配信日時 2020/08/27 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (291)】  ― 陸上自衛隊第4師団訓練検閲(3)―

こんにちは、エンリケです。

291回目となる
「渡邉陽子のコラム」は、
「陸上自衛隊第4師団訓練検閲」
の3回目です。


「原品だろ?」(by4師団長)

にしびれましたw


さっそくどうぞ


エンリケ

追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (291)
 ―陸上自衛隊第4師団訓練検閲(3)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
本日発売の『PANZER』10月号(*)に「神は賽子を振らない 第32代
陸上幕僚長火箱芳文の半生」第18回が掲載されました。今回は第10
師団長時代のお話前編です。「普通科の幹部ならばいずれは」と熱
望した連隊長と同様、作戦基本部隊たる師団の長もまた憧れていた
役職でした。意気揚々と着任したものの……理想の師団に近づける
べく、大忙しの日々が始まります。(*)https://amzn.to/34wd0q2

今週は父の三回忌でした。自ら斎場に出向いて自分の葬儀の予約を
し、ごくごく身内だけでの葬儀を望み、その身内それぞれに手紙を
残し、お経も戒名も墓までも不要と、これまでのあれやこれやをす
べてひっくり返すような、潔いさいごでした。本人の希望した場所
に散骨したので、三回忌といってもお経をあげてもらうわけでもな
く、お参りする墓もありません。ただ実家に出向くだけなのですが、
私は父の死後のほうが父のことを考えることが多いように思います。

Y様
80年代に制作されたアニメの素晴らしさは耳にしていましたが、
Y様からのさらなる情報で即チェックしたところ、アマゾンプライ
ムで観られることがわかり、そのまま気になる回をまるっと1話観
てしまいました。原作に忠実なのはもちろん、BGMにブルックナー
の交響曲第4番が流れてきたことに仰天しました。ブルックナーだ
なんて! かっこよすぎます。改めて、第1話からじわじわ観てい
きたいと思います。ありがとうございました!



記事掲載のお知らせです。

『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」第18回が掲載されました。今回は第10師団長時代のお
話前編です。「普通科の幹部ならばいずれは」と熱望した連隊長と
同様、作戦基本部隊たる師団の長もまた憧れていた役職でした。意
気揚々と着任したものの……理想の師団に近づけるべく、大忙しの
日々が始まります。https://amzn.to/34wd0q2

『丸』9月号で陸上自衛隊中央輸送隊を紹介しています。輸送科の
総本山に当たる部隊ですが、なにをやっているか、どこにあるか、
陸自隊員でも知らない人のほうが多いようですが、「知らないうち
にお世話になっている」部隊なのです。https://amzn.to/3jQ1F9E

月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。https://amzn.to/3cOzOSQ



■陸上自衛隊第4師団訓練検閲(3)

今回の訓練検閲は実射検閲、車両行進、徒歩行進、戦術行動からな
っています。
車両行進では急にルートが変更になるといったトラップが仕掛けら
れていたほか、パンクしたからタイヤを交換するよう言われたり
(もちろん実際にパンクはしているわけではありません)、休憩時
にちゃんと警戒を出しているか、車の点検をしているかなどもチェ
ックされたりしています。

重い背嚢と小銃を背負っての徒歩行進は40キロ、こちらは最後の最
後になって一行程追加されました。「あとちょっと」という意識の
ときに「はい○キロ追加」は、聞いただけできついものがあります
ね。

そして戦車には、南北約4キロ、東西約14キロの日出生台演習場を
3周するというお題が与えられました。凹凸の激しい隘路を視界の
狭い戦車で、周囲を警戒しつつ、夜間には暗視ゴーグルをつけ、車
列を崩さず走行するのです。日没にスタートし、ゴールしたのは午
前3時を回っていました。これもじわじわきつそうです。

それらをこなして演習場にやってきたのが9月1日。そう、演習場
はゴールではないのです。ここから休む間もなく、各部隊は陣地づ
くりに取りかかります。
敵に見つからないようにするため、そして万が一攻撃されたときで
もその衝撃に耐えうるよう、指揮所は地下に構築されます。
その間にも周囲の警戒を怠ってはならず、警戒に当たる隊員が身を
隠す穴を掘る必要もあります。
日頃から訓練で鍛えているとはいえ、徐々に蓄積されていく疲労に
寝不足が加わり、この先は敵だけでなく自分とも戦わなくてはなら
なくなるのでしょう。

過酷な状況の中で唯一の楽しみといえば食事です。
統裁部は毎食温かな食事を食べることができますが(忙しくて食べ
損ねることはあります)、受閲部隊や対抗部隊は戦闘が始まれば戦
闘糧食、いわゆるレーションとなります。レーションでも栄養は補
給できますが、給養担当の隊員が手作りしてくれる食事のほうが、
隊員たちが口をそろえて「がぜん元気が出る」と言うのは理解でき
ます。
ちなみにこの演習では鶏の唐揚げが隊員たちに好評だったそうです
が、兵站部隊には首と羽だけが取られた状態の鶏が届き、厨房の隊
員たちを呆然とさせたそうです。通常なら一口サイズにカットされ
た状態のものが届けられるそうですが、4師団長の「原品だろ?」
の一言でこういうことになったとか。さすが師団長、空挺レンジャ
ー。

9月3日。朝7時、戦闘予行中の16戦闘団の前線を訪れてみました。
16戦闘団では、2つのルートから計3台の戦車がこちらに向かいつ
つあるという情報に基づき、まずは地雷などの障害を置いて戦車の
足を止め、それから対戦車砲で打撃を加えるという作戦を立ててい
ます。
対戦車砲は何門必要か、どういう順序で撃つかなどを、この予行で
しっかり確認して本番に備えます。
ただし、このシナリオはあくまでも16戦闘団が「敵はそういうルー
トで来るだろう」と予測して立てたもの。したがって明日の本番に
敵が予測通りの動きをしてくれるとは限りません。
実際、この予行中に「龍田山に斥候発見」という報告が入り、いき
なり本当の状況開始となりました。この斥候は対抗部隊が独自の判
断で出したものだそうで、統裁部も把握していないもの。敵役も最
初から全力です。
「敵が頑張らないと状況は白けるばかりで、内容の濃い訓練検閲に
なりません。このくらいやってくれていいんです」と4師団の広報
室長が教えてくれました。なるほど!



(つづく)



(わたなべ・ようこ)


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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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