こんにちは、エンリケです。
ご指摘の
<戦う集団にとってこれが戦力の低下につながらない
のかどうか、という問題>
は、非常に重要な指摘です。
国家国民が決して見過ごしてはならないポイントです。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(96)
ナラティブ・アプローチ──コロナ時代の戦力低下
を防ぐ
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年10月の今
回で96回目です。
前回の日記を読んで頂き感想を頂戴しました。Kさ
んからは「専守防衛を国是としている我が国では、
戦争事態とは国土防衛戦ですから、全ての国民が巻
き込まれることを意味します。そこには官も民もあ
りませんよね」とあり、他にも共感して下さる方か
らお声掛け頂き嬉しく思いました。ありがとうござ
います!
陸上自衛隊の朝霞駐屯地で訓練をしていた女性自衛
官のコロナ感染が現時点で30人以上となり、連日
ニュースとなっています。トランプ大統領の感染と
ホワイトハウスでの広がりもありましたので、改め
てコロナの感染力のすごさを実感することになりま
した。
女性自衛官教育隊の約40人が宴会等を禁止する大
臣の通達が出ている中にもかかわらずBBQに貸し
切りバスで出かけ、自分たちだけでなく、多くの関
係者に迷惑をかける結果となったこと、またそれ以
上に関係者が皆隔離され、次の教育もストップして
しまっている影響は計り知れません。
一方で、この日記ではしつこいほど書いてきました
が、自衛隊の仲間同士がこのコロナ時代にどのよう
に関わり合っていくか、いかに結束を固めていくか
という問題と、発散の場がなく我慢し続けることの
影響について、真面目に考える必要があるのではな
いかという思いも新たにしています。
初めて会った者同士がマスクをした顔しか知らない、
酒杯を交わすこともない、これは自衛隊に限らず、
いずこも現状は同じだと思いますが、戦う集団に
とってこれが戦力の低下につながらないのかどうか、
という問題も真摯に考えていいのではないかと。
ビジネスの世界などで知られている言葉に「ナラテ
ィブ・アプローチ」というものがあります。
これは相手が個人的な経験を語ることで、様々な解
決法を見出していくことで、医療分野でも活用され
ているそうです。
そもそも人は自分の経験値によって物事を判断する
はずですので、仕事仲間で自分の物語を交換するこ
とは、必要な時間なのです。
何を言っても通じない部下がいるとか、身近な人で
も本や映画の感想が全く想定外だったりとか、その
謎を、人の物語を引き出すことで解明していくとい
うわけです。
懇親会のない自衛隊においては、こうしたものをシ
ステマティックに取り入れていくなど、新たな発想
も必要なのかもしれません(もちろん、従来の宴会
が有効に使われていたかどうかはまた別問題ですが)。
話は変わりますが、靖國神社が刊行している『靖國
』10月号に掲載されている東急自動車学校校長で、
元警視庁麹町警察署長の田代芳広さんの玉稿に感
銘を受けました。
田代さんは平成25年から1年間、麹町警察署長を
務められたそうです。麹町署は私もよく通っていた
所で、いつも警察官の方に挨拶をしていましたので、
非常に身近に感じます。
田代さんは学生時代にあの有名な植村眞久大尉が愛
児素子さんに送った遺書を知り、その後、ここに記
された言葉は、警察官としてまた父親として困難な
場面での心の支えになったそうです。
寄稿文からは植村大尉がクリスチャンであったこと
や、麹町警察署と靖國神社との関わりなど、まだま
だ知らないことがあると実感しました。
麹町署の警察官にとって8月15日は最も暑く長い
1日だそうです。靖國神社の周辺を取り巻く政治的
な団体と対峙しなければならないのです。
機動隊の若い隊員たちは、デモ隊とカウンターとの
間に立ち、双方から罵詈雑言を浴びせられながらも
「忍」の一字で警備にあたるといいます。
田代さんは「若い機動隊員らは、主義や主張そのも
のを保護している訳ではなく、法秩序と民主主義さ
らには我が国の国際的信用を護っているのです」と
記しています。
そして喧騒の中で1日が終わり、英霊たちに「今に
生きる若者たちも立派にこの国を護っております。
どうかご安心ください」と報告したそうです。
また麹町警察署長は大晦日から元旦にかけては初詣
で警備のため靖國神社で年を越すことが恒例なのだ
そうです。鳴り響く一番太鼓を聞きながら迎える新
年は感無量に違いありません。
田代さんは、英霊の「遥かなる叫び」と、遺された
若者たちの「魂の叫び」を語り継いでいかなければ
ならないと結んでいます。悉く同感です。
自衛隊においても、警察においても、何か事が起き
ると、いかに身内の違反行為をなくすかに知恵を絞
り出すことになると思いますが、国のために尽くす
とはどういうことなのか根本的に顧みることの方が
むしろ重要かなとは思います。先人たちの流した血
と骨で支えられて今の時代があることを自覚すれば、
大きく道を誤ることはないはずです。
改めて、植村大尉の遺書を転載しておきます。
「愛児への便り」
素子、素子は私の顔をよく見て笑ひましたよ。
私の腕の中で眠りもしたし、またお風呂に入つたこ
ともありました。
素子が大きくなつて私のことが知りたい時は、お前
のお母さん、住代伯母様に私の事をよくお聴きなさ
い。
私の写真帳も、お前の為に家に残してあります。
素子といふ名前は私がつけたのです。
素直な心のやさしい、思ひやりの深い人になるやう
にと思つて、お父様が考へたのです。
私はお前が大きくなつて、立派な花嫁さんになつて、
仕合せになつたのをみとどけたいのですが、 若
しお前が私を見知らぬまゝ死んでしまつても決して
悲しんではなりません。
お前が大きくなつて、父に会いたい時は九段(靖国
神社)へいらつしやい。
そして心に深く念ずれぱ、 必ずお父様のお顔がお
前の心の中に浮びますよ。
父はお前は幸福ものと思びます。生まれながらにし
て父に生きうつしだし、他の人々も素子ちやんを見
ると真久さんに会つてゐる様な気がするとよく申さ
れてゐた。
またお前の伯父様、伯母様は、お前を唯一つの希望
にしてお前を可愛がつて下さるし、お母さんも亦、
御自分の全生涯をかけて只々素子の幸福をのみ念
じて生き抜いて下さるのです。
必ず私に万一のことがあつても親なし児などと思つ
てはなりません。
父は常に素子の身辺を護つて居ります。
優しくて人に可愛がられる人になつて下さい。
お前が大きくなつて私の事を考へ始めた時に、この
便りを讃んで貰びなさい。
昭和十九年○月吉日父 植村素子ヘ
追伸、
素子が生まれた時おもちやにしてゐた人形は、お父
さんが頂いて自分の飛行機にお守りにして居ります。
だから素子はお父さんと一緒にゐたわけです。
素子が知らずにゐると困りますから教へて上げます。
<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアッ
プしている「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊
幸・元海将に解説をして頂きます。
http://okigunnji.com/url/42/
(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。
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(代表・エンリケ航海王子)
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