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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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こんにちは。エンリケです。
きょうは、
「防衛省の秘蔵映像」の解説10回目です。
「兄さん色気は年増がいいよ」
にしびれました。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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防衛省の秘蔵映像(10)
基盤的防衛力育成の時代
─昭和52年映像─
荒木 肇
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昭和52年映像の紹介
https://www.youtube.com/watch?v=Ccu29ny6t50
□ご挨拶
すっかり春になりました。もう収まるかと思って
いましたが、まだまだコロナの蔓延は終わりそうも
ありません。ワクチンが全国民に接種されるまで、
まだまだ我慢を続けることになりそうです。
皆さまのお暮らしも、一昨年と比べたらひどく変
わっていると思います。わたしはすっかり宴会や懇
親会が減りました。職場の歓送迎会も花見もなく、
退官者、退職者の見送りの会もなくなりました。関
連業界の方々の苦衷は容易に想像できます。
せめて、少しでも消費を増やそうとしています。
断捨離といわれ、不必要なものは整理し、新しい物
は買わないということが奨められてきましたが、こ
うなってはそうも言っていられないですね。せめて
物を買い、外食の代わりにテイクアウトをしていま
す。
▼駆潜艇の退役
なつかしい昭和29年度計画艇である「かり(P
C301)」タイプの4隻が退役しています。同じ
く「かもめ」型も3隻が、この年除籍されます。「
かり」、「きじ」、「たか」、「わし」の4隻と「
かもめ」、「つばめ」、「みさご」の3隻です。
駆潜艇というのは沿岸水域での哨戒と対潜水艦任
務に就きました。「かり」型は排水量310トン、
全長54メートル、乗員70名、ディーゼル機関で
速力20ノット、40ミリ連装機銃1基、対潜弾を
撃つヘッジホッグ1基、同じくY砲1基、爆雷投下
軌条1条というコンパクトな姿です。「かもめ」型
は「かり」と比べると主機室と補機室の配置が逆で
排水量も20トン増えました。
駆潜艇「はやぶさ」は同年度の計画艇ですが、開
発中のガスタービンをブースト機関として載せたの
で、速力も26ノットになりました。この年、種別
変更され改装の上、迎賓艇となりました。
駆潜艇はこの後、「うみたか」型、「みずとり」
型8隻と進化しましたが、潜水艦の発達から護衛艦
(DE)にバトンをタッチしてゆきます。最後の「
しらとり」が除籍されるのは1989(平成元)年
になります。
▼湯布院駐屯地に第3特科群が移駐する
牽引車に引かれた203ミリ榴弾砲が別府から湯
布院(ゆふいん)駐屯地に入っていきます。温泉地
で有名な湯布院駐屯地は西部方面隊最大の演習場で
ある日出生台(ひじゅうだい)演習場の近くです。
この演習場は大分県の中央部にあり、耶馬渓(や
ばけい)溶岩台地南東部の高原。湯布院、九重(こ
このえ)、玖珠(くす)の3つの自治体にまたがっ
ています。1908(明治41)年に陸軍演習場が
開かれました。この演習場の初代管理者は、陸軍砲
兵少佐横田穣(よこた・のぼる)でした。横田少佐
は退役し、有坂成章(ありさか・なりあきら)中将
の口利きで、この職についたそうです。
この2人の因縁はというと、日露戦争中の旅順要
塞に遡ります。有名な28珊榴弾砲の臨時砲床設計
者と構築班長だった砲兵大尉の出会いでした。その
後、横田少佐は予備役に入り、日出生台に赴任した
のです。そこで横田少佐が取り組んだのは、植林事
業と治水でした。地域では今も少佐を顕彰する声が
あります。
▼大口径の野戦重砲
当時、各方面隊にはこうした重砲をもつ特科群が
ありました。北部方面隊には、第1特科団(砲兵旅
団・千歳市)に第1特科群、東北方面隊には第2特
科群(仙台市)、西部方面隊には、この第3特科群
です。群ですから大隊をいくつかあわせもっていま
す。それなら連隊とはどう違うかというと、連隊が
独自の兵站システムを持っているのに比べて、群は
方面隊の兵站から補給を受けるのです。
大火力の特科群は方面隊直轄で各師団の火力を増や
すためのものでした。映像に見られるのは、203
ミリ榴弾砲M2(にじゅうりゅう)は重量14トン、
全長10メートルという野戦重砲です。1万70
00メートルを飛ぶ90キログラムの弾は75メー
トル×30メートルという大きな有効範囲をもって
います。米国製であり、弾薬は旭化成、ダイセル、
日本油脂の各社協力で生産されていました。
▼特科(砲兵)の物知り
略称をご紹介しましょう。砲兵の砲身砲には加農
(カノン)と榴弾砲があります。加農は明治初めの
外来語であるカノン、あるいはキャノンの当て字で
す。加農(自衛隊ではGUNからGと略す)と榴弾
砲(HOWITZERからHと略す)の違いには特
に定義はないそうです。外見からいえば、砲身が長
い方が加農、榴弾砲は短い。その長さを表すのには
口径を使いますが、これも何口径からが加農という
ものはありません。
発射の角度、すなわち射角の区別があります。砲
弾は射角45度を境にそれより角度を大きくしても、
小さくしても射程は短くなってしまう。45度以上
で撃てば目標に落下する弾の角度は垂直に近くなり
ます。そのような射撃もできるようにしたのが榴弾
