こんばんは、エンリケです。
「海上自衛隊幹部候補生学校」の11回目です。
「人を指揮するなら、まず人に指揮されることを学ぶ必要がありま
す」
「物事の本質を頭ではなく体で理解していないと、強い幹部にはな
れない」
との候補生学校長のお言葉に、「ものごとの核心は分野を問わない
なあ」と深く深く共感、同意しているところです。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで思いを馳せます。
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『ライター・渡邉陽子のコラム (315)』
海上自衛隊幹部候補生学校(11)
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こんばんは。渡邉陽子です。
現在発売中の『PANZER』4月号(*1)に「神は賽子を振らない 第
32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」第24回が掲載されました。ついに
陸幕長時代に突入です。削減を続ける防衛予算、人員になんとか歯
止めをかけようと奔走し希望が見えてきたとき、政権交代でどんで
ん返し。陸幕長としての力の限界を痛感し……詳しくは本誌をご覧
いただければ幸いです。
また、『正論』で始まったばかりの連載「われらの女性自衛官」は、
緊急事態宣言のため取材ができず4月号は休載です。ただ巻末の編
集後記に当たる「羅針盤」で、編集長に連載の紹介をしていただい
ています(*2)。書店で見かけたらチラ見していただければ幸いで
す。
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記事掲載のお知らせです。
『PANZER』4月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第24回が掲載されました。ついに陸幕長時代に突入で
す。削減を続ける防衛予算、人員になんとか歯止めをかけようと奔
走し希望が見えてきたとき、政権交代でどんでん返し。陸幕長とし
ての力の限界を痛感し……詳しくは本誌をご覧いただければ幸いで
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『丸』3月号の特集で「自衛隊無人機事情」、「世界の軍備」で第
12ヘリコプター隊の記事が掲載されました。
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『正論』で始まったばかりの連載「われらの女性自衛官」は、緊急
事態宣言のため取材ができず4月号は休載です。ただ巻末の編集後
記に当たる「羅針盤」で、編集長に連載の紹介をしていただいてい
ます。
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■海上自衛隊幹部候補生学校(11)
取材時の海上自衛隊幹部候補生学校長へのインタビュー、前回の続
きをお届けします。
「候補生たちがここでの教育を終え、遠洋練習航海を経て部隊に配
置されると、自分より年上の、あるいは多くの経験を積んだ海曹た
ちの上に立って指揮を取らなければなりません。それは若い幹部に
とって相当な重圧です。ですから、人を指揮するなら、まず人に指
揮されることを学ぶ必要があります」
「さらに、部下の命を預かるにふさわしい知識や識見を身につける
と同時に、部下から信頼されなければなりません。また、知識や経
験がないと自信が持てずとかく萎縮してしまい、下からだけでなく
上からも信頼されないでしょうし、部下の気持ちが分かる思いやり
のある人間には育つことはできないでしょう。そのために、ここで
は彼らに厳しい教育と訓練を科しているのです」
「基礎的知識や技能を身に付けるのはもちろん、気力・体力を振り
絞って限界近くまで耐え、それを乗り越えることにより、不撓不屈
の意志の力が養われ自信が身につくのだと思います。体で得た自信
は決して忘れません。言い換えれば、物事の本質を頭ではなく体で
理解していないと、強い幹部にはなれないということです」
「海上自衛隊の指揮官(リーダー)教育はこの幹部候補生学校に始
まり、約1年の教育で、部下の先頭に立ち、指揮の中心となり、海
上戦力の一翼を担う強い幹部に育てなければなりません。そのため
には厳しく独特の教育にならざるを得ないと思っています。ただし、
幹部候補生学校というのは候補生のためにあるところなので、学
校すべてが候補生を中心に動くべきであり、ここでの価値判断の基
準は、それが学生のためになるかならないかに置くべきだと考えま
す。もちろん私も“学生のために、学生と共に”ということを常に
心がけています」
教える側にこの精神があるからこそ、候補生たちも心身共に厳しい
毎日をこなしていけるのでしょう。
「私は先輩の学校長から、『候補生教育は麦踏みのようなものだよ』
と聞かされたことがあります。麦踏みというのは麦そのものを踏む
のではなく、麦の周囲の土を適度に踏み固めることによって強い麦
を育てることです。麦そのものを踏んでは育つものも枯れてしまい
ますし、養分を与えることも必要です。麦が候補生だとしたら、麦
踏みを行うのが教官たちなのです。さらに教官たちの持っている知
識や経験、人間性、愛情、それらがぎゅっと詰まった養分を与えら
れることで強い麦に育ち、そこからさらにたくさんの強い実を実ら
せるのです」
海上自衛隊は帝国海軍からの伝統を継承し、その面影を色濃く残し
ていると言われます。そもそもこの江田島自体が、帝国海軍の歴史
そのものです。
「よく『江田島には帝国海軍以来の伝統がある』とか『この伝統あ
る江田島の地』といった言葉を聞きますが、具体的に『これが伝統
である』と一言で言い表すのは困難だと思います。海軍兵学校が東
京の築地からここへ江田島に移ってきたのは明治21年。そして、こ
の赤レンガの海軍兵学校の生徒館ができたのが明治26年です。以来
この江田島は、帝国海軍と海上自衛隊、海軍兵学校と幹部候補生学
校という違いこそあれ、“海を守る、国を守る”という志を同じく
するわれわれを、じっと見つめてきました。米海軍のバーク大将は、
『伝統が海軍精神を形づくる。伝統に従え、なぜならば伝統こそが
成功への道である』と言っています。世界に冠たる米国海軍がその
心の拠りどころをアナポリスのジョンポール・ジョーンズに求め、
英国海軍もネルソンやダートマスに求め、先輩の偉業を顕彰し、そ
の遺跡に触れ、敬虔な気持ちを持って後輩にもそれを伝えているの
でしょう。私はそれらに勝るとも劣らないのがこの江田島にあると
思っています」
次週に続きます。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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