こんにちは、エンリケです。
115回目の美佐日記。
意識改革のきっかけを与えてくる良い記事ですね。
わが国の未来に光をもたらす内容です。
さっそくご覧ください。
エンリケ
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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(115)
日本の畜産動物の保護は最低のGランク!?
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年3月の今回
は115回目となります。
前回、お知らせした夕刊フジでの「国防最前線」
連載、限られた字数の中で書くために言い切れない
ことも多く残りました。
特に3日目(2月26日掲載)の鳥インフルエン
ザに関して(*)は、読んで下さった方も「え~、
じゃあどうしたらいいんだ!」と思われているかも
しれません(インターネットサイト「ZAKZAK」でも
過去記事をご覧頂けると思います)。
(*)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210227/pol2102270002-n1.html
以前、この日記でも「アニマル・ウエルフェア(
AW)」について書きました(*)が、今回、もし夕刊
フジを読んで下さったなら、鳥インフル災害派遣の
生々しい現場を知って頂くことになり、普段、なに
げなく食べている卵あるいは鶏肉への見方が変わっ
たのではないでしょうか。
(*) 210125配信【桜林美佐の「美佐日記」(110)】
「安全保障と動物福祉と子ども食堂……異なる価値観
を許容する」
夕刊フジの拙稿にはそこまでハッキリ書きません
でしたが「消費者意識を変える」とは、いったいど
うすればいいのか。
まずはその前に、日本の養鶏も含めた畜産全体の
お話から。
世界的な動物福祉団体WAPは、日本の畜産動物
の保護を最低のランクである「Gランク」との評価
を下しているそうです。
これは関連法やその実効性によって決められている
ようで、そもそも日本の動物愛護法そのものが甘い
内容であり、にもかかわらずそれを日本国民は守れ
ていないということなのです。
ここで言う動物とは、ペットだけでなく食肉用の家
畜も含まれています。
首吊りにより時間をかけて豚を窒息死させたり、鶏
に適切な治療や殺処分を行なわずに放置し、餓死や
衰弱死させる、そのようなことが一部の農場のみな
らず、大手でも、ごく一般的に行なわれているとい
うのです。生きたまま鶏を焼却炉に投げ込んで焼き
殺していた養鶏場も確認されているといいます。
こうした、明らかな法令違反が何の罪にも問われな
いばかりか、世の中の誹(そし)りさえ受けてこな
かったのは、畜産業への立ち入りができる人間が極
めて限られていたからです。
ほとんどの日本人は中を見ることはありません。
その意味で、鳥インフル発生によって自衛官が中に
立ち入るようになったということは、現場で苦労し
た自衛官にとっては本当に大変なことですが、神の
采配だったのかもしれません。
よくテレビで鳥インフルのニュースの時に流れるあ
のトリたちの映像は、あくまでも「資料映像」です。
実態とかけ離れています。
これまでも自衛隊が鶏の殺処分にしばしば駆り出さ
れており、緊急性も認められたため、ある程度は仕
方がないと思っていましたが、畜産業のあり方その
ものを根本から見直さなければ、これから先もずっ
と感染と派遣のイタチごっことなってしまうことを
強く案じます。
「コスト重視」、「生命の尊厳を軽視」の果てに鳥
インフル大量発生はあると言ってもよさそうです。
そのツケを自衛隊が払っていると考えたら?これは、
受け入れ難いものです。
2020年に、スタンフォード大学の研究チームは
「森林破壊が野生動物から人間へのウイルス感染の
原因になっている」という論文を発表したそうです。
野生動物が人間にウイルスを移しているのではなく
「実際は、人間側が野生動物の領域に侵入している
ことが原因だ」といいます。
森林破壊は家畜の生産のために膨大な穀物を消費し
ていることが原因であることが分かっています。野
生動物の居場所はなくなり、残った狭い森の中に異
種が混在することで、ウイルスの温床となっている
というのです。
そして、発展途上国の家畜の飼育環境もウイルス拡
大を助長しているといいます。「途上国では、豚や
鶏など複数の種類の家畜を隣接した狭い区画で飼育
することが珍しくない」と報告されています。
これ、日本もほとんど同じ環境です。
90%以上の日本の養鶏場は「バタリーケージ」で
す。
「バタリーケージ」とは、B5用紙1枚くらいの大
きさの金網の中に鶏をぎゅうぎゅう詰めに入れて、
それを連ねて飼育するものです。2012年にEUで使用
が禁止されて以来、諸外国でも「バタリーケージ」
廃止の動きが広がっていますが日本は変えていませ
ん。
業界大手は低コストで抑えるためにも、この「バタ
リーケージ」を続けることを農水省や大臣に要望し
多額のお金を渡していました。省の職員と鶏卵業者
との会食も発覚したとの報道も出てきました。
森林破壊については、全世界の農耕地の77%が畜
産に使われていることから、最近は健康だけでなく
環境への配慮から肉食をやめてベジタリアンやヴー
ガンになる人が増えています。
従来、こうした話は嗜好に関するものとして避ける
べき類でしたが、先般はついにNHKスペシャルで
も「フードクライシス」をテーマに取り上げ、穀物
を育てるのに必要な水があと10年で足りなくなり、
2050年には地下水が枯渇するというショッキン
グな内容を放送していました。
肉の摂取を今から少しずつでも減らすことが、ウイ
ルス発生の抑制にも、環境問題解決にも、また近い
将来に起こり得る食糧危機を防ぐためにも、大きな
カギになることは間違いないなさそうです。
また、卵を買う場合は、ケージ飼育を選ばずに「平
飼い」「放牧」卵を選ぶことが私たちに求められる
行動になりそうです。
卵といえば、どんな時にも低価格で安定している、
家庭のお助け食品です。しかし、昨年からの鳥イン
フルでじわじわと価格が上昇しているそうです。「
平飼い」は割高ですが、いつもの卵が高騰するとい
うこの機会に多くの消費者が「平飼い」卵に代える
ことでケージ飼いを減らすしかありません。そうな
れば「平飼い」でも価格を下げることが可能になる
でしょう。
因みに、この話はオリンピックにも関係します。2
012年のロンドン、2016年のリオ大会では、
選手村で出された卵はすべて「ケージフリー」のも
のだったそうです。東京五輪でも、一部の選手たち
が同様の基準を満たすよう声明を出しています。
国防の任にあたる自衛官がこれ以上、鳥インフルの
殺処分現場に赴かせたくはありません。
折しも、ロシアでは日本で流行しているのと同じ鳥
インフル「H5N8型」で、トリから人への感染が
世界で初めて確認されました。
殺処分作業をする自衛官には感染対策として「タミ
フル」が配付されているといい、実際この災害派遣
は新型コロナに関わる医療支援に並ぶ、リスクと隣
り合わせの活動になっているのです。
自衛官を守るために、消費者としてできる小さいな
がらも1つのアクションとして、とにかく私は卵を
買う場合は「平飼い」を選ぶことにしようと思いま
す。
<おしらせ>
月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
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会員制月刊誌『テーミス』でも自衛隊ルポを連載中
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3,YouTubeチャンネルくららで毎週土曜に
アップしている「国防ニュース最前線」、今週も伊
藤俊幸・元海将に解説をして頂きます!
※2月13日にアップされた「コロナ禍で分かり合
えないのは○○が足りないから」は、とても好評で
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(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。
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