こんばんは、エンリケです。
「陸上自衛隊高射学校&87式自走高射機関砲」
の九回目です。
渡邊さんのご感想に同感します。
こういうはなしを聞けるのって、
醍醐味ですね。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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『ライター・渡邉陽子のコラム (304)』
―陸上自衛隊高射学校&87式自走高射機関砲(9)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
87AWと高射学校のお話は今回で最終回です。最後は高射学校長のお
話ですが、この取材は個人的に「最高」でした。装備品も含めたこ
れからの高射部隊のありかたを学校長がわかりやすく、そして面白
く、深く語ってくださってので、「あと2時間話を聞かせてくださ
い」と心の中で願ったほどです。机上の空論ではない生きた言葉の
発信力、説得力の重みを感じました。
記事掲載のお知らせです。
『丸』12月号の「世界の軍備」に「個人用防護装備防護マスク」が
掲載されました。今回は自衛隊の装備品である防護マスクだけでな
く、新型コロナで人々の生活に不可欠なアイテムとなったマスクに
ついてもご紹介しています。医療従事者が使うサージカルマスクと
自衛隊の防護マスクの製造メーカーは同じなのです。
マスクの正しい装着方法についても触れました。
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『PANZER』12月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第20回が掲載されました。
今回は防衛大学校幹事時代のお話前編です。幹事とは、一般の学校
でいう副校長。自身が学んだ防大に、今度は将官として戻ってきま
した。凱旋ともいえますが「演習場で状況中」が三度の飯より好物
の火箱氏、最初はあまり乗り気な人事ではありませんでした。しか
も当時の防大生は……
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月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。
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■陸上自衛隊高射学校&87式自走高射機関砲(9)
87AW&高射学校最終回は、高射学校長宮本久德陸将補へのインタ
ビューで締めくくりたいと思います。
「高射学校の任務のひとつが、高射職種に必要な知識や技能の教育
です。技術の進歩が著しい空からの脅威にいかに適応する能力を付
与するかが教育の主眼になっており、将来の高射職種を担う『人財
』の育成を大きな方針としています。また、ここでは幹部、陸曹と
も学生隊を組み、学生隊における日常起居を道場とし、実質陶冶に
よる資質の向上に取り組んでいるので、一自衛官としての資質の教
育も含まれています」
「87AWの教育課程では、構造機能や能力を理解したプロの操作員
の育成を目的としています。87AWは砲班長が指揮をして対空戦闘
を行なうので、この役目を担う陸曹が非常に重要です。今回教育を
受けた学生たちもいずれは砲班長として車両を指揮して対空戦闘を
行なうことになりますから、指揮官としての素養の涵養にも留意し
た教育を行なっています」
高射特科が運用する新しい装備品が登場する中で、87AWを学ぶ学
生たちのモチベーションは、学校長からはどう見えているのでしょ
う。
「SAMにシフトしている中においても機関砲の役割は変わりませ
んし、実は戦闘機パイロットなどに話を聞くと『近距離では誘導弾
より機関砲のほうが怖い』という声をよく聞きます。彼らからする
と誘導弾は一対一の戦いですが、機関砲はバラバラっと来るからと。
機関砲の重要性が今の時代も不変であることは学生も理解していま
す。それに機関砲というのは、射撃のタイミングがそのまま弾足に
出ていくので面白いんですよ。自分の操作ひとつ、整備ひとつで弾
足が変わるのが実感できる面白さは、扱った人間だけがわかる醍醐
味かもしれませんね」
高射特科全体では、時代に即した変化があるといいます。
「一昔前の高射特科の主たる対象は有人機の戦闘機でしたが、現在
は弾道ミサイルや無人機もあり、経空脅威もいろいろ多様化してき
ました。しかもそれらの高性能化も進んでいるので、高射特科には
従来の有人機主体の運用とは異なる対処能力が求められる時代にな
っています。また、これまでは高価な戦闘機を安価な誘導弾で迎撃
することに意味がありましたが、今は安価なUAVや誘導弾、巡航
ミサイルを同等価、もしくはそれより高価な装備で対処しなければ
いけなくなっています。その問題を打破するためには、今後は誘導
弾そのものを物理的に破壊するのではなく、誘導している信号をカ
ットすることで誘導弾を無力化するといった方法にも力を入れてい
かなければいけないのではと考えます」
「UAVも大きな脅威です。有人の戦闘機なら細心の注意を払いな
がら飛ぶところを、安価な無人機だったら危険を冒してもどんどん
来ますから、全周が脅威という状況になります。われわれが持って
いるレーダーだけでは捕捉できない目標も出てくるので、今後の高
射特科には他職種と協働するためのネットワークと、対処要領の運
用要領の確立が求められていくと思います」
部隊も装備品も時代に即して変化してくのが常ですが、その中で87
AWが今も北方の地を守る頼もしい存在であることは変わりありま
せん。そしてそれを扱う隊員たちのスピリットも熱い!
これから87AWの課程に入校する隊員もまた、「87AW愛」を抱い
て高射学校にやって来るのでしょう。
(「陸上自衛隊高射学校&87式自走高射機関砲」おわり)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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