こんにちは、エンリケです。
藤井岳さんの、
「自衛隊・熱砂のイラク派遣90日」
の三十五回目です。
読みながら、自分でもシミュレーションしました。
藤井さんと同じ結論でした。
よかったのかどうか、次回以降で確認しますw
さっそくどうぞ
ご意見・ご感想お待ちしてます。
コチラからどうぞ
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https://okigunnji.com/u
rl/7/
エンリケ
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自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(35)
紆余曲折を経て新たな道へ
藤井岳(ふじい・がく)(元陸自2曹)
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□はじめに
今年も4月がやってきましたね。私が住む東北で
もあちらこちらで桜が咲き始めています。 暖かく
なってくると気分もよくなるのですが、冬が去って
行くことに一抹の寂しさも感じます。寒さに震え、
雪かきに追われて汗だくになり、春が一日でも早く
訪れることを願う反面、冬しか味わえないもの、た
とえば晴れた夜、月が照らし出す雪景色の美しさや
凜とした空気に魅了されるのも事実。やはり四季が
あるというのは素晴らしいことですね。
春を迎え、暖かくなってきたところで、執筆や撮
影にも勢いをつけて頑張ろうと決意を新たにすると
ころです。
▼戦車乗りはつぶしが効かない
原隊復帰後に幹部候補生受験を命じられ、合宿に
参加し、受験勉強漬けの日々を送っていたある日、
大隊の人事幹部に呼び出された。
(人事幹部? 人事班? いったい何だろう……)
人事班は部隊で勤務している間、まったくといっ
ていいほど縁のない部署である。
人事幹部はよく知っている方だった。もともと同
じ中隊に所属し、長い間同じ戦車でクルーを組んだ
間柄である。戦車教導隊(2019年、偵察教導隊およ
び第1機甲教育隊と統合、機甲教導連隊として再編
成)や北海道の戦車部隊を渡り歩き、戦車一筋でや
ってきたベテラン中のベテラン。戦車に搭乗する際
は迷彩スカーフを首に巻き、俳優としても通用しそ
うな容貌で、とてもカッコよく、仲間内では「ミス
ター戦車」と呼ばれていた。
人事班に出頭し、人事幹部に挨拶する。一言二言、
言葉を交わした後、人事幹部は机上の資料に目を落
とし、口を開いた。
「お前、転属希望を出していたよな。東方(東部方
面隊)に行きたいのか?」
そうだった。前年、中隊長に転属希望を出してい
たのだった。
自衛隊生活が長ければ、幹部や陸曹関係なく、転
属の機会は必ず訪れる。
私の場合は特に希望を出さなくとも、しばらくは
部隊にいられそうだったが、数年経てば転属命令が
出るのは明らかで、それならば早いうちに希望を出
して自分の希望する業務に就きたいと思っていた。
戦車に乗るのは大好きだが、小さい部署でのデスク
ワークにちょっとした憧れがあったのも事実である。
そして、首都圏を含む関東地区の防衛を担当する東
部方面隊を希望したのは、都会への憧れもあった。
「しかしなあ……、東方管内だとお前が行けるのは
戦教(戦車教導隊)くらいしかないぞ。ちょうど1
人の枠があるんだが、どうだ?」
転属を希望した場合、行きたい部隊に必ず転属で
きるわけではない。転属先の部隊が必要としている
人数や希望する隊員が保有している特技(MOS/モ
ス)が合致しないと難しい場合が多い。各部隊が出
す「うちの部隊には○○の特技や能力を持つ陸曹が
○人欲しいです」といった「求人」に対し、希望要
件に該当する者が「応募」できるのである。
私が保有する特技は戦車乗員と戦車整備の2つ。
「応募できる求人先」はほとんどが戦車部隊。意外
と戦車乗りはつぶしが効かないのであった。
「……はい。戦教でお願いします」しばらく考えた
後、答えた。
「いいんだな?」
「はい」
「わかった。じゃあ、それで手続きするからな」
人事班を出て、勉強部屋に戻る。歩きながらいろ
いろ考えた。
戦車教導隊は富士教導団隷下の部隊で、文字通り
戦車の教育に従事する部隊である。私も戦車の教育
でお世話になった部隊だ。総合火力演習でも戦車の
訓練展示を担当し、腕利きの戦車乗りが集まる「戦
車のトップガン」ともいえるエリート部隊であった。
「戦教か……。忙しくなるだろうなあ……」
ハイと返事はしたものの、やや後悔の念も湧き上
がっていた。
数日後、人事幹部から再度出頭を命じられ、戦車
教導隊への転属がほぼ決定したことを伝えられた。
それからは勉強時間の合間に少しずつ部屋の荷物
をまとめ、不要品を処分したり、訓練用の私物を中
隊の後輩にあげたりと、異動の準備を始めた。
▼「戦教か富士学校、どっちにする?」
「えっ? またですか?」
廊下にある内線電話で伝えられたのは、またして
も人事班への出頭指示だった。
(まだ何かあるのかな……)
首を捻りながら隊舎を出て、大隊本部の人事班へ
向かう。
「入ります」
「おう、来たな」
私に気づくと、人事幹部が微笑んで声をかけてき
た。
「あの、まだ何か?」
「転属の話なんだが、実はもう1カ所、枠が出てな。
お前にどうかと思って呼んだ」
「どこの部隊でしょうか」
「富士学校の機甲科部だ。助教を探してるようなん
だが、どうだ?」
富士学校は静岡県の東、御殿場市に近い富士山麓
に位置する。陸上自衛隊の普通科、特科、機甲科の
教育研究を主に実施している陸上戦闘教育の「総本
山」であり、機甲科部は主に機甲科幹部などに対し
て戦車に関する各種教育、研究を担当している、い
わば「戦車学校」である。
(学校の助教か……。俺に務まるかわからないけど、
やり甲斐はありそうだ)
「戦教か富士学校、どちらかだ。どうする?」
「富士学校でお願いします」迷いはなかった。
「よし。若手の3曹が富士学校で助教やるのは大変
かもしれないが、まあ頑張ってこい」
こうした紆余曲折を経て、次に進む新しいステー
ジが決まったのである。
(つづく)
(ふじい・がく)
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【著者紹介】
藤井岳(ふじい・がく)ペンネーム
1979年岩手県一関市生まれ。1996年自衛隊生徒とし
て陸上自衛隊入隊。少年工科学校へ入校。卒業後機
甲生徒課程を経て第9戦車大隊(岩手)で戦車乗員
として勤務。2004年第3次イラク復興支援群に
参加、イラク・サマワにて任務に就く。2005年富士
学校(富士)に転属。機甲科部で助教として戦車教
育に従事。2008年退職。フリーランスフォトグラフ
ァーとして活動を開始。自衛隊航空部隊の撮影、取
材に取り組む。2015年から「PANZER」誌で執筆開始。
その後「丸」「JGROUNDEX」「JWings」などで写真
や戦車に関する記事を発表。現在に至る。
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