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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
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こんにちは、エンリケです。
「我が国の歴史を振り返る
―日本史と世界史に“横串”を入れる―」
はきょうで104回目です。
<「国民精神」>
が、わが国最大の課題。
とのご認識に共感するものです。
松陰先生の
「修己・知彼・応変」
の教えを思い起こしました。
これは項目を挙げたのではなく
なす順番を言っているのです。
さっそくどうぞ
エンリケ
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我が国の歴史を振り返る
─日本史と世界史に“横串”を入れる─(104)
「大東亜戦争」の総括(その6)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
つい先日、F様から「毎週楽しく拝読しておりま
す。記事を読む都度に何度も目から鱗が取れる思い
です。総括に入って益々筆致冴え渡っておられます
ね。読みながら鳥肌の立つ感じがします。軍事情報
のメルマガ全体に言える事ではあるのですが、本連
載に出会えて良かったと思います。ありがとうござ
います。時節柄ご自愛の上、ご活躍されますよう祈
念申し上げます」とのありがたい感想をいただきま
した。
正直申し上げ、これほど褒められたことがないも
のですから、涙が出ました。 本メルマガ本文の方
は、色々と文献をあさっては自分なりに咀嚼をして
文章にしていたのですが、「大東亜戦争」の総括は、
我が国の歴史を学んだ自分なりの結論というか、
私の“存念”を書きまとめています。
諸先輩、しかも高名な歴史家や研究家の皆様がさま
ざまな視点で総括しておられることはよく承知して
いますが、総括だけは(その資格があるのかどうか、
あるいは適切かどうか自問自答しつつも)、あく
まで自分の視座にこだわり、頭の中に浮かび、“降
りてきた”言葉だけを文章にしたものです。
それもありまして、読者の皆様がどのように感じ
ておられるかについては、実は、少し気になってお
りましたので、F様から温かい感想をいただき、安
堵した気持ちになっております。心より感謝申し上
げます。
総括は、あと2個テーマが残っておりますので、
今回から次回(あるいは次々回)にかけて、引き続
き“降りてくるままに”まとめようと思います。お
付き合いいただきたいと願っております。
さて、だいぶ前になるでしょうか、テレビで有名な
田原総一郎氏が『誰も書かなかった日本の戦争』を
上梓しました。日頃から激しい言動を吐く田原氏が
「戦争」をテーマにして本を書くのは珍しいと思い
、興味を持って読ませていただきました。
読むと、(失礼ながら事前に想像していたよりも)
田原氏は、我が国が経験した戦争についてよく調べ
てしっかり理解しておられ、改めて、氏の慧眼を知
ることとなりました。
その田原氏は、最後に「一番大切なことは二度と戦
争を起こさないことだ」と結んでおりました。多く
の犠牲を払った戦争を忘れてはならないことはわか
りますし、我が国が外交戦略を誤ったことが戦争の
原因とする田原氏の解釈を理解できないわけではあ
りません。
また、この結論に反対する人はいないでしょう。そ
れでも私は、3百ページに及ぶ大作の結論がこれだ
けで終わりとなると、「多くの読者は「『読んで損
した』と思うのではないか」と心配したことをよく
覚えています。
氏の考えの根底には、憲法前文でいう「平和を愛す
る諸国民の公正と信義に信頼して・・」のような思
想が定着しているのかも知れませんが、我が国を取
り巻く情勢が厳しさを増している現下の状況から、
我が国の戦争を振り返った結果を受け、またそれら
から教訓などを学び、せめて「戦争を二度と起こさ
ないためにはどうすればいいか」についての提言ぐ
らいはあってもよかったのでは、と今でも思ってい
