配信日時 2020/10/19 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(97)】女性が活躍するには「男性の強さ」が欠かせない

こんにちは、エンリケです。

きょうも興味深いテーマです。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(97)

女性が活躍するには「男性の強さ」が欠かせない

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年10月の今
回で97回目です。

自衛隊OBのUさんから前回の感想を頂きました。
「自衛官は日常から集団生活していますから、組織
の健全性・感染予防等が重要です。部隊長等経験者
が教育隊でそのことを教育していかななければませ
んし、実行しているはずです。今回のコロナ感染は
残念です。」そして、警視庁麹町署の元署長である
田代芳広さんの玉稿に感動した旨も、ありがとうご
ざいました!


今、住んでいる所はどうやら子供が多いようです。
毎日、これだけ子供の姿を見ることは生まれて初め
てと言っていいくらいです。

福岡暮らしでは、高齢の方たちとお話することが圧
倒的に多かったので、子供と若いお母さんと行き会
うことに若干戸惑いましたが、ようやく慣れてきた
ところです。

朝は小学生のかたまりが10人くらいずつの分隊に
なって登校していて、集合場所で出発を待つ子供と
見送りに来ているお母さんたちを見て、皆さんどん
な生活環境なのかなあ、もっとさかのぼると、どの
ような人生を歩んできたのかなどと考えることがあ
ります。

というのは、友人で早稲田大学政経学部卒の女子か
ら聞いた話を思い出すからです。何年か前ですが彼
女が同窓会に行った際に同級生の女子がどうなって
いたかというと「ほとんど専業主婦だったの!」と
いいます。

友人は子供がいないこともあってか夫婦でバリバリ
働いていますが、聞けば、高学歴の女の人ほど、専
業主婦に落ち着くケースが思いのほか多いのだとか。

それは高学歴の人は就職先も名だたる企業や省庁な
どで、そこで出会った人と結婚すると、収入も安定
しているので無理に仕事を続けなくてもいいという
ことになるからだそうです。

子供がいたら共働きは本当に大変だと思います。片
方の収入でなんとかやっていかれるなら、仕事を続
けなくてもいいと考えるのが普通の感覚でしょう。

自衛官同士のカップルで二人、あるいはどちらか単
身で、子育てをしながらしっかり国のために任務に
励んでいる人たちは、そこに「強い意志」がなけれ
ばできないはずで、もうそれだけでも『国民の自衛
官カップル』の名誉を授与してもいいのではないか
とさえ思います。

女性自衛官は、約1.7万人で、全自衛官の約7.4%で
す。これを、令和9(2027)年度までに全自衛官に
占める女性の割合を9%以上とすることを目標とし
ています。そのため、今は女性の採用割合が10%以
上となっています。

女性自衛官教育隊の隊員が引き金となったコロナの
集団感染は、虚偽の外出申告をしたことは擁護の余
地がありませんが、女性隊員が単純に倍増している
と考えれば、部屋もお風呂もトイレも2倍の混雑で
しょうし、本来は指導者も倍の人員が必要なはず。
そう考えると、彼女たちの状況はこれまでのものと
は違っていて、生活環境は決して満たされていると
は言えないという点も留意してもいいかもしれませ
ん。もちろん、だからといって気が緩んでいいとい
うわけではありませんが。

世界的に「性別統合」の動きが進み、米軍において
はレンジャーも含めたあらゆる戦闘職種を開放した
だけでなく、体力検定さえも男女の区別なく同一基
準で行なうとのことです。

女性だからと、もてはやされた時代は終わり、女性
にとっては一層厳しい時代が到来することになりま
す。

今の若い女性自衛官は、将来そのような過酷な環境
で生きていく新芽です。しかし、目を輝かせて自衛
官としての抱負を語る女の子が、何年かして同僚の
自衛官と結婚し、辞めていくか、あるいは辞めたい
と言い出す光景を何度も見てきました。

防衛省・自衛隊も含め、政府がやろうとしている女
性活躍の施策というのは、つまるところ、この新芽
が最後まで残ってくれるためなのだと思います。

前述したお母さんの一団の中には、元自衛官もいる
のではないかといつも頭をよぎります。予備自衛官
として仕事と家事と訓練を両立させているスーパー
ウーマンも知っていますので、そういう方には頭が
下がり感謝するばかりです。少しでも良い環境でお
仕事してもらいたい!しかしこのようなケースは珍
しいでしょう。

日本は、かつては極端なフェミニズムも存在しまし
たが、やはりそもそもは「男社会」であるというこ
とは女性もあまり否定しません。

男性に助けてもらうことは不名誉なことではありま
せんし、レディス・サービスデーにも反対しないで
すし、デートに行って割り勘と言われたら不機嫌に
なるでしょう(まだ自分が奢ったほうがいいわよと)。
飲み会でも婚活パーティでも男性と同額なんて
「あり得ないでしょう!」という意見がほとんど(
私見ですが)だと思われます。

そうなんです。わが国は、男性が強くないといけな
いのです。

実は、目指すところの「女性活躍」の世の中とは、
男性が一層強くなるということなのではないかとつ
くづく思うのです。

軍事と家事の2正面作戦をこなし、家に入りたがる
奥さんのお尻を叩き、どんどん頑張らせる、そんな
イメージです。

それを改めて自覚させてくれたのは防衛省が作って
いる『自衛隊綜合募集案内』の冊子でした。

「7つの働き方改革」のページに登場している陸上
自衛隊・第1施設大隊本部管理中隊の有薗泉1曹に
気付きました。

有薗1曹は女性幹部自衛官の妻が米陸軍工兵学校に
留学した際に「配偶者同行休業」の制度を利用し、
2歳のお嬢さんとともに渡米したのです。

九州男児の有薗さんは、かつては女に自衛官ができ
るものかと取りつく島のないくらい厳しかったとい
いますが、米国では家事と育児に徹し、妻の学友数
百人分の手巻き寿司を作ってもてなすなど国際交流
にも貢献したそうです。

現在、有薗1曹はお嬢さんとふたり暮らし。夫人は
単身赴任で他部隊の中隊長を務めています。課業終
了と同時に渋滞する道を急ぎ、幼稚園にお迎えに行
っています。

「女性活躍社会」というのは、結局のところ、男性
の能力が高くないと達成できないという、一見逆説
的な真理がここに見出せます。

今、やる気に燃えている若い女性隊員さんたちが、
将来、有薗1曹のような人と出会えるかどうかが、
実際は「女性活躍」社会実現のカギになるのではな
いでしょうか。

自衛隊以外を見渡しても、人口減少に伴い女性の労
働力はどうしても必要です。でも、そこにはやはり
「男性の強さ」が欠かせないということだと思いま
す。

<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアッ
プしている「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊
幸・元海将に解説をして頂きます。

http://okigunnji.com/url/42/



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。


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