配信日時 2020/12/11 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】イスラエル軍事力(2)対外情報機関「モサド」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
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きょうの主役はあの「モサド」です。

この種の話を真摯に研究して今に活かす。
そんな国に我が国をしたいですね。

さっそくどうぞ


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編     

イスラエル軍事力(2)対外情報機関「モサド」


Takashi Kato

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□トランプツイッター番外編
 
 12月2日、トランプ大統領は「この4年間でも
っとも重要な演説」と題し、ツイッター上で選挙結
果を総括しました。新情報や不正の物的証拠は示さ
れませんでしたが、「大統領の最重要職務は民主主
義の基盤である投票権と選挙制度、しいては米国憲
法を守ることだ」と再三強調。「自分は組織的攻撃
にさらされているこういったアメリカの国体と、今
後行なわれる選挙の公平性を死守するために戦い続
ける」と締めくくりました。
 
主流メディアの報道だけ見ていると、米大統領選挙
はすでに決着したとの印象を受けます。バイデン陣
営も政権移行のための閣僚人選その他の手続きを進
めており、来年1月20日の大統領就任は動かない
との立場です。

しかし、この演説にあるように、トランプ氏は州議
会と最高裁での二正面作戦による「逆転劇」を諦め
てはいません。トランプ氏再選を予見する論調も、
保守派の論客や支持者の間では勢いを増しています。
この「自信」の背景には、ひとつには激戦州の公
聴会で示された開票不正を示唆するビデオ映像など
が引き金となり、州議会が選挙結果認定を延期した
り差し止めたりする動きが増えるとの読みがありま
す。

また、トランプ氏が指名した裁判官らが承認され、
保守派判事が過半数を占めることとなった連邦最高
裁判所への期待感も働いていましょう。最高裁は先
日、武漢ウイルス感染防止の名目で、州知事らが教
会やシナゴーク、モスクでの礼拝を禁じたり参加者
数に上限を設けたりした命令を違憲と判断したので
すが、保守派は「パンデミックを口実に個人の自由
をはく奪することは許されない」との意見を、最高
裁が「建国の父ら憲法制定者の意図を重んじる始原
主義」に立ち戻った証拠だと判断。トランプ陣営が
起こした訴訟が最高裁で審議される場合、「憲法擁
護」を重視するトランプ大統領に有利な判断を下す
との楽観論が勢いづいたのです。

ネット上ではこの他にも、知名度の高い退役将軍ら
や現役下院議員が発信した「アメリカは米国憲法と
国体を破壊しようと目論む内外の敵と戦争状態にあ
り、これはクーデターである。したがって、戒厳令
を敷いて再投票を行なうべきだ」との主張や、「不
正投票の証拠がアップロードされたドイツ国内のサ
ーバーを米陸軍が押収した」などの怪情報が連日連
夜闊歩、拡散しています。

ジャーナリストと報道機関が事実をありのままに伝
え、判断を大衆に委ねた時代なら、「陰謀論」に過
ぎないことが速やかに看破された内容でしょう。

そうかと思えば、トランプ擁護派と目されていた弁
護士らが、来年1月5日にジョージア州で行なわれ
る上院議員決選投票のボイコットを呼びかけ、同州
の有権者を混乱させています。共和党の現職議員ら
が敗れれば、民主党が上下両院を制する可能性があ
り、そうなればアメリカの社会主義化は一挙に進み
ます。

トランプ再選を声高に訴える著名弁護士らが、いっ
たいどんな動機で、誰のために、何の目的でハレン
チな利敵行為に出たのか・・・大統領選挙を境に、
とみにフェイクニュースや怪情報の温床と化したネ
ット社会は、文字通り魑魅魍魎の世界です。

トランプ大統領は、12月14日に行なわれる大統
領選挙人投票でバイデン候補が正式に選ばれた場合
、政権を引き渡すと明言しています。反トランプメ
ディアの目論見どおり「あっさり」そうなるのか、
それとも、想定外の土壇場大逆転が現実のものとな
るのか・・・いずれにせよ、今月14日をもって百
鬼夜行の選挙沙汰に終止符が打たれ、米国政治と社
会に恙(つつが)ない日々が戻って欲しいものです。


▼対外情報機関「モサド」

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

 イスラエルの国防2回目は諜報活動や隠密作戦、
場合によっては暗殺も遂行するイスラエル諜報特務
庁「モサド」(組織を意味するヘブライ語が語源)
を採りあげます。
 
 モサドの目的や方針、任務、活動、権限、そして
予算などを規定する法律は存在しないとされていま
す。とすると、モサドは法の枠外にある「影の政府
機関」という性格を帯びます。

またモサドの長官は首相直属のポストで、首相以外
に活動内容や理由を説明する義務を負いません。モ
サドに与えられたこの超法規的立場が、敵国や敵組
織要人の暗殺作戦遂行を可能にしていると考えられ
ます。

