こんにちは、エンリケです。
101回目の美佐日記です。
いぜん、「海洋戦略入門」という本を紹介しました
が、そのなかで「ビジネス感覚なき海洋戦略なし」
という趣旨の言葉を書きました。
国家指導部、エリート層にビジネス・商いの感覚が
ないと、我が国のような海洋国家の場合は致命傷と
なります。
きょうの記事は、改めてそのことを思い起こさせて
くれました。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(101)
政府の保障があって実現できる「武器輸出」
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年11月の今
回で101回目です。
今回、とても貴重なメッセージを頂戴しました。
Iさんの友人の方はIT枠の技能予備自衛官だった
そうですが5年経った今、もう更新しないと言って
いるそうです。
その方は民間のセキュリティ企業に勤めていて、
いわゆる「ハッカー」の能力も持つそうです。そう
した技能を活かすべく予備自になったのですが、な
かなか活かせないということで、招集期間には楽し
いこともあるものの、力が活かせないとなるとどう
しても「ムダな時間」になってしまうと感じている
ようだということでした。
Iさんは「志があり少なくとも現状の自衛隊のサ
イバー部隊員以上の能力を持った人たちが予備自に
既にいるのに、それに気がつかず適切な訓練もしな
いで腐らせている。これが自衛隊の縦割り行政の現
実だと思います」とおっしゃいます。本当にもった
いないことですよね。
おそらく、同じような話がたくさんあるのではな
いでしょうか。
考えてみると、自衛隊では近年、けっこう頻繁に「
パワハラ」「セクハラ」の事案が内部告発されてい
るようですが「もっとこうしたほうがいい」という
提案とか「良いこと」の報告はないものでしょうか
。
「○○の能力に長けている人材が××の部署にい
ます!」
とか、
「△△に所属する□□さんが、朝早く来てゴミを
拾ってました!」
とか!
聞く側も、ネガティブな話が延々ループする中で
は辛いでしょうから、良い話を受け付けることで、
報告する人、される人、そして良いことをしている
当事者も含め救われるのではないでしょうか。
よく「良いこと日記」を付けるといいと言われて
いて、私自身も『good days start with gratitude
Journal』というノートを持っていて感謝する事々を
書く時があります。
といいつつ、実はこのノートの存在を今、思い出し
たので、今日からまた付けようかなと・・・。
そもそも「公益通報」と呼ぶからには、悪い話だ
け受け付けるというわけではないんですよね?
「良いこと通報」はみんなの精神衛生上も、悪くな
い試みではないかと思う今日この頃です。
さて、話は変わりまして、最近こんなニュースが
ありました。
政府がインドネシアに護衛艦の輸出を計画している
というものです。
護衛艦といっても、30FFMといって民間商船建
造ノウハウが導入されたタイプですので、潜水艦な
どのような装備品独特の壁はないものと思われます。
それよりも、かねて書いてきているように、この
装備移転に関する報道を見るたびに報じる側が必ず
と言っていいほど「防衛産業を活性化する」とか、
防衛大臣も「日本の防衛産業の足腰強化にもなる」
と言っているのが気になります。本当なのでしょう
か。
『武器輸出だけで防衛産業は守れない』を並木書
房から出版してずいぶん経ちましたが、力不足で今
なお、なかなか理解されないようです。
このところ急速に、戦略的な装備移転についての
連携が、防衛関連企業や総合商社も含めて進められ
ているようで朗報ですが、企業は「利益を得なけれ
ばならない」ということを国はしっかり理解しても
らいたいと思いながら眺めています。
そう言うと「企業には愛国心がない。けしからん!」
と怒る人がいますが、怒りの矛先が間違っています。
愛国心がある経営者はいますが、その人の意志だけ
で動かせるわけではないのですから。
ASEAN諸国への装備移転を進める、能力構築支援と
ともに行う、これは日本にとってとても良い試みで、
まさに「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)構
想にも合致します。
しかし一方で、装備移転をする企業にとってはその
事業が会社のためにいいとは必ずしも限りませんし、
また必ずしも取引したい相手ではないかもしれま
せん。
ということは、この構図は政府が企業にお願いして、
日本の外国に資する取り組みに乗り出してもらう
ものであり、政府によって全面的に保障されるもの
である必要があるはずです。
それが確実に約束されていてはじめて「企業の足腰
を強くするものだ」と言っていいのであり、利益が
出るどころか、トンデモナイ損失を出すかもしれな
いのに、商売の素人であろう政・官関係者が勝手に
そのような見方をするというのは、ちょっと上から
目線なのではないかと、いつも違和感を持ちます。
もしかしたら、こういうミッションにはトランプ大
統領みたいな人が必要なのかもしれませんね!
<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアッ
プしている「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊
幸・元海将に解説をして頂きます。
http://okigunnji.com/url/42/
(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。
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(代表・エンリケ航海王子)
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