こんにちは、エンリケです。
藤井岳さんの、
「自衛隊・熱砂のイラク派遣90日」
の二十五回目です。
交代直前の様子が生々しく伝わってきます。
さっそくどうぞ
ご意見・ご感想お待ちしてます。
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エンリケ
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自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(25)
部隊交代始まる
藤井岳(ふじい・がく)(元陸自2曹)
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□はじめに
大寒波は過ぎたというものの、寒さは日に日に厳
しくなっているような気がします。まだ1月、来月
2月も寒さは厳しいでしょう。北国住まいの身とし
ては、暖かさを感じ、春の訪れを予感するのはやは
り4月に入ってからですね。
最近は積雪やコロナ感染予防も相まって、外出す
る機会がかなり減りました。外出しても、用事を済
ましたら、すぐに帰宅しています。自宅では原稿を
執筆して過ごすほか、今は執筆の合間にプラモデル
を作るようになりました。最後にプラモデルを作っ
たのはいつだっただろうかと考えながら、ひさしぶ
りに手に取ったプラモデル。作っている間は制作に
集中でき、頭と手を使うので、とても良い時間です。
窓の外の雪がちらつく景色を見ながら暖かい部屋
で静かにプラモデルを黙々と組む時間、こういった
時間を過ごせることが日常の中の幸せなのでしょう
ね。しっかり噛みしめたいと思います。
▼3か月ぶりの「キャンプ・バージニア」
サマーワでの任務終了まで1週間をきった。
本格的な整備業務はほとんどなく、日中にやるこ
とといえば必要に応じて軽整備や点検を行なうくら
いで、あとは引き継ぎ準備と帰国準備だった。整備
天幕や待機天幕、コンテナハウスの中も物が少なく
なり、業務最盛期の賑やかさはもうなく、何となく
寂しさを覚えた。
11月10日、用務でクウェートのキャンプ・バ
ージニアへ。今回は全行程を陸路で移動した。朝6
時に高機動車に乗り込み出発し、午後1時過ぎにキ
ャンプ・バージニア到着。休憩といえばイラク・ク
ウェート国境近くのガソリンスタンドで、給油時に
降車して用を足すくらいだった。
約3か月ぶりのキャンプ・バージニア。特に変わ
ったところはなかったが、多国籍軍の動きは相変わ
らずで、これからイラクに展開する部隊、そしてイ
ラクでの任務を終え、帰国準備のため滞在する部隊
が混在していた。
どこの国の兵士も、展開前か帰国前かはその表情
や雰囲気でわかるような気がした。展開前の兵士は
何となく緊張感が表情に出ており、キャンプ内での
足どりも重たげな印象。反対に、帰国を控えた兵士
は明るい表情で仲間と話したり大きな笑い声を上げ
たりしている。早く母国に帰りたいという気持ちが
振る舞いからわかるようだった。
売店で買い物をしていたら、緑系の迷彩服を着た
兵士2人に声をかけられた。「何か用かい?」と聞
くと、カメラを取り出し(一緒に撮ろう)とジェス
チャーをしている。オーケーと答え、一緒に写真を
撮った。見たところヨーロッパ近辺の国の兵士のよ
うだったが、英語をほとんど話さず、聞いたことの
ない言葉で会話をしていた。
「どこの国から来たんだい?」
「ジョージア」
ジョージア? アメリカの? まさか……、この
2人はアメリカ兵ではない。
「ジョージアから来たの?」
「そう、ジョージアだ」
首を傾げて(どこの国だろう……)と考えている
と、1人が雑誌コーナーから世界地図を持ってきて
広げ「ここだ。ここがジョージア」と指さした。
グルジア。
現在、英語名の「ジョージア」が定着しているが、
2004年当時、まだ日本ではグルジアと呼ばれていた。
「ああ、グルジア! オーケー、わかった」
そう言って頷くと、2人は満足そうに微笑んだ。
▼「さよならパーティ」
サマーワ移動前の滞在期間に通った「グリーンビ
ーンズカフェ」にも顔を出してみた。あの人なつこ
いインド人スタッフ、アニーシに会いたかった。
店に入ると、スタッフは初めて見る顔ばかりだっ
た。
「注文は?」
私に気づいたスタッフが声をかけてくる。
「アニーシは? アニーシというスタッフがいたと
思うんだが」
「彼はもういないんだ」そのスタッフは事も無げに
答えた。
辞めたのだろうか……。
サマーワでの任務を終えてまたキャンプ・バージ
ニアに戻ってきたら、必ずここに顔を出すよと言っ
た私に、「待ってるよ」と笑顔で答えたアニーシ。
彼にはもう会えないのか。
何となく寂しい思いで店を後にした。
この日はキャンプ・バージニアに一泊し、明朝5
時に出発。午後1時過ぎにサマーワ宿営地に到着し
た。
11月17日は夕方から「さよならパーティ」が
開かれ、糧食班が腕を振るった料理に舌鼓を打ちな
がら各中隊の余興を見て大笑いし、なごやかな時を
過ごした。
11月19日早朝、第3次復興支援群第1波がサ
マーワを出発。手の空いた隊員は全員集合し、仲間
の出発を見送った。
11月20日午後、第4次復興支援群第1波がサ
マーワに到着。前日の見送り同様、多くの隊員が駆
けつけ、4次群の隊員を拍手で迎えた。次々と宿営
地に到着する車両と、車両の窓やハッチから顔を出
し出迎えに応える隊員たちは皆笑顔だ。自分がサマ
ーワに到着した時もこうだったな、あれから3か月
も経ったのかと感慨にひたる。
(つづく)
(ふじい・がく)
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【著者紹介】
藤井岳(ふじい・がく)ペンネーム
1979年岩手県一関市生まれ。1996年自衛隊生徒とし
て陸上自衛隊入隊。少年工科学校へ入校。卒業後機
甲生徒課程を経て第9戦車大隊(岩手)で戦車乗員
として勤務。2004年第3次イラク復興支援群に参加、
イラク・サマワにて任務に就く。2005年富士学校
(富士)に転属。機甲科部で助教として戦車教育に
従事。2008年退職。フリーランスフォトグラファー
として活動を開始。自衛隊航空部隊の撮影、取材に
取り組む。2015年から「PANZER」誌で執筆開始。そ
の後「丸」「JGROUNDEX」「JWings」などで写真
や戦車に関する記事を発表。現在に至る。
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