ます。
一方、私は、「二度と戦争を起こさないことだ」で
留めた田原氏の本心も何となくわかるような気がし
ます。そこに、戦後、インテリといわれている人た
ちの共通の“視座”を感じるのです。続きは本文で
触れましょう。
▼スターリンの完勝
前回の続きです。「非情な上、目的のために手段
を選ばず」という意味では、共産主義者たちの右に
出るものはいないでしょう。私たちは、中国や北朝
鮮の現状のみならず、歴史的事実として共産主義者
たちに共通した“非情さ(非人間性)”を学ぶ必要
があると強く思います。
つまり、このような非情な面を持たないと、“生
き残れない制度”だということをしっかり認識する
必要があると考えます。
すでに触れましたが、改めて、これまで明らかにな
った史実を振り返りますと、スターリンの「日米を
戦わせ、双方を弱らせて“漁夫の利”を得る」との
高邁な戦略に基づき、米国においては「雪作戦」と
命名された作戦をルーズベルト政権の中枢で巧妙に
展開し、日米開戦に舵を切らせました。
そして国内においては、ゾルゲ機関が近衛内閣の
内側、軍、官僚、マスコミ界に巧みに潜り込み、「
対ソ警戒の北進論」から「米英と対立する南進論」
の決定を画策しました。また、中国大陸においても、
蒋介石の顧問として送り込まれた工作員などが共
産党と連携して日米交渉を妨害し、日米戦争を誘導
しました。
これらを総括しますと、米英側の仲間入りをしつつ、
「日米戦争」を画策し、終戦時に日ソ中立条約を
破って満州や北方領土への侵攻まで、まさに「スタ
ーリンの完勝」だったと考えます。
そして戦後、スターリンはその延長で中国を共産化
し、巧妙に朝鮮戦争を引き起こします。また、我が
国の占領においても、極東委員会による関与に加え、
ニューディーラーたちを送り込んで占領政策を支配
して日本改造を企図、日本の共産化まで画策します。
「全面講和」の推進もその陰謀の一環だったこと
でしょう。
欧州正面においても、ドイツを分割し、東ヨーロ
ッパを支配します。その最中、米英がこのようなソ
連の進出を“脅威”と認識し、「待った」をかけな
かったら、「我が国や東アジアはどうなっていただ
ろう」と考えるだけでもぞっとします。
「共産主義拡大の阻止」は次のテーマでもありま
すので、この続きは次回取り上げましょう。
▼「知恵の差」で負けた!(本メルマガ流の総括)
さて、102話から“本メルマガ流”に「大東亜戦
争」を総括してきましたが、まとめておきたいと思
います。
我が国の「先天的要因」「後天的要因」「戦争指導
上の要因」、いずれも、戦争に明け暮れた歴史――
特に第1次世界大戦の「総力戦」の経験――を有す
る欧米諸国と差異ができてしまい、「敗戦」に至り
ました。
前話で「我が国は、欧米諸国に『総合力』で負け
た」と結論しましたが、戦争の勝敗は意外にも『総
合力』の骨幹たる国力の差異だけで決まるものでは
ないことも事実です。ベトナム戦争などはその卑近
な例と言えるでしょう。
改めて、「大東亜戦争」の「敗因」を端的に総括し
ますと、「我が国は『知恵の差』で負けた」という
べきなのだろうと考えています。当然、この「知恵
の差」を引き起こした主要因もまた「経験」の差異
にあったとも言えるでしょう。
しかし、それでも私は、我が国が「大東亜戦争」に
おいて、国を挙げて発揮した「知恵」とそれにもと
づく最大限の実践は、我が国の現在までの歴史の中
でまさにピークではなかったかとも思います。細部
は触れませんが、今の常識や判断基準で考えれば、
当時の我が国があそこまでできたことを驚くばかり
です。
これらから、私も田原氏同様、「我が国は二度と
戦争を起こさないことが大切だ」との言葉で本メル
マガ流の総括を締めくくりたいと考えています。も
ちろん、その意味するところは田原氏の視点とは全
く違います。
その理由は、今後、我が国(国民)が、「大東亜戦
争」など一連の戦争の歴史を通じて「戦争の本質」
のようなものを学び、欧米諸国同様の戦略眼、勝利
するためのしたたかさや非情さを身につけ、それら
を将来に活かす意欲や根性を持ちつつ、「大東亜戦
