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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
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宇宙を巡る*はなし、面白いですね。
さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
武器が持つ抑止力(1)
空母「ロナルド・レーガン」と
中国海軍初の空母「遼寧(りょうねい)」
Takashi Kato
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□トランプツイッター8月2日付
少年時代は米ソ冷戦の真っただ中でした。
実際に水爆を搭載したB52戦略爆撃機が常時ソ連周
辺に滞空し、戦略パトロールを行なっていた頃です。
ソ連がアメリカの喉元に核ミサイルを配備したキュ
ーバ危機は、人類滅亡につながりかねない全面核戦
争の瀬戸際までエスカレートしました。
もっとも核による破滅に日々怯えていた訳ではな
く、むしろ「冷戦の裏面」だった宇宙開発競争に胸
を躍らせていたというのが正直なところでしょう。
星条旗を誇らしげにあしらった宇宙服に身を包み、
虚空めがけて駆け上がっていく宇宙飛行士たちの勇
敢さに痺(しび)れ「宇宙に未来がある」と確信し
たものです。
マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画を
通じ、アメリカの宇宙船はすべて大気圏再突入後、
大西洋か太平洋に着水。その最後を飾ったのは、45
年前の1975年7月に行なわれたアポロ・ソユーズ・
テスト計画でした。
再突入後、グライダーのように滑空し滑走路に
「着陸」したスペースシャトル計画は1981年から20
11年まで続きました。しかしシャトル引退から今年
5月までの9年間、アメリカは独自に有人ロケットを
打ち上げる能力を持たず、国際宇宙ステーション(I
SS)への人員輸送はロシアのソユーズに依存せざるを
得なかったのです。宇宙大国を自負するアメリカに
とって、有人宇宙飛行でロシアと中国の後塵を拝し
た歳月は誠に不本意なものでした。
しかし、幸いそれも過去の話。先日ISSへの初飛
行任務を終え無事帰還したクルー・ドラゴンは、イ
ーロン・マスク氏率いる米宇宙企業スペースX社が開
発した民間初の有人宇宙船だったからです。トラン
プ大統領が「着水を見て心が躍った」とツイートし
た背景には、米国が有人宇宙飛行の舞台にカムバッ
クしたという安堵と誇り、そして宇宙での覇権を握
る決意があります。
クルー・ドラゴンの成功はまた日本の宇宙開発に
も大きな飛躍をもたらしましょう。10月に打ち上げ
られるクルー・ドラゴン実用運用1号機には、ISS
での船外活動体験もあるベテラン野口聡一宇宙飛行
士が、来年の実用運用2号機には同じくベテランの
星出彰彦飛行士が搭乗します。星出氏は若田光一宇
宙飛行士に続き、日本人二人目のISS司令を務めま
す。宇宙においても日米の信頼関係が深まるのは間
違いなく、これが将来の合同月探査や火星探査への
布石になるはずです。
アメリカでは宇宙旅行ビジネスも間もなく実現さ
れます。バージン・ギャラクティック社やブルー・
オリジン社が火花を散らす宇宙旅行業界には、黎明
期の航空機産業と航空会社の姿を彷彿とさせる活力
と開拓者魂を感じます。起業精神が国を動かし、人
々に夢見る力を与え、社会を富ませる自由競争経済
は健在。ここにアメリカの底力があるのです。
民間スペース企業の大躍進で宇宙大国の矜持と優
位を取り戻したアメリカは、月への帰還と恒久的滞
在を目指すアルテミス計画も進めています。日本政
府は同計画への参加を正式表明。月面探査車の開発
を担当するほか、日本人宇宙飛行士が月に立つ可能
性も現実味を帯びてきました。宇宙での米国覇権が
日本の国益に寄与すると見ての参加決断は賢明でし
た。
オバマ前大統領と異なり、宇宙開発に人一倍熱心
なトランプ氏は「NASAは有人火星探査も目指す」と
ツイート。地球周回軌道への有人ロケット打ち上げ
は民間に任せ、政府は宇宙における「より遠大なゴ
ール」を目指す姿勢を示しています。日本は小惑星
探査機ハヤブサで培ったイオンエンジン技術や98%
近い成功率を誇るH2ロケットの成果を活かし、アメ
リカと肩を並べ宇宙に本格進出するでしょう。
一方、中国の宇宙開発も長足の進歩を遂げつつあ
ります。それはとりもなおさず、尖閣諸島や南シナ
海、台湾、香港などで行なわれている「力による一
方的な現状変更」が遠からず、地球軌道や月、火星
などにも及ぶことを意味します。中国共産党の「核
心的利益」が宇宙に拡張されることを防ぐには何を
するべきか。米中対立の本格化と共に、日本の宇宙
開発も「冷戦の裏面」としての正念場を迎えようと
しています。
本日のトランプツイッター、キーワードは
exciting。「ワクワクする」「胸が躍る」という意
味です。
Astronauts complete first splashdown in 45
years. Very exciting!
