こんにちは、エンリケです。
290回目となる
「渡邉陽子のコラム」は、
「陸上自衛隊第4師団訓練検閲」
の2回目です。
銀河英雄伝説は、アニメで見たことがあります。
あなたの体験談やご感想もお寄せください。
銀河英雄伝説ばなしもぜひどうぞ。
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さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (290)
―陸上自衛隊第4師団訓練検閲(2)―
渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
何年も前から読みたいと思いながら先延ばしになっていた『銀河英
雄伝説』を、ついに先日から読み始めました。おもしろすぎます!
原作を読んだ上で現在放映中のアニメを見ると、アニメがいかに原
作に忠実に作られているかわかり(原作に対する強いリスペクトを
感じます)、アニメのおもしろさも倍増です。
自宅で読むと1日中読んでしまい日常生活に著しい支障をきたすの
で、泣く泣く「読むのは電車移動時のみ」という鬼ルールを自分に
課しました。結果、あえて急行に乗らず各停でのんびり移動するの
が習慣になりつつあります。急行より空いているので座れるし密に
ならないし、ほどよく冷房の効いた車内でじっくり読めるという、
なかなかの読書環境。現在4巻を読んでいますが、本編10巻外伝5
巻で終わりかと思うと、読み進めるのが楽しくもつらいです……
記事掲載のお知らせです。
『丸』9月号で陸上自衛隊中央輸送隊を紹介しています。輸送科の
総本山に当たる部隊ですが、なにをやっているか、どこにあるか、
陸自隊員でも知らない人のほうが多いようですが、「知らないうち
にお世話になっている」部隊なのです。
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『PANZER』9月号には「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火
箱芳文の半生」第17回が掲載されています。今回は第10師団長時代
のお話です。階級はついに陸将へ。そして火箱氏のいるところはか
ならず演習の日程が長くなるのでした……
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月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。
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■陸上自衛隊第4師団訓練検閲(2)
先々週は、訓練検閲は検閲を受ける受閲部隊、受閲部隊の敵役を担
当する対抗部隊、そして検閲を統括し円滑に進行する役割を担う統
裁部という3つの機能から構成されることをご紹介しました。
受閲部隊と対抗部隊の説明に続き、今週は統裁部のご紹介からです。
統裁部は統裁部長を筆頭に、企画統制部、補助官部、審判部、安全
部などからなり、対抗部隊と合わせると訓練検閲の花形である受閲
部隊よりも多くの人員が割かれています。
「縁の下の力持ち」がスポットライトを浴びる人員よりも多いこと
が、訓練検閲を円滑に進める難しさを物語っています。
企画統制部は訓練検閲と実行動のバランスを調整する、検閲の心臓
部ともいえるところ。各地から上がってくる情報を管理し、最新の
全体情報を24時間体制で把握しています。
補助官部は指揮官や部隊の精強さをチェックする部署で、統裁官が
受閲部隊を評価するための情報を収集します。
統裁部の中で約300名と、もっとも人員の多いのが審判部です。い
わば判定係で、16戦闘団と141機械科連隊の双方に審判がつきます。
現場の審判は戦車がどの車種に向けて撃ったか、対戦車誘導弾はど
の戦車に向かって撃ったのかなど確認してから、その情報を審判本
部に送ります。すると本部で「撃破」「何名負傷」といった判断が
下されるので、現場ではその通報を受け、部隊に伝えるのです。
ただし、現在の演習ではバトラーが使用されることが多いので、審
判部の人数はもっと減っているはず。バトラーとは交戦訓練用装置
で、光線発射装置によって実弾を使用することなく実戦同様の交戦
訓練が可能な装置です。車両が被弾すると「大破」「中破」など、
そのダメージも明確に示されますし、隊員も「重症」「死亡」など、
容赦ありません。とある普通科の中隊長は「バトラーだと部下の死
亡が生々しく、ぞっとします」と言っていましたが、射撃位置だけ
でなく被弾する側の地形や風向きといった細かいデータも考慮され
たバトラーの「ジャッジ」は、審判部のそれより確かに実戦を感じ
させるのでしょう。
統裁部の紹介の続きです。
演習場内で危険になりそうな部分の兆候を見つけ、注意喚起をして
安全を確保するのは安全部の役割です。
近隣の農家が採草のために演習場内に入ってくるのですが、彼らも
慣れたもので多少の空砲の音ではびくともしません。地元民、恐る
べし。そういうときは安全部の出番となります。
もっとも注意しなければいけないのは、戦車が活動するときです。
視界が狭いうえにさまざまな隘路も走るため、周囲も危険に巻き込
まれやすいそうです。
このように、統裁部では多くの隊員が受閲部隊のために働いていま
す。当時はちょうど4師団から約200名が国際緊急航空援助隊とし
てパキスタンへ災害派遣中で、人員の調整などの苦労もあったに違
いありません。各駐屯地の留守部隊も責任重大です。けれど統裁部
長である4師団幕僚長の1佐は、「いる人数でなんとかするのが陸
自ですから」と笑って言っていました。頼もしいです。
「自分たちのために検閲を受けている受閲部隊と違い、統裁部は彼
らのために日陰仕事に徹します。これは精神的になかなかきつく苦
しいことなので、自分たちも訓練なんだという意識を持ってモチベ
ーションを維持するようにしています。業務上での注意点は、現場
でなにが起きているかというのを把握し、その情報を審判部や企画、
補助官など、横とも共有すること。そのためにひとつ屋根の下に本
部を設置しているんですからね」
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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