争」時以上の「知恵」を発揮できるとは到底思えな
いからなのです。
現実はその逆、大方の国民が「自虐史観」を受け入
れ、自らの「経験」から「学ぶ」ことより、“一億
総懺悔”の言葉のように、「経験」を「否定するこ
と」「悔いること」「詫びること」の方に力点が行
っています。
よって、「我が国は二度と戦争を起こさないことが
大切だ」を強調したいと思いますが、(前述しまし
たように)大事なことは、「我が国は二度と戦争を
起こさないためにはどうすればいいか」にあります
。
特に問題なのは、「戦争」は――「大東亜戦争」に
ついての東條らの証言のように――“受動的に起こ
る”可能性があるということでしょう。そのような
「戦争」を防止するためにも、かつての人類の歴史
や自らの「経験」を学び、「知恵」を働かせ、「国
を挙げて防止の態勢を整備する」しか、戦争という
国難の再来を回避する手段がないと思うのです。
「戦争」を防止するためには、適切な外交にはじま
り、防衛力や日米同盟などの物理的な抑止力が必要
ですが、それだけでは不十分です。
「戦争」を回避する最も大事な要件は、自国に対す
る誇りや国を守る気概をはじめ、「知恵」のあるリ
ーダーの選出を含み、ポピュリズムに陥らない冷静
さなどの「国民精神」にあると私は思います。これ
についても、のちほどしっかり触れましょう。
▼500年の白人支配に終止符
さて、「大東亜戦争」の総括の4番目まで来まし
た。本メルマガ「我が国の歴史を振り返る」のサブ
テーマは、「日本史と世界史に“横串”を入れる」
でした。ここでは、日本史側から世界史側に刺した
“横串”ともいうべき、人類の長い歴史の中で、“
大東亜戦争の人類史上の意義”について改めて考え
てみたいと思います。
まずは、「500年の白人支配に終止符を打ったか
どうか」です。
本メルマガの冒頭から取り上げてきましたように、
「大航海時代」以降、航海術や科学技術に勝る西欧
列国は、「白人優位主義」を掲げ、約500年にわ
たり植民地支配を続けてきました。
西欧列国は、アメリカ合衆国が独立前の18世紀中
頃には、地球上の85%を支配していたことも紹介
しました。そして独立したアメリカも西欧諸国に仲
間入りし、領土の拡大を企図し、ハワイを併合し、
フィリピンを植民地化しました。
問題は、欧米列国による植民地支配のやり方にあ
りました。彼らは、白人以外の有色人種を人間とし
て認めず、人身売買、搾取、殺戮、強姦・・・何で
もありでした。植民地の生産を上げるため、現地の
労働者にノルマを課し、ノルマを達成できなかった
労働者の命を奪うとか手首を切りおとすというよう
な残忍な行為を平気で繰り返していました。
このように、白人の植民地支配の歴史は、有色人
種にとっては“人間としての尊厳そのものが否定さ
れた”歴史でもありました。我が国は、第1次世界
大戦後のベルサイユ会議において、人類史上はじめ
て「人種差別撤廃」を提案しましたが、米国内世論
の反対に遭ったウイルソン大統領により否決されま
した。
我が国は、「大東亜戦争」中、「大東亜共栄圏構想」
を掲げ、東亜(アジア)民族の独立と共存共栄を
目指します。そして戦争最中の昭和18年には「大
東亜会議」を開催し、8カ国の国政最高責任者やチ
ャンドラ・ボーズらオブザーバーが東京に参集して
「大東亜共同宣言」を採択します。
宣言は、「世界各国が互いに寄り合い助け合ってす
べての国家がともに栄える喜びを共にすることが世
界平和確立の基本である」とはじまり、「しかし米
英は、自国の繁栄のためには他の国や民族を抑圧し、
特に大東亜に対してはあくなき侵略と搾取を行い、
隷属化する野望をむきだしにして大東亜の安定を
根底から覆そうとした・・」と続きます。
これらに関しては、依然としてさまざまな議論があ
りますが、『黎明の世紀―大東亜会議とその主役た
ち』(深田祐介著)(*)によると、少なくとも当時
のアジア諸国が置かれた環境や会議の参加したリーダー
たちの“独立にかける思い”がひしひしと伝わって
きます。(*)
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これらを受け、深田氏は「大東亜会議はアジアの傀