 イスラエルに害をなす、または害をなす可能性が
ある人物の暗殺には批判もあろうかと思います。ま
た、モサドの超法規的立場が暴走につながるとの懸
念にも一理あります。しかし、建国直後から四面楚
歌にあった小国が生き延びるためには、文字通り「
手段を選ばぬ覚悟と実力」が不可欠でした。海外で
の隠密武力行使も厭わないモサドはイスラエルの敵
を震撼させる存在であり、祖国防衛上の抑止的意義
を疑うユダヤ人はいないでしょう。

 2010年、アラブ首長国連邦(UAE)の首都
ドバイで発生したマフムード・アル=マブフーフの
暗殺事件はモサドの仕業だとされています。アル=
マブフーフはイスラム原理主義組織ハマスの軍事部
門幹部で、イスラエル兵の殺害やイランからの武器
密輸容疑などでイスラエル政府から指名手配されて
いた人物です。

 ドバイ警察によれば、26人の容疑者が英、仏、
独、オーストリア、アイルランドの偽造パスポート
でUAEに事前入国。同ハマス幹部の滞在先ホテル
を迅速に把握していること、部屋のオートロック解
除を誰にも気づかれずに行なっていること、また、
自然死に見せかける手の込んだ殺害方法などから、
よく訓練されたイスラエルのプロ集団関与が疑われ
たのです。イスラエル政府はモサドの関与を否定も
肯定もしていませんが、同国メディアはモサドの隠
密作戦だったことを事実として報じています。

 時代は下って先月27日、イランの首都テヘラン
で同国の核開発を秘密裏に推進してきた科学者とボ
ディーガードが銃撃され死亡しました。この暗殺で
もモサドの関与が示唆されています。事実と認定さ
れれば、イランはイスラエルへの報復を行なう可能
性があります。

 こういったモサドの行動は「攻撃は最善の防御」
という兵法を具現したものです。人類は未(いま)
だ「国と言う枠組み」に別れて雌雄を争う精神構造
にどっぷり浸かったまま。イスラエルのみならず、
核心的利益のためには力による現状変更を厭わない
中共も、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害
に踏み切った米国も、日本の領土択捉島に最新鋭対
空ミサイルを装備したロシアも、この観点からすれ
ば同じ穴の狢(むじな)。相手に勝る兵器を持ち、
先制攻撃で敵の戦意を挫(くじ)く覚悟がなければ
生き延びることができない現実を額面通り認めてい
ます。

 魑魅魍魎の国際社会にあって、専守防衛という明
晰夢を見続ける日本は誠に稀有な存在。相手基地攻
撃能力の獲得にあたって、仮想敵国や反日国の了承
が要ると感じる心理、つまり平和ボケは、モサドを
生んだイスラエルの民には理解できないものでしょ
う。

教材ビデオ:

WHY NO ENEMIES OF ISRAEL DARES TO TOUCH IT? -YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tdGMUhTkdDE&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=168

(モサドのビデオは2:13から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
In tandem with(イン タンデム ウィズ)と協力
して と二人三脚で
Neutralize(ニュートラライズ)無力化する 制圧
する
Threat(スレット)危険な存在

シナリオ(カウンターを2:53に合わせてくださ
い)

Mossad acts in tandem with Israel’s special fo
rces like Sayeret Matkal and has been very eff
ective in neutralizing many threats.
(モサドはイスラエル国防軍の特殊部隊サイエレッ
ト・マトカルなどと協力して行動する。イスラエル
にとって危険な多くの存在を効果的に無力化してき
た)

(モサドのビデオは3:02まで続きます)

 
英語一言アドバイス:
neutralizeは軍事用語の場合「敵を無力化する」
「制圧する」という意味があります。「殺傷する」
の婉曲な表現とも言えます。

発音サイト:
neutralizeの発音
 How to pronounce neutralize | HowToPronounce.com
  https://www.howtopronounce.com/neutralize

参考サイト:
イスラエル国防軍の特殊部隊
 サイェレット・マトカル - Wikipedia
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%AB

イラン核科学者暗殺
 イラン核科学者暗殺、イスラエル製武器使用か 
モサド関与も主張 - 産経ニュース (sankei.com)
https://www.sankei.com/world/news/201130/wor2011300012-n1.html

2010年ハマス幹部暗殺事件
 再送:ハマス幹部暗殺で偽造旅券、UAE外相
「世界的脅威」と懸念 | Reuters
https://br.reuters.com/article/idJPJAPAN-13996320100222

Assassination of Mahmoud Al-Mabhouh - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Assassination_of_Mahmoud_Al-Mabhouh

イラン人科学者暗殺 イランで「核計画の中心人物
」の科学者暗殺 当局が報復言明 イスラエル関与
か - 産経ニュース (sankei.com)
https://www.sankei.com/world/news/201128/wor2011280004-n1.html

モサド イスラエル諜報特務庁 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E8%AB%9C%E5%A0%B1%E7%89%B9%E5%8B%99%E5%BA%81



(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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PS
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