こんにちは、エンリケです。
藤井岳さんの、
「自衛隊・熱砂のイラク派遣90日」
の三十回目です。
冒頭文を読みながら、
いろいろな分野で成功した人が、
「チャンスは人が持ってきた」という点で共通
していたことを思い出しました。
チャンスは外から誰かが持ってくる。
わたしの経験を振り返っても、
これは確かです。
縁を大切に。
自分を大切に。
人を大切に。
目に見えないものを大切に。
さっそくどうぞ
ご意見・ご感想お待ちしてます。
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エンリケ
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自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(30)
短くも長い旅
藤井岳(ふじい・がく)(元陸自2曹)
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□はじめに
ミリタリー業界で実際に撮影や執筆をさせていた
だくようになって数年。まだまだ振り返って懐かし
むような経歴はもっていませんが、今まであったこ
とを思い起こすと「縁」というものがいかに大事で、
これに導かれて今の自分がある事を身に沁みて感じ
ます。
「縁」というと人間の手には負えない「神様が取り
持つもの」のようなイメージがありますが、我々人
間にも関わる余地はあるのではないか? 良縁は
「待つ」もの、期待するだけのものではなく、自ら
「引き寄せる」ものと最近考えるようになりました。
今の私に当てはめれば、撮りたいものは撮る、書
きたいものは書く、会いたい人には会いに行く……
こんなところです。
もちろんこれで全ての望みが叶うわけでも、良縁
に恵まれるわけではありません。しかし、何もせず
に座して待つよりは自ら動いてこそ、縁やチャンス
というものが巡ってくると思っています。
▼帰国の途へ
クールダウン最終日を消化し、ついに日本へ発つ
日を迎えた。誰もが待ち望んだ母国への帰還だ。
起床して朝食。その後、洗顔を済まし、荷物をま
とめる。
ほのかに洗剤の香りのする、綺麗に畳んだ戦闘服
をバッグから取り出し、袖を通す。最後にベレー帽
を被り、形を整える。
部屋を出ると、同じタイミングで他の部屋からも
同僚たちが出て来た。その表情は皆一様に明るい。
1階ラウンジに集合し、クウェート国際空港での
乗機要領の説明などを受け、その後、各自荷物を持
って、ホテルの玄関前に到着したバスに乗り込む。
「ようやくだな」
そんな声があちこちから聞こえる。
玄関を出て、外の空気を吸い込む。空はどこまで
も青い。クウェートは今日も暑くなりそうだ。
バスはホテルを出発後、クウェート市内をしばら
く走り、クウェート国際空港の駐機場に入った。手
荷物を持って降車する。搭乗する飛行機は、日本か
らクウェートへの移動時に搭乗した、タイのプーケ
ット航空のボーイング747型機であった。
一度機内に入り、座席に手荷物を置いて降機、見
送りの高官が到着するまでしばらく待機する。服装
を整え、出発時と同様、緑色のスカーフを首に巻く。
高官が到着し、タラップの前に整列すると、隊員
にも整列の号令がかかり、1列縦隊でタラップまで
進む。高官から一人一人に労いの言葉を頂いた。続
いてタラップを上り、機内に入る。座席につき、シ
ートベルトを装着。帽子とスカーフを脱いで一息つ
く。
飛行機が滑走路を蹴り、飛び上がった。
「俺の人生で、また中東に来ることはあるだろうか」
などと考えながら、窓の外の景色を眺める。市街
地上空を飛んでいる間、クールダウンで宿泊したホ
テルも見えた。もうあんな退屈な日々は勘弁だな、
と思う。
飛行機が高度を上げ、窓から見える景色も雲だけ
になり、あとはひたすら退屈な時間に耐えるだけだ。
何もすることがない。眠気は感じなかったが、た
だ目を閉じて眠りに落ちるのを待った。次は往路と
同じく、トランジットでバンコクに降りる。
機内食を食べては寝てを繰り返し、約8時間。飛
行機はバンコク国際空港(2004年当時)へ着陸した。
狭い機内で難儀しながら私服に着替え、降機。ター
ミナルで数時間待機となった。3か月前、クウェート
への往路の途中、ここバンコクでのトランジットは
戦闘服姿でターミナル内での待機となったため、
我々はとにかく目立った。迷彩服姿の兵士の集団が
国際空港のターミナルに突然現れれば、それを見た
人たちが驚くのも当然だろう。各国からの旅行客は
皆目を丸くし、あからさまに嫌悪の視線で見てくる
旅行客もいた。
復路のトランジットで私服が許可されたのはよか
った。周囲を気にせず安心して過ごせる。
ターミナル内での行動は基本的に自由で、土産物
を見たり、食堂で同僚から勧められたタイ風ラーメ
ンを食べて時間を過ごした。仲間と一緒に話でもし
ていれば時間が経つのも早い。搭乗時間が近づくと、
早めに飛行機に戻った。
バンコクは夜。窓の外、空港のカラフルな照明を
眺めながら、この窓から青空が見える頃にはもう日
本の空にいるのだなと思う。青く染まった窓を見た
時、自分はどんな気分になるだろう。
「この短くも長い旅」のゴールである母国日本へ向
け、飛行機は闇の中、バンコク国際空港を飛び立っ
た。
(つづく)
(ふじい・がく)
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【著者紹介】
藤井岳(ふじい・がく)ペンネーム
1979年岩手県一関市生まれ。1996年自衛隊生徒とし
て陸上自衛隊入隊。少年工科学校へ入校。卒業後機
甲生徒課程を経て第9戦車大隊(岩手)で戦車乗員
として勤務。2004年第3次イラク復興支援群に参加、
イラク・サマワにて任務に就く。2005年富士学校
(富士)に転属。機甲科部で助教として戦車教育に
従事。2008年退職。フリーランスフォトグラファー
として活動を開始。自衛隊航空部隊の撮影、取材に
取り組む。2015年から「PANZER」誌で執筆開始。そ
の後「丸」「JGROUNDEX」「JWings」などで写真
や戦車に関する記事を発表。現在に至る。
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