儡を集めた茶番劇などでは決してなかった」と結ん
でいます。
欧米諸国は、自らの植民地支配の歴史に対する贖罪
意識を保持し続けていたと推測しますが、ついに1
948(昭和23)年、「世界人権宣言」が国連総
会で採択されます。
そこには「すべての人間は、生まれながら自由であ
り、かつ、尊厳と権利についても平等である」(第
1条)、「すべての人は、人種、皮膚の色、性、言
語、宗教、政治上その他の意見、国民的もしくは社
会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類す
るいかなる事由による差別をも受けることなく、こ
の宣言に掲げるすべての権利と自由とを享受するこ
とができる」(第2条)とあります。
改めて、歴史の「if」ですが、この宣言の趣旨が
ベルサイユ会議で採択されておれば、当然ながら、
世界の歴史、そして我が国の歴史も大きく変わった
だろうと推測します。
「世界人権宣言」を受けたような格好で、現在、国
際社会で認められた196カ国の独立国と13カ国
の未承認国が存在していますが、ただ依然として、
イデオロギー、宗教、文明の対立が続き、アメリカ
などでは相変わらずの人種差別事案が頻発し、社会
問題になっています。
さらに、今なお、漢民族による新疆ウイルグやチベ
ットの支配や南・東シナ海進出の企図など、かつて
の西欧列国による植民地主義となんら変わらない“
現状変更路線”を継続している中国のような国もあ
ります。
それでも、かつてのような“白人支配”に戻る可能
性はゼロと断言できるでしょう。すなわち、「大東
亜戦争」における我が国の奮闘が、世界史のおける
「白人の優越」に終止符を打つ原動力なったことは
間違いないのです。
評論家の平川祐弘氏は、「大東亜戦争」について
「日の単位で考えれば、真珠湾攻撃は日本が悪い。
月の単位で考えれば、ハル・ノートは外交史上まれに
みる挑発的要求なので米国が悪い。世紀単位でみれ
ばアジアの解放である」と世紀単位で考える重要性
を説いています。
ビルマの独立運動家バー・モウは、「歴史的に見る
ならば、日本ほどアジアを白人支配から離脱させる
ことに貢献した国はない。しかしまたその開放を助
けたり、あるいは多くの事柄に対して範を示してや
ったりした“諸国民”そのものから日本ほど誤解を
受けている国はない」(『ビルマの夜明け』(*)より)
との言葉を残しています。
(*)
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バー・モウの言葉を引用した深田氏は、「その“諸
国民”の中に『日本国民』自身も含まれているとこ
ろに、戦後の日本の悲劇がある」と我が国の現状を
嘆きつつ述懐していますが、未だ、多くの日本人が
東京裁判史観から脱却できていないことを指してい
ることは明白でしょう。
「大東亜戦争」の人類史上の意義の2番目は、「共
産主義の拡大防止になり得たかどうか」という視点
です。これについては次回、触れましょう。
(以下次号)
(むなかた・ひさお)
宗像さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学
校卒業後、陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロ
ラド大学航空宇宙工学修士課程卒。
陸上自衛隊の第8高射特科群長、北部方面総監部幕
僚副長、第1高射特科団長、陸上幕僚監部防衛部長、
第6師団長、陸上幕僚副長、東北方面総監等を経て
2009年、陸上自衛隊を退職(陸将)。
2018年4月より至誠館大学非常勤講師。『正論』
などに投稿多数。
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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(代表・エンリケ航海王子)
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