こんにちは、エンリケです。
藤井岳さんの、
「自衛隊・熱砂のイラク派遣90日」
の三十三回目です。
医官の言葉が、最後にしみじみ沁みますね、、、
さっそくどうぞ
ご意見・ご感想お待ちしてます。
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エンリケ
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自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(33)
医官の言うとおりだった
藤井岳(ふじい・がく)(元陸自2曹)
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□はじめに
ここ数週間の間、全国で震度4~5クラスの地震
が立て続けに発生しています。不気味ですね。先日
の福島県沖地震の際、私が住んでいる岩手県南では
揺れている途中に停電になり、東日本大震災の記憶
がよみがえりました。
今やこの日本では安全な場所などないという認識
が必要でしょう。地震発生時の対処や避難の要領な
どを再確認し、実際に起きた際の自身や家族、ペッ
トなど、それぞれどう動くかを頭の中でシミュレー
トするのも大事だと思います。
「常に備えよ」どんなささいな準備でも、やってお
けば必ず身の安全につながるはずです。
▼3か月ぶりの我が家
イラク・サマーワでの任務を完遂し、約3か月ぶ
りに帰国した2004年11月27日。青森駐屯地で盛大な
出迎えを受けた我々派遣隊員は、その日のうちにそ
れぞれ原隊のある駐屯地に戻り、休暇を与えられ、
家に帰ることができた。
駐屯地で両親と合流し、荷物を車に積んで出発。
実家までは高速道路を使って1時間半ほどかかる。
高速に乗ってからは、この3か月に家や街であっ
た出来事などを両親から聞いた。そして、愛犬も相
変わらず元気に過ごしていると聞き、もう少しで会
える、早く抱き上げたいと思った。
高速道路を南下し、街に到着。行き交う人たちや
車、建物、山や川を眺めながら、何も変わりないこ
とに安堵する。たった3か月で街の景色が大きく変
わるなんてことはないのだが、自分では半年か1年
ぶりくらいに帰ってきたような感覚だった。
ようやく家に着いた。荷物もそのままで、玄関に
入る。
愛犬が尻尾を振りながら駆け寄ってくる。
「ただいま!」声をかけながら抱き上げ、抱きしめ
た。
荷物を自室に置き、着替えて家の庭に出る。森や
田畑から吹いてくる風。その匂いを全身で受けると、
やっと帰るべき場所に戻ってきたのだと実感が湧い
てきた。
▼アルコール恐るべし
荷物を解いて整理していると、携帯電話が鳴った。
中学の同級生からであった。聞くと、この日に結婚
式を挙げたのだという。突然舞い込んだおめでたい
報せに私も高揚し、お祝いの言葉を伝えた。そして、
夜から開かれる2次会に来ないかと誘われた。
一瞬躊躇したが、喜んで行くと伝え、電話を切っ
た。
我々派遣隊員は、サマーワを離れる直前から、衛
生の医官から口酸っぱく言われていたことがあった。
それは、帰国直後の飲酒を控えることである。3
か月もアルコールを摂取していない体で、急に飲酒
するとアルコールの回りが早いので注意せよとのこ
とだった。
結婚式の2次会なら当然宴会となる。この時の私
は医官の言葉をそれほど重く考えていなかった。む
しろ大好きなビールを欲していた。
2次会は午後7時から、繁華街にある居酒屋の2
階を貸し切りにして開かれた。新郎をはじめ、同級
生が多数参加し、久々の再会を喜び合った。
乾杯でビールのジョッキをあおる。うまい。3か
月ぶりの「本物」のビールは体中に染み渡るようだ
った。飲んだ直後、特に体調に変化は感じられず。
2杯目、3杯目と体にビールを注ぎ込む。このあた
りから、いつもより少し早く酔ってきたかなと感じ
たが、飲むペースは変わらず、友人たちと楽しく会
話しながら飲んだ。
そんな時、隣に座っていた新婦の友人の女性から
ビールを勧められ、ありがたく頂戴し、返杯しよう
とビールの入ったピッチャーを手に取り、彼女が差
し出したジョッキに注いだ。
ピッチャーを傾けながら、体がぐらっと揺れる。
(えっ)と思ったのと、彼女の小さな悲鳴が聞こえ
たのはほとんど同時だった。
彼女のジーンズの膝元と畳が濡れている。
一瞬にして血の気が引いた。「すみません!」急
いで未使用のおしぼりをかき集め、こぼしたビール
を拭き取る。
罵声こそ口にしないものの、彼女は般若の形相。
何度も謝罪し、クリーニング代を払うと申し出たが、
それ以来、彼女は一言も口をきいてくれなかった。
やっちまった……。医官の言うとおりだった。
頭を抱える。周囲の友人たちは大笑いして見てい
たが、こっちはそれどころじゃない。
やがてお開きとなり、外に出て空を仰ぐ。12月は
目前。外の気温も低い。3次会に誘われたが、さす
がに断った。帰ろう。気持ちも冷え切り、肩を落と
しながら駅のタクシー乗り場を目指してとぼとぼと
歩いた。
(つづく)
(ふじい・がく)
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【著者紹介】
藤井岳(ふじい・がく)ペンネーム
1979年岩手県一関市生まれ。1996年自衛隊生徒とし
て陸上自衛隊入隊。少年工科学校へ入校。卒業後機
甲生徒課程を経て第9戦車大隊(岩手)で戦車乗員
として勤務。2004年第3次イラク復興支援群に参加、
イラク・サマワにて任務に就く。2005年富士学校
(富士)に転属。機甲科部で助教として戦車教育に
従事。2008年退職。フリーランスフォトグラファー
として活動を開始。自衛隊航空部隊の撮影、取材に
取り組む。2015年から「PANZER」誌で執筆開始。そ
の後「丸」「JGROUNDEX」「JWings」などで写真
や戦車に関する記事を発表。現在に至る。
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