<<トランプツイッター番外編>> 大統領選直前 レポート(1)「トランプ再選が日米双方の国益に叶う」 加藤喬
こんばんは、エンリケです。
今週、11月3日(現地時間)投票の米大統領選挙
を前に、「トランプツイッター」コーナーで「米国
内の空気・声」を毎週届けてくださっている加藤喬
さん(元米陸軍大尉)から、直前レポートが届きま
した。
今回の米大統領選挙は、こんごの我が国の浮沈にか
かわる極めて重要なイベントです。
貴重な情報と思いますので、
ここに緊急配信します。
エンリケ
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<<トランプツイッター番外編>> 大統領選直前
レポート(1)
トランプ再選が日米双方の国益に叶う
加藤 喬
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アメリカの大統領選が大詰めです。読者のみなさ
んはどんな観点から選挙で投票する候補を決めるの
でしょうか?
わたしは候補者に対する好悪の情を判断基準にす
るのをやめました。先見の明と決断力、批判と抵抗
および外圧にブレない胆力、そして何より、結果が
出せる指導者かどうかで一票を投じます。
カリスマ的性格や洗練された立ち居振る舞い、立
て板に水の話術といった素養はあるに越したことは
ありません。しかし、そこだけに目を奪われると、
候補が持つ本来の人格やリーダーとしての資質、政
策実行能力を見誤ります。
「チェンジ!(改革!)」「我々にはできる!」の
熱に浮かされ、わたしはオバマ大統領を7年間支持。
氏がプラハで行なった「核なき世界スピーチ」は
欧州を感動させ、2009年のノーベル平和賞受賞
につながりました。しかし一方、中国の核戦力拡大
は容認し,アメリカの国家安全保障を大きく損ねる
結果に終わりました。
この4年間、本稿執筆のため、日々トランプ氏の
言動とマスコミの反応に注意を払ってきました。そ
こで見たのは、氏の苛烈な自我と挑発的物言いを蔑
視・嫌悪する民主党と主流メディアが結託し、ロシ
ア・ウクライナ両疑惑を捏造。事件性の確証もない
まま弾劾裁判に持ち込む暴挙に出た事実です。
トランプ大統領の無罪が確定したにもかかわらず、
「トランプ憎し」でつながる野党とマスコミは常
軌を逸した「トランプ叩き」を続けています。
いまアメリカは内に、建国の歴史、銃文化と自衛
の伝統、義務と名誉を敬う国民性、国に尽くす心、
機会均等と自由競争、アメリカンドリームなどを否
定・破壊しようとする「キャンセル・カルチャー」
を抱えています。
急進左派が喧伝する自虐史観と反米運動に共鳴す
るのは、60~70年代の反戦・反米思想に染まっ
た教師らに「祖国を蔑む倒錯の心理」を植えつけら
れた若い世代や、ソマリア出身のイルハン・オマル
民主党下院議員のように、安住の地を求めて来米し
ながら反米運動に走る移民らとその支援者でしょう。
キャンセル・カルチャーの波はすでに政界にも波
及し、民主党のバイデン候補を囲む選挙参謀にも、
その影響を受けた者が少なからず見受けられます。
過激な環境保護政策を掲げる社会主義者のアレキサ
ンドリア・オカシオ・コルテス下院議員もその一人。
また、米国憲法を無視し銃器没収を持論とするベ
ト・オーローク元下院議員はバイデン氏が銃規制政
策立案のキイ・プレーヤーとして見込んでいる人物
です。
民主党は古き良きアメリカを「悪」として切り捨
て、「祖国を憎む反米政党」とでも呼ぶべき不可思
議な存在と化しています。日本も対岸の火事とは言
っていられません。
アメリカ流自虐史観で責任感、名誉心、愛国精神
を見失ったバイデンのアメリカは、日米安保を堅持
する頼り甲斐ある盟邦とはなり得ないからです。
同時に外には、武力で現状変更を企む中共との対
決が控えています。武漢ウイルス禍を恥じる風もな
く覇権拡大と外交戦に利用した結果、中共は「中華
権威主義と欧米自由主義の戦い」に自らを追い込む
愚を犯しました。欧米政府と中共との本格対峙はも
はや不可避の状況です。
