配信日時 2020/10/24 20:00

【本の紹介】『シリア原子炉を破壊せよ』(その1)


秘密のベールに包まれた「シリア原子炉攻撃の真実」
が、ついに明らかになりました!

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ソフト・メロディー作戦

2007年9月6日深夜にイスラエル空軍(IAF)が
実施した、シリア・アルキバール原子炉破壊の軍事
作戦名
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イスラエルはなぜシリア原子炉を空爆したのか?
の軌跡を丹念にたどることを通じ、いまの中東情勢、
これからの中東情勢への正鵠を射た見方を得られる
だけでなく、イランとともに、中東・世界不安定化
の要因であり、わが脅威の一つでもある北鮮の動き
を正確につかむうえで欠かせない素材を提供してく
れる本です。

この本が伝えるのは、単なる「シリア原子炉攻撃」
だけにとどまりません。

現代の中東情勢をつかむうえで重大な意味を持つこ
の事件を知ることを通じ、いまの世界に潜む「重大
なリスク(危険)」をあなたは目の当たりにするで
しょう。


まずは著者の言葉からどうぞ

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はじめに(一部)

 2007年9月6日朝、私はイスラエルの軍事担
当の記者数人と、ある衛生科司令官(准将)のブリ
ーフィングを受けるため、イスラエル中部にあるイ
スラエル国防軍(IDF)の基地に招かれていた。
  司令官は衛生技術の進歩と前年のレバノン侵攻
から学んだ戦訓をどう活用しているかについて説明
した。
  その時、謎の事件が発生したとして私たちの携
帯電話が鳴り始めた。シリア政府の報道機関、SA
NA(シリア・アラブ通信社)が、シリアの防空シ
ステムがイスラエル軍機を駆逐したと短い発表をし
たという。
  私たちは何が起きたのか説明するよう司令官に
迫った。司令官は、もしそれがイスラエル軍機なら
、おそらく作戦は重要なものだっただろうと口ごも
りながら答えた。
  それから何日か過ぎ、この夜に起きたことの真
相が語られるようになると、私たちは欺かれたこと
を知った。IDFの広報部は私たち記者を衛生科の
ような後方部隊のブリーフィングへ行くよう意図的
に仕組んだのである。すべてはシリア北東部で何が
起きたか、記者の目をそらすために……。
  これ以降、私はこの事件の虜になった。数年か
けて細部が明らかになるにつれ、この事件はイスラ
エルだけではなく全世界にとって非常に重要なもの
であることを確信した。イスラエル情報機関による
原子炉の発見、アメリカ政府への情報提供、長引く
閣議と首相の決断、イスラエル軍機の鮮やかな攻撃
、世界の目を欺く欺瞞工作……等々、冒険映画に必
要な素材はすべて揃っていた。

(ヤーコブ・カッツ)

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1981年6月7日、イラクにあったオシラク原子
炉を、イスラエル空軍が空爆で破壊した。
2007年9月6日、シリアにあったアルキバール
原子炉を、イスラエル空軍が空爆で破壊した。

両者は同じような事件に見えるが、実は根本的に意
味合いが違っています。
その答えが本著を読めばわかります。

国を守るとはどういうことか?

国を守るために直面せねばならぬリスクをいかに乗
り越えるか?

の実際を「すぐ隣の敵国に核技術が渡る」という危
機に直面したイスラエル指導部の動きを通じて追体
験できるこの本は、国家の危機に立ち向かった力強
い政治と軍事の記録です。

10年以上、秘密のベールに包まれていたイスラエ
ルによるシリア原子炉空爆の実像をはじめて知るこ
とができ、現代史の穴の1つが埋まりました。


あなたもこれまで、諜報・インテリジェンスよみも
の、国際政治裏面史、軍事史よみものを数々読んで
こられたのではないでしょうか?

いまの中東状況の核心が、
イスラエルとイランの対立関係
にあることもあなたはご存じでしょう。

そして、北鮮が中東の核拡散に深くかかわっている
ということも、、、

20年にわたるメルマガ発行を通じて、いろいろな
情報と接してきました。
ただ、今回ご紹介する「アルキバール原子炉空爆」
については、当時、リアルタイムで状況を見てきた
経験(正確に言えば乱れ飛んだうわさやデマに振り
回されたw)もあり、特別な感慨をもって読ませて
いただきました。

イスラエルは2007年に実施したこの作戦を「1
0年」以上秘匿しました。はじめて公式に認めたの
は、なんと2018年なんですね。

公開時の思いは「やはりな」でしたが、この本を読
んで、あの作戦がどれだけ綿密に計画・準備・実施・
アフターフォローされ、オルメルト首相以下、イス
ラエルの各級リーダーが米との関係をはじめ、いか
なる苦悩を抱え、それをいかに乗り越えてこの作戦
にあたったか?が身に迫るように伝わってきました。



イスラエルはなぜ、シリア原子炉を空爆したのか?

イスラエルはなぜ、10年以上たってから公式に攻
撃を認めたのか?

イスラエルはなぜ、「戦略認識ギャップ」を異にし
た米との関係を悪化させるリスクを背負ってまで単
独攻撃に踏み切ったのか?


などなど、持っていた疑問も、この本を読んでほぼ
すべて解消されました。



きょうご紹介した本は

『シリア原子炉を破壊せよ─イスラエル極秘作戦の
内幕』
ヤーコブ カッツ (著), 茂木 作太郎 (翻訳)
発売日 : 2020/4/16
単行本(ソフトカバー) : 288ページ
出版社 : 並木書房 
https://amzn.to/37HiuA3


でした。


明日もつづきます。



エンリケ


追伸
イスラエルが行った「もうひとつの原子炉攻撃」を
描いたノンフィクション。
これを機会に是非読みましょう! シリアのケース
と比較しながら。

『イラク原子炉攻撃!―イスラエル空軍秘密作戦の
全貌―』
https://amzn.to/2He0Rgo







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