配信日時 2021/01/15 08:00

【自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(24)】「そびえ立つ聖塔ジッグラト」 藤井岳

こんにちは、エンリケです。

藤井岳さんの、
「自衛隊・熱砂のイラク派遣90日」
の二十四回目です。

知られざるいいはなしです、、

さっそくどうぞ


ご意見・ご感想お待ちしてます。
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エンリケ


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自衛隊・熱砂のイラク派遣90日(24)
 
そびえ立つ聖塔ジッグラト

藤井岳(ふじい・がく)(元陸自2曹)

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□はじめに
 
 正月明け早々の大寒波襲来で、日本海側の各地で
は高速道路が通行不能になったり、停電や交通事故
が多発しています。被害に遭われた方々にはお見舞
い申し上げます。
 
 今回も自衛隊が災害派遣で出動し、家屋や道路か
らの雪の排除や食糧の配布などにあたりました。そ
の中で、一般の方から隊員に対して温かい食べ物の
差し入れなどもあったということです。隊員はどん
なに嬉しかったことでしょう。彼らの士気が著しく
高まったであろうことは想像に難くありません。
 
 これは、今回の災害派遣に限ったことではないと
思うのです。国民の力強いエールがあってこそ、隊
員は頑張れる。他国では一般人が軍人をリスペクト
し、一般生活の中でも軍人に声をかけたり手助けす
るのが当然という考えが定着しています。日本でも
自衛隊の好感度は上がっているといいますが、さら
に自衛隊員が胸を張って生活できるような社会にな
ればと思います。
 
 
▼古代メソポタミアの遺蹟を見学
 
 ウルのジッグラト。古代メソポタミアの象徴的な
建造物として世界史の教科書などでも紹介されてお
り、ご存知の読者の方も多いと思う。
 
 話は前後するが、2004年11月8日、サマーワ展開
期間最後の物資輸送任務に参加、タリル空軍基地へ
向かった。物資の積載を終えると、コンボイの乗員
が集められ、高機動車に乗せられた。
 
「どこに行くって?」
 
「何か、近くに遺跡があるらしい」
 
 遺跡? そういえば、他部隊の隊員が遺跡を見に
行き、見学や土産物の購入をしたという話を耳にし
ていたが、そこのことだろうか。物資輸送の機会に
見学するということか。
 
 私自身は歴史が大好きで、日本では博物館や史跡
を訪問する機会も多かった。少し心が躍る。
 
 20分くらい車に揺られただろうか。車が止まり
、下車の指示が出た。
 
「おお……」
 
 そびえ立つジッグラトを目の当たりにして、思わ
ず声が漏れる。
 
 海外の歴史的建造物を目にするのは初めてであり、
特徴的なジッグラトの形状も相まって、俄然興味が
じわじわと湧いてきた。
 
▼4000年の歴史に思いを馳せる
 
 武装を解いて軽装での見学が許可され、戦闘服に
防暑帽でジッグラトに向かう。階段の上り口で記念
写真を撮り、さらに上がる。手すりをはじめ、ジッ
グラトの外面は煉瓦が積み上げられていた。建造さ
れたのが紀元前2100年頃というから、約4100年も前
のものか。煉瓦に触れながら、時の流れを想うと不
思議な感覚を覚える。
 
 ジッグラトの上部に上がると、元あったという神
殿は姿形もなく、土があらわになり、平面が広がる
のみだった。しばらく歩き回り、全周を見渡す。目
立つ物といえば足元に広がる広大なタリル空軍基地、
そして民家も散在していた。あとは土漠が広がるだ
けである。
 
 古代の神官もこの景色を見ていたのだろう。ここ
でも4000年以上の時の流れに想いを馳せ、しば
らく景色を眺めた。
 
 ジッグラトから降りると、少し離れたところに小
屋があった。どうやら聞いていた土産物屋のようだ。
物産品や工芸品といったものはほとんど見当たらず、
フセイン時代の硬貨やイラク軍の用品などが並んで
おり、小屋の中には無愛想な男が2人座っていた。
軽く挨拶をしても、ふて腐れたような表情を変える
こともない。
 
 ほかの隊員が購入した硬貨セットを手に取り、値
段を聞くと、聞いていた値段の倍の値段を答えた。
驚いて「前に日本隊が来てここで購入したときには
半分の値段だったと聞いたけど?」と聞くと、無言
で首を振るだけ。何て連中だ。ぼったくる気か。
 
 しかし、ここで買わねば後は入手できる機会はな
い。こんな連中から買うのはシャクにさわるが……。
さんざん迷ったあげく、彼らの提示した値段で購入
した。とはいえ、何十ドルもするような値段ではな
く、十数ドルの出費だったが。
 
 買い物を終え、あらためてジッグラトを見上げる。
見学に訪れていたのは当初われわれだけだったが、
タリルに戻る直前にアメリカ軍の兵士が数十人訪れ
た。
 
 日本の歴史的建造物とは違い、補修や整備をして
いる様子もなく、ただ朽ち果てていくままにしてい
るようだった。ゲートや外柵などもなく、いつでも
だれでも自由に入れる。その割にいたずらの跡やゴ
ミが見当たらなかったのは、元々訪れる人が少なく、
興味を持つ人も少ないのかもしれないと寂しく思っ
た。


(つづく)




(ふじい・がく)


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【著者紹介】

藤井岳(ふじい・がく)ペンネーム
1979年岩手県一関市生まれ。1996年自衛隊生徒とし
て陸上自衛隊入隊。少年工科学校へ入校。卒業後機
甲生徒課程を経て第9戦車大隊(岩手)で戦車乗員
として勤務。2004年第3次イラク復興支援群に参加、
イラク・サマワにて任務に就く。2005年富士学校
(富士)に転属。機甲科部で助教として戦車教育に
従事。2008年退職。フリーランスフォトグラファー
として活動を開始。自衛隊航空部隊の撮影、取材に
取り組む。2015年から「PANZER」誌で執筆開始。そ
の後「丸」「JGROUNDEX」「JWings」などで写真
や戦車に関する記事を発表。現在に至る。



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