この未曽有の国難に直面し、良識あるアメリカ選
挙民はどう出るか? 選挙は単なる人気投票に非(
あら)ず。内憂外患の危機に臨んで慌てず、国家百
年の計を見据え、巧みかつ大胆な「舵取り」ができ
る指導者を見出す手続きです。
とすれば「候補者に対する好悪の情」をいっとき
控え、「大国アメリカの復活」を目指し、着実に成
果を上げてきたトランプ氏を推す愛国者は、世代や
国籍、人種、学歴にかかわらず、マスコミが取捨選
択した世論調査の結果以上に多いのではないかと見
ています。
これには理由があります。
まず、支持率調査の網にかからない「隠れトラン
プ派」です。そんなものは存在しないと主張する政
治アナリストも散見しますが、昨今のアメリカにト
ランプ支持を明言できない空気があるのは事実。リ
ベラル・メディアの印象操作で、「トランプ支持者
イコール人種差別主義者」というレッテル張りが横
行。日常風景の中でも、支持候補者を含む政治トピ
ックを極力避けたり、トランプ氏に好意的な保守系
マスコミの視聴者であることを隠したりする場合が
多々あります。
やや極端ですが、夫婦間で支持政党が異なり「ト
ランプ離婚」に至ったケースも聞いています。家庭
でも政治論議がはばかられる現実を考えると、伴侶
や同棲者が「隠れトランプ派」であることは充分あ
り得ます。
次に米世帯の半数以上が銃を所持している事実。
いかに多くのアメリカ市民が銃による自衛を「不可
譲の権利」と考えているかの証左です。憲法で保障
された「銃所持・携帯の権利」を否定する候補は、
全米ライフル協会員500万人を含め、実に米国市
民の半数以上から「レッドカード」を突き付けられ
ることになりましょう。
加えて、現在アメリカには1800万人近い退役
軍人がいます。自由と独立、そしてアメリカの国体
を護持するために戦ったこれら復員将兵が、アメリ
カの左傾化や社会主義化を受け入れるはずはありま
せん。トランプ氏の特異な人格を快く思っていない
元軍人も、個人的感情よりアメリカに対する忠誠と
献身を優先させるに違いありません。それが軍人と
いうモノです。
また最近、わたしはアリゾナ、ネバダ、ユタの各
州を回りましたが、南西部の田舎に行くに従い、「
トランプ支持」のプラカードや旗を掲げた家々が多
くなることに気づきました。農村地帯をはじめ田舎
は総じて保守優勢との印象。大統領選挙人団という
間接投票制度のお陰で、田舎の有権者が投じる一票
の重みはリベラルな都会の有権者のそれと変わらず、
トランプ陣営有利に働く可能性があります。
最後に、アメリカ史上最高の投票率が期待される
今回の選挙では、リベラル層に比べ、これまで政治
から距離を置いていた保守層が大挙して投票所に足
を運ぶのではないかと思います。
日米双方の国益に叶うトランプ再選を念じつつ、
今回はこの辺で筆をおきます。
(かとう・たかし)
加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に
渡米。アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。
88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作
戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授
(2014年7月退官)。著訳書に第3回開高健賞奨励
賞受賞作の『LT?ある“日本製”米軍将校の青春』
(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』『加藤大尉の英語
ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける犬』
『チューズデーに逢うまで』『アメリカンポリス4
00の真実!』『ガントリビア99の謎』『M16ラ
イフル』『AK?47ライフル』『MP5サブマシンガ
ン』『ミニミ軽機関銃』『MP38/40サブマシ
ンガン(近刊)』(いずれも並木書房)がある。