おはようございます、エンリケです。
国家が、ある海路の支配に「もっとも確実な繁栄」
を見出した場合、互いにそれを支配するために争う
ことになるのは国際関係の鉄則です。
わが国と韓国(中共?)はその関係にあります。
海洋をめぐる優越競争は、主として海軍の優越いか
んであり、部分的には決定的な位置の占有次第とな
ります。
中でも興味深かったのは、中共に関する記述です。
中共の海洋進出の本質(P182-188)や、中共の窮状
をめぐる分析が面白かったです。地勢的に見て、西
太平洋とインド洋へのアクセスが阻止されている中
共は、長い陸上国境を接していることから、つねに
海洋への志向から注意をそらされる宿命に置かれて
います。
また、大国のはざまという、戦略的に見て比類なく
厳しい場所に置かれています。
中共は、封鎖に対して脆弱なままの状態にあるので
す。
昨今の南シナ海問題は、世界覇権を中共が握るか否
かの試金石、という面があります。この問題の危険
性を軽く見てはいけません。南シナ海でルールが変
わると、全世界に影響が及び、中共が全世界で発言
力を拡大する可能性が高まります。
ロシアやイランの動きともつながっています。
米英わが国などの海洋国家諸国ががはるばる現地に
出向く理由はそこにあります。
海洋国家としての視座があれば、中共の南シナ海に
おける異常な振る舞いに英米等の海洋国家諸国が敏
感に反応している理由はすぐにわかります。
それにしても、根無し草だったカルデンは、中共に
居場所を得たようですね。
中共の戦略は、国内問題を地域、世界の問題の上に
置く傾向があるとされます。大陸国家に共通して見
られる特有の傾向かもしれません。
たとえば「接近拒否、領域拒否」という言葉がにぎ
やかですが、これは別に新しい概念ではありません
。この概念については219ページで解説されていま
す。
また中共は、大量の商船を維持し、戦時に簡単かつ
迅速に商船を改装するため、商船を軍用規格で建造
することを要求しています。
ちなみに、国有の商船隊は、海洋戦争の要求、困難
、リスクを軽減する戦略となる「ヘッジ」をかけま
す。
戦争が起きたとき商船と乗員は、海軍と海運という
二つの機能を果たすことになるのです。
中共が言っている「第一列島線」「第二列島線」の
意味もよくわかります。
忘れてはいけない大国・インドについても興味深い
話があります。
海洋戦略的に見て理想的なインドの戦略環境はなぜ
混乱しているのか?その答えは「中共との陸上国境」
です。
中共への備えに回すため、シーパワーに大規模な資
源投入ができないのです。地上国境を抱える国の戦
略は隣国の動向に左右されるということです。
・分散された商船隊は、回復力に富んでいる。
・分散は持続力を与える。
・リムランドは海と大陸内部の中間地帯のこと
・専門家でも、将来の敵の戦闘能力を計測すること
は困難。
・効率性の追求は、戦略的な危機を招く
・海で暮らすものは、自らの外交的手腕に磨きをか
けることこそふさわしい。
・小規模編成でも、海軍全体の代理人として機能で
きる
・戦闘艦隊から与えられる防御の上に、沿岸部隊は
海を護っている。
・古典からいかに学ぶか?のアイデアを海洋戦略論
のエッセンス紹介を通じて提供してくれる本
・充実した注釈が、ブックガイドや参考書・辞書的
存在として役に立つ
・地中海とカリブ海は似ている
・大東亜戦争における帝国海軍の失策の数々が取り
上げられている
・機動展開、戦闘艦隊等の解説を通じ、総予備への
視野が開ける
・戦闘能力の過大はそれ自体危険であることがわか
る
・潜水艦は主力艦なのだろうか?
・沿岸警備隊が強力な装備を保有している理由
といったことも描かれています。
米海軍、米のシーパワー、海洋への目を把握するう
えで参考になる記述も多々あります。
たとえば、、、
・米には欧州に向かって東を向く自然の傾向がある
。
パナマ運河創設により、東を向く傾向があった米は
はじめてカリブ海に南面し、その後、西の太平洋に
向かった。
・パナマ運河を狙ってカリブ海とメキシコ湾に海軍
基地を建設されることをマハンは懸念した。
・パナマ運河は米海洋戦略の障害といえる。
・横須賀と佐世保、バーレーンのマナーマは、は外
地にある米の母港といってよい存在。
・米にとってハワイが持つ意味の大きさ。
・米海軍両洋艦隊の基準とは?
、、、、
こんかいご紹介した本は、
『海洋戦略入門』
著者 :ジェームズ・ホームズ 平山茂敏 訳
出版年月日:2020/09/10
ISBN 9784829507971
判型・ページ数 四六判268ページ
定価 本体2,500円+税
http://okigunnji.com/url/97/
でした。
明日も続きます。
エンリケ
追伸
石原さんの「漫画 マハンと海軍戦略」と合わせて
読むと面白いです。
http://okigunnji.com/url/98/