こんばんは、エンリケです。
「海上自衛隊幹部候補生学校」の5回目です。
こんかいもトリビアです。
赤レンガのトリビアが、実に興味深かったです。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (309)』
海上自衛隊幹部候補生学校(5)
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こんばんは。渡邉陽子です。
住んでいる地域に緊急事態宣言が発令されてしまいました。その瞬
間、決まっていた仕事がふたつ、「1都3県からの取材者は受け入
れ不可」という理由で中止になりました。年始早々恐れていたこと
が起きて、さすがにへこみました。気持ちを切り替えないといけま
せんね。
K様
教官として海自で勤務されたこともあるとは貴重なご経歴ですね。
旧軍を負の歴史として関係性を断った陸自とは対照的に、海自は伝
統墨守に誇りを持っていますよね。個人的には空自の伸び伸び大ら
かな空気も大好きです。
N様
五省は難しい言葉が並びますが、実は奇をてらったことは一切言っ
ていないですよね。江田島は見送りに行かれたこともあるのですか。
幹候を卒業し、実家にほんの少し立ち寄ることも許されないまま遠
洋練習航海に出るのは酷だよなと思っていたのですが、知り合いの
自衛官はただただ江田島を離れられるのがうれしい一心だったと言
っていました。
記事掲載のお知らせです。
『丸』12月号の「世界の軍備」に「個人用防護装備防護マスク」が
掲載されました。今回は自衛隊の装備品である防護マスクだけでな
く、新型コロナで人々の生活に不可欠なアイテムとなったマスクに
ついてもご紹介しています。医療従事者が使うサージカルマスクと
自衛隊の防護マスクの製造メーカーは同じなのです。
マスクの正しい装着方法についても触れました。
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『PANZER』12月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第20回が掲載されました。
今回は防衛大学校幹事時代のお話前編です。幹事とは、一般の学校
でいう副校長。自身が学んだ防大に、今度は将官として戻ってきま
した。凱旋ともいえますが「演習場で状況中」が三度の飯より好物
の火箱氏、最初はあまり乗り気な人事ではありませんでした。しか
も当時の防大生は……
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月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。
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■海上自衛隊幹部候補生学校(5)
先週に続き、海上自衛隊幹部候補生学校の「ミニトリビア」です。
■基準は艦
●右側通行
これも艦内での動きに準じたもので、「右大回り、左小回り」と、
常に右側通行。艦内の廊下は狭いので、これが徹底しないと出会い
がしらにぶつかってしまいかねません。そのため、艦に乗っていな
いときでも右側通行を厳守して体に覚えさせます。
●部屋番号
赤レンガは正面入口を艦の船首と見立てて各部屋の番号を付けてい
ます。艦では右舷が偶数、左舷が奇数となるので、正面から見て右
側の部屋には偶数、左側の部屋には奇数の番号が付けられています。
ちなみにこの正面玄関を候補生たちが使用することは許されておら
ず、左右両端の廊下から出入りします。
●5分前の精神
海上自衛隊では、艦艇乗員が遅刻して出港に間に合わない「後発航
期」は懲戒処分の対象。そのため、どんなことでも時間に余裕を持
って臨むよう、常に5分前には次の行動に移る準備が整っているよ
うにします。具体的に流れる号令アナウンスは「総員起こし5分前」
「国旗揚げ方5分前」「消灯5分前」など。
■掃除関連
●甲板掃除
幹部候補生学校に限らず、海上自衛隊ではあらゆる掃除のことを甲
板掃除と呼びます。
●目立て
熊手を使って砂地に石庭のような目立てをつけるのは、「この場所
の掃除はした」という印の意味だけでなく、そこを人が通れば「誰
か通った」とはっきりわかるようにするためでもあります。さらに
見栄えもいいし、なによりも目立てをしていると雑草が生えにくい
のだそうです。
●金属磨き剤
実際は「ピカール」と商品名で呼ばれることが一般的。光るべきも
のが光っていないことは許されないので、磨き剤と布を使って顔が
映るほどに磨き上げます。昔、トイレの排水レバーが真鍮だった時
代は、当然レバーも磨いていたそう。
■赤レンガ関連
●建物のサイズ
「赤レンガ」の名称で親しまれている幹部候補生学校庁舎は、左右
対称で東西141m、きっかり真東・真西を向いています。
●竪樋(たてどい)
屋根の雨水が赤レンガの壁を汚さないよう竪樋(いわゆる雨どい)
を設けていますが、壁面から目立って外観を損ねないようにと壁に
埋め込まれています。さらに雨水の地面からの跳ね返りを防ぐため、
側溝まで竪樋をつないでいるという細かさ。
●赤レンガは英国製!?
使用されている赤レンガは、ひとつずつ油紙で二重に包装し、イギ
リスから軍艦で神戸に運び、そこから小船に積み替えて江田島に持
ち込まれたと言われてきました。しかしその後の調査の結果、実際
は現在の東広島市で生産されたものと判明。当時の日本は外国崇拝
の傾向が強かったため、帝国海軍の威厳を示そうとこのような話に
なったとか……。
●赤レンガのサイズ
江田島で使用されている赤レンガは、現在のものよりも一回り大き
く製造されています。この建物は従来の日本建築とは根本的に異な
るため、外国技術者の指導が必要でした。そのため、西洋人の手の
寸法に合わせたサイズのレンガになったと言われます。
●ドアがない!
赤レンガには、各部屋に入るためのドアはあっても、この建物に入
るためのドアはありません。必然的に雨風がホールにがんがん吹き
込んでくるし、天井からつり下がる電灯も揺れまくります。甲板掃
除も大変な労力を伴います。海軍兵学校時代の生徒はこの建物で寝
起きしていたので、ドアがないのは「総員起こしの邪魔だから」と
の説も。
●玄関ホールの床板
赤レンガの玄関ホールの床板は、旧帝国海軍の軍艦である初代「金
剛」で使用されていた甲板板に使用されていたチーク材をそのまま
使っています。3つ並んだ穴は、甲板にビス打ちされていた穴の名
残。「金剛」は明治43年に除籍しました。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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