弾から防護し、戦闘力を倍増する防弾
システムは今後も研究開発が続けられるでしょう。
ソトニク防弾システムの結果如何で、数年後、この
流れが急加速することも大いにあり得ます。

教材ビデオ:
 RUSSIA TO DEVELOP BODY ARMOR THAT CAN STOP .5
0-CALIBER MACHINE GUN ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=A5riQqvMGPU

(本エピソードは7:59から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Groundbreaking(グラウンドブレイ
キング)画期的な
Surmount(サーマウント)乗り越える 克
服する
Take on(テイク オン)?に挑戦する

シナリオ(カウンターを8:11に合わせてくださ
い)

A groundbreaking soluti on wil be needed to sur
mount this challenge.

(強力な重機関銃弾に対抗できる軽量で機能的な防
弾システムを実現するには、画期的な解決策が必要
になる)

It remains to be seen h
ow Rostec and the Russian military industry at
 large are able to take on this seemingly impo
ssible task.

(ロステック社とロシアの軍事産業界が、この一見
不可能なゴールにいかに挑戦するかは今後の課題で
ある)

(今回のエピソード最後まで続きます)

英語一言アドバイス:
groundbreakingは「くわ入れ式」「
着工式」という名詞としての意味と「画期的な」「
革新的な」という形容詞としての使い方もあります
。本ビデオの場合は後者です。

発音サイト:
groundbreakingの発音groundbreaking - Google Search
https://v.gd/YmXYKI

参考サイト:

ロシア軍ソトニク防弾チョッキ
ロシアが新世代兵装「ソトニク」の詳細を公開 -
 ロシア・ビヨンド (rbth.com)
https://jp.rbth.com/science/84791-roshia-shinsedai-heiso-sotnik-shosai-kokai

Russia Unveils Next-Gen 'Sotnik' Soldier Battl
e Armor (thedefensepost.com)
https://www.thedefensepost.com/2021/02/02/russia-sotnik-soldier-armor/

パワードスーツ(動画は0:40から始まります)
The Most Terrifying and Powerful Protective Un
iforms in the World! -YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tTVfJDMX3H0


(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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