「(クルー・ドラゴンの)宇宙飛行士たちが45年間
で最初の着水に成功した。胸が躍る!」
▼空母「ロナルド・レーガン」と中国海軍初の空母
「遼寧(りょうねい)」
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。今回から数回にわたり、
アメリカのスーパー・キャリアー「ロナルド・レー
ガン」と中国海軍初の空母「遼寧(りょうねい)」
を比較し、両者の抑止力を検証します。
このところ中国当局の傍若無人が止まりません。
中国海警局の巡視船が尖閣諸島沖で日本漁船を追い
回し、西沙諸島沖ではベトナム漁船に体当たりして
「撃沈」。また、香港人の自由と権利を強奪する所
業も目に余ります。「中国共産党は世界秩序に対す
る脅威」であることを自ら立証しているかのようで
す。
殊に日本と台湾にとっての脅威は2012年に中国海
軍が実戦配備した空母遼寧(りょうねい)。元々は
旧ソ連で設計されヴァリャーグ重航空巡洋艦で、こ
れをソ連崩壊後に中国が買い取り完成させたもので
す。スキージャンプ甲板を備えた基準排水量5万トン
級の空母で、戦闘機24機を搭載するといわれていま
す。
武漢ウイルス禍で米海軍などが訓練縮小を強いら
れるなか、今年4月、遼寧およびミサイル駆逐艦な
どで構成される空母戦闘群は台湾を威嚇しながらバ
シー海峡を通過し、その後、沖縄本島と宮古島の間
を通って太平洋に向かいました。外洋海軍としての
展開能力を高めているようです。
海上自衛隊には遼寧に匹敵する空母はまだありま
せんが、米海軍の最新鋭スーパー・キャリアー「ロ
ナルド・レーガン」は横須賀基地を母港としていま
す。台湾有事の際、この2隻が対峙するのは確実。
その場合、軍配はどちらに上がるのか。次回から両
者の船体、推進機関、電子兵装、そして艦載機を順
次取り上げ回答を探ります。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=lx7PsFBqXdI
(遼寧のイントロダクションは0:13から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Analyze(アナライズ)分析する
Deploy(ディプロイ)展開する
Useless(ユースレス)役に立たない 無用な
Face(フェイス)直面する 対峙する
シナリオ(カウンターを1:39に合わせてください)
In this video, Defense Updates analyzes why
China deploying Liaoning aircraft carrier off
the coast of Taiwan is useless as it faces
USS Ronald Reagan.
(本ビデオでは、台湾沖に展開する空母遼寧が米空
母ロナルド・レーガンを前に無力である理由を分析
する)
英語一言アドバイス:
日本語になっているfaceは「顔」ですが、動詞とし
て使うと「向ける」「対峙する」「直面する」「受
け止める」などの意味も持ちます。本ビデオの文脈
では「直面する」や「対峙する」が適当でしょう。
発音サイト:
faceの発音
https://www.howtopronounce.com/face
参考サイト: 空母ロナルド・レーガン
https://en.wikipedia.org/wiki/USS_Ronald_Reagan
(本サイトの日本語版に移行してください)
空母遼寧
https://en.wikipedia.org/wiki/Chinese_aircraft_carrier_Liaoning
(本サイトの日本語版に移行してください)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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