砲です。射角45度以下の射撃を平射(へいしゃ)、
それ以上を曲射(きょくしゃ)といいます。いまで
は、そうした曲射専門の火砲は迫撃砲です。ただし、
一応、迫撃砲は歩兵がもつ火砲になります。
弾を撃ちだすときの速度(初速)は、加農は比較
的大きく、榴弾砲は小さいです。射程も加農は比較
的大きく、榴弾砲は少ない、ただしこれも厳密な境
界はありません。なお、射程(しゃてい)について、
マスコミや作家などでは間違っていることが多いの
で注意が必要です。火砲の位置から弾が落下する位
置までの距離をいいます。したがって「射程距離」
というのは、同じ言葉を重ねる、たとえば馬から落
馬すると同じような過ちです。
より詳しくいえば、最大射程は火砲と同一平面上
に落下する弾の位置までの距離をいいます。目標が
火砲より高いところにあるか、低いところにあるか
によって距離は変わるからです。実際に射撃をする
ときの距離は射距離(しゃきょり)といいます。
▼射程の暗記の語呂合わせ
この頃の野戦特科の隊員から、射程の暗記の仕方
を習いました。それは「兄さん色気は年増がいいよ」
というフレーズです。近頃の風潮ではセクハラと怒
られかねませんが、こうしたこともあったことは記
録に残しておくべきでしょう。
ニイさん、二三、二万三千メートルは15G(1
5センチ加農)のこと。イロけのイロは、一六、一
万六千メートルは20H(20センチ榴弾砲)。ト
シまのトシは、一四、一万四千メートル、15H(
15センチ榴弾砲)のこと。イイヨ、一一四、一万
一千四百メートルは10H(105ミリ榴弾砲)と
いうことになります。もちろん、現在ではなくなっ
た砲もあり、最新の99式自走榴弾砲の射程は3万
メートルです。陸自には加農とされる砲は装備され
ていません。
10H(105ミリ榴弾砲)は当時の特科連隊の
標準装備であり、10人の操作員が砲班といわれ、
トラックで牽引していました。映像の中でも盛んに
登場します。これは米国製を供与され、日本製鋼社
と神戸製鋼社で国産されました。
普通科部隊を直接支援するカノン砲のような平射性
と迫撃砲的曲射性をもつ便利な火砲でした。弾の有
効範囲は30×20メートルです。この上は155
H(15センチ榴弾砲)で、有効範囲は45×30
メートルになります。
▼観閲式に参加した15HSP
SPとはセルフ・プロぺルド、自走を指します。
野戦砲の課題は機動力でした。陣地進入の速さと、
射撃準備、撤収、移動の速さです。撃たれれば敵は
どこから撃ってくるかを素早く観測し、ただちに撃
ち返してきます。だから、牽引砲はいつもトラック
から牽引車を外し、脚を開き、駐鋤(ちゅうじょ・
スペード)を撃ちこみ、射撃準備の速さを競います。
また、陣地の移動も敵の砲撃から逃れるためには
速さを要求されます。
そこで火砲は自走することが大切です。朝霞訓練
場の観閲式には75式自走榴弾砲が行進します。こ
れは砲と砲塔は日本製鋼所、車体は三菱重工でそれ
ぞれ研究開発されて1975(昭和50)年に制式
化された自走砲でした。
自走砲のメリットは機動性の豊かさの他にもあり
ます。それは省人化です。牽引砲なら12名になる
操作要員が5名に減りました。最大射程は1万49
00メートルです。発射速度も、初めの30秒間は
2発、最初の10分間は16発と撃てます。弾の有
効範囲も45×30メートルと、牽引砲の15H・
M1と変わりません。
重量は25.3トン、エンジンは三菱空冷2サイ
クル6気筒ディーゼル400馬力で最高速度は47
キロメートルでした。副武装としては12.7ミリ
重機関銃をもっています。まず、北海道の第7特科
連隊に配属されました。
▼空自輸送機がジェットに
長い間活躍したC46輸送機が退役し、国産のC
1ジェット輸送機が部隊配備されました。初めての
国産ジェット輸送機です。性能は一流、ただその後
の状況の変化で機体が小さすぎるという問題が起き
ました。
計画された当時は、沖縄県は復帰前でした。在日
米空軍もたくさんの戦術輸送機をもっていました。
そこで航空自衛隊は、日本国内の自衛隊だけの輸送
任務をしておけば良かったのです。信頼性も高く、
短距離離着陸能力に優れ、戦術輸送機としては理想
的なものでした。
C1は翼の前縁がせりだすスラットと、四重スラ
ット式のファウラーフラップを組み合わせることで
大きな揚力を生み出します。これによって短距離で
離着陸する能力をもち、物量投下のための低速飛行
性能も良くなっていました。エンジンの選定を誤ら
なかったこともC1を名機にします。プラット・ア
ンド・ホイットニーJT8D-9が着けられました
。
戦術輸送機なので、貨物室は車輌やパレット貨物
、コンテナなどの搭載には細かい配慮がされていま
す。貨物室には突起がありません。2.5トントラ
ックなら後部ランプから自走で入れます。10(1
05ミリ榴弾砲)Hと牽引車を載せて空中投下も出
来ました。最大8トンの荷物、空挺隊員45名、普
通装備の兵員なら60名を運べます。
巡航速度は370ノット(約685キロメートル)、
航続距離は8トンの搭載で700カイリ(約130
0キロメートル)です。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
https://amzn.to/31jKcxe
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
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くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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