こんにちは、エンリケです。
295回目となる
「渡邉陽子のコラム」は、
「陸上自衛隊第4師団訓練検閲」
の7回目です。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
次週の配信はお休みです。
追追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (295))
―陸上自衛隊第4師団訓練検閲(7)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
去年の今頃はラグビーワールドカップで日本は大いに盛り上がり、
私も会場に足を運び、声を枯らして応援していました。最寄り駅に
はパブリックビューイングができ、日本戦以外の試合でもたくさん
の人が集まっていました。日本開催が決まってから何年も待ってい
たワールドカップがついに開催されたことで、当時の私は日々最高
に幸せでした。
南アフリカが優勝を決めた半年後の東京は緊急事態宣言下にあり、
街から人が消えていました。さらに半年後の今、人は戻りつつあり
ますが、私自身の日常は戻ってきていません。減った仕事は減った
まま、友人と気軽に会うことも、親族と集まることもかないません。
せめて来年の今頃は今年より明るい気持ちで過ごせていることを
願います。
記事掲載のお知らせです。
『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第18回が掲載されました。今回は第10師団長時代のお
話前編です。「普通科の幹部ならばいずれは」と熱望した連隊長と
同様、作戦基本部隊たる師団の長もまた憧れていた役職でした。意
気揚々と着任したものの……理想の師団に近づけるべく、大忙しの
日々が始まります。
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『丸』9月号で陸上自衛隊中央輸送隊を紹介しています。輸送科の
総本山に当たる部隊ですが、なにをやっているか、どこにあるか、
陸自隊員でも知らない人のほうが多いようですが、「知らないうち
にお世話になっている」部隊なのです。
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月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。
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■陸上自衛隊第4師団訓練検閲(7)
第4師団訓練検閲の最終回です。
対抗部隊の完璧な勝利に見えたのに、審判の旗が上がり状況が止ま
りました。
なんと16戦闘団の戦車は被弾する前に砲撃していて、対抗部隊の
歩兵は10名死亡しているというのです。
そうなると先ほど見た鮮やかな突入は不可能なわけで、状況を巻き
戻し、対抗部隊は突入前の地点まで下げさせられました。
前線で白熱した戦闘が続いている頃、16戦闘団指揮所も緊張感に
包まれていました。
4×8メートルに掘られた換気扇ひとつの息苦しい空間に立ちこめ
る、汗と埃のにおいで淀んだ空気。そこに20名以上の隊員がひし
めいています。
最奥の壁には作戦図と状況図、その正面に座っているのが戦闘団長
です。
「最新の情報にもう一度整理しろ」
「機動打撃発動準備」
「左方向ヘリ爆音」
さまざまな指示や報告が飛び交うなか、対抗部隊の攻撃はますます
激しくなります。戦闘団長はときおり通信手のところへ足を運び、
現場の指揮官に直接指示を与えています。
「対ヘリボン発動」
戦闘団長の声が上がると、あちこちから「対ヘリボン発動!」と復
唱する声が響き、指揮所内の動きがにわかに慌ただしくなりました
。
しばらくすると統裁官である第4師団長が指揮所にやってきました。
師団長から、部隊配備の薄い地域から攻撃された場合の対処につい
て、現場の部隊の現状を把握してしかるべき処置を取るよう指導が
入ります。
師団長が去ってから間もなく、指揮所上空に1機のヘリが飛来しま
した。指令所上空でホバリングして、なにか投下したようです。な
んでしょう?
なんと状況終わりを告げる通信文がヘリから投下されたのでした。
もともと訓練検閲の終了を告げるのはセレモニー的な要素が強く、
ラッパを吹いて知らせたりすることもあるそうですが、こんな形で
の終わり方はさすがにどの隊員も初めてとのこと。
発案者の師団長は「たまたまヘリがあったから」と涼しげな顔をし
ていました。
11時15分、訓練検閲は終了しました。
指揮所周囲の草むらに潜んで警戒にあたっていた隊員達にねぎらい
の声をかけていた戦闘団長が、取材班のところまで足を運んでくれ
ました。
「予想していた状況と違う部分もありましたが、それぞれ個々の戦
い方はよかったと思っています。隊員たちは本当によくやってくれ
ました」
検閲終了後、師団長にも今回の訓練検閲の感想を聞きました。
「師団長に着任して以来なかなか部隊の訓練を見る機会がなかった
ので、今回は4師団の能力を把握できたいい機会でした。練度とし
ては、いいところもあるけれど改善するところもあるので、75%
といったところでしょうか」
最後に、国民へ一言もお願いしました。
「陸上自衛隊にはスマートさやかっこよさはありません。ただ人と
人のつながりをとても大切にするところで、仲間意識や帰属意識の
大切さを知り、充実感を得られるところだと自負しています。われ
われが任務を果たさなくてはならないときは、この訓練検閲よりも
はるかに厳しい状況であるはずなので、さらに進歩するよう努力を
惜しむことなく続けていきます」
主役の受閲部隊、それを支える統裁部と対抗部隊。すべてがしっか
りと機能することで、初めて訓練検閲は成立します。
撃破の判定を受け「俺はやられてねえよ!」と悔しがっていた隊員
は、それだけ真剣に戦っていたということです。
対抗部隊の歩兵は、携行式誘導弾を抱えつつ上り坂を全速力で走っ
てきました。
統裁部本部の明かりは24時間消えることがありませんでした。
誰もが自分のなすべきことに全力で取り組むことにより、訓練検閲
はその目的と役割を果たします。戦闘というのは究極のチームプレ
ーなのかもしれません。
状況が始まってからは不眠不休だった隊員たち。おそらく湯布院の
温泉を一度も楽しむ暇もないまま、それぞれの駐屯地へと帰って行
ったことでしょう。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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