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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
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武器オンチの日本人には
特におススメです。
今回の冒頭文も、
今の米の背景事情がよくつかめる
貴重な重要知識ですね。
日本国内の報道を浴びている限り、
「この種の的を射た海外事情」はつかめない。
改めてそう感じます。
こういう常識を持つと持たないとでは、
得られるインテリジェンスの質が全く変わってくる。
そう思います。
こんごも、加藤さんの米国発レポートは
手離せませんね。
さっそくどうぞ
エンリケ
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
世界の秘密兵器(32)
「米空軍のベテラン航空機2「C-130/AC-130」」
Takashi Kato
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□トランプツイッター7月17日付
読者は「全米ライフル協会」(NRA:National
Rifle Association)という言葉から何を連想するで
しょうか? 「銃犯罪を放置する銃器愛好家団体」
「銃規制を妨げるロビイスト組織」などあまり好意
的でないものや、悪くすれば、サンフランシスコ市
郡委員会が採択した「銃所持権利擁護の名を借りた
テロ集団」かも知れません。日本のマスコミはNR
Aに批判的な米主流メディア報道を丸投げ配信する
傾向があるため、読者が全米ライフル協会に関する
マイナスのイメージを抱いたとしても不思議はあり
ません。しかし、NRAにまつわるフェイクニュー
スを払拭しないと、今回のトランプツイッターを正
しい文脈の中で捉えることはできません。
全米ライフル協会の設立は1871年。徳川慶喜の大
政奉還から数年後ですから、歴史の浅いアメリカと
しては伝統ある団体であることが分かります。発足
当時から1970年代までは政治に関与せず、もっぱら
射撃スポーツの振興、射撃技術向上トレーニング、
各種競技会の開催、銃器取り扱いの安全教育とハン
ター講習などを行なってきました。
現在、NRAの活動としてスポットライトを浴び
るロビー活動、すなわち合衆国憲法修正第2条で保
障された「銃器の所持、携帯の権利」擁護と銃規制
反対は1970年代から本格化したものです。
セオドア・ルーズベルト、アイゼンハワー、ケネ
ディ、ニクソン、トランプら歴代大統領が終身会員
に名を連ねていることから、政界の重鎮らにも一目
置かれていると言えましょう。現在、会員数は500万
人。潤沢な資金と共に政治的発言力の源になってい
ます。
銃規制を求める団体や支援者は、NRAを「銃暴
力の根源」と指弾しますが、的外れな中傷です。頻
発する「銃による子供の事故死」を防ぐため、幼稚
園児から小学4年生までを対象に全米規模で安全トレ
ーニングを実施しているのはNRAだけです。また、
警察や民間の射撃インストラクターは、NRA訓練
プログラムを経て認定された人々。公共の射撃場に
常駐する安全管理者も同様です。
地域社会に根差した銃関連の奉仕活動も行なって
います。渡米から日が浅くまだ右も左も分からなか
った頃、銃器取り扱いの手ほどきをしてくれたのは
近所のガンスミスや保安官。全員、全米ライフル協
会の会員で、初心者の指導は古株メンバーの本分と
心得る人たちでした。「責任ある銃所持者は皆、N
RAに入るべきだ」との助言に従い、わたしも最初
の拳銃を購入する際に入会。40年後の今は終身会員
です。
NRAが射撃スポーツと銃器安全マナーを奨励す
る団体であるにもかかわらず、「国内テロリスト」
とまで貶(おとし)める敵意はどこから来るのか?
銃と犯罪に関する相反する視点が米社会を二分し
ているからです。
NRAの主張は「銃が人を殺すのではない。人が
人を殺(あや)めるのだ」。このモットーが健全な
常識であることは、車やナイフ、鈍器が凶器だった
場合を考えればすぐ分かります。心を持たないこれ
らの道具を責めるのは馬鹿げており、糾弾されるべ
きは殺意を実行に移した人間だからです。銃を持っ
た無法者が跋扈(ばっこ)した西部開拓時代、同じ
く銃を持った保安官や武装市民が法と秩序を維持し
た史実に裏打ちされた考え方でもあります。「銃を
よく使うも悪く使うもヒト次第」これがアメリカの
伝統的信条です。
ところが70年代以降、民主党は建国以来のガン・
カルチャーと袂を別ち、銃規制を党路線に掲げるよ
うになりました。無党派団体だったNRAが、犯罪
者ではなく銃を敵視し始めた民主党に失望し、伝統
と保守的価値を共有する共和党支援に舵を切ったの
は当然の成り行きでした。
NRAと共和党の共生関係は、11月の本選挙が近
づくにつれ一層強固になっています。党内急進左派
に取り込まれたバイデン候補が、「銃販売規制」
「銃器没収」など極端な政策含め、最終的にはアメ
リカ市民の武装解除を目指す意向だからです。
江戸時代を通じ武士のみに許された帯刀にせよ、
今日の運転免許にせよ、あらゆる「特権」は政府の
意向でいつでも取り上げることができます。しか
し、アメリカにおける「銃所持」は憲法に明記され
た不可譲の権利。基本的人権と同じく、ときの政権
が恣意的に無効にできるものではありません。それ
を無視して銃器没収を示唆するバイデン候補は、ア
メリカの歴史と価値を否定する自爆スイッチになり
かねません。
NRAによるトランプ氏支持の背景には、急進左
派によるアメリカの変質を食い止め、伝統的価値を
維持しようという共有の悲願があるのです。
本日のトランプツイッター、キーワードは
endorsement。「支持」とか「承認」という意味です。
Thank you to the 5 million members of the NRA
for once again entrusting me with your FULL &
COMPLETE ENDORSEMENT! As long as I am
President, I will ALWAYS protect our Great
Second Amendment, and never let the Radical
Left take away your Rights, your Guns, or
your Police!
「4年前同様、完全な支持を表明してくれた全米ラ
イフル協会のメンバー
500万人に感謝する! このトランプが大統領であ
る限り、憲法修正第2条はこれからも安泰だ。銃所
持権や銃器、そして警察を我々から取り上げるな
ど、急進左派に勝手な真似はさせない!」
▼米空軍のベテラン航空機2「C-130/AC-130」
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。米空軍で長らく現役任務
に就いてきた航空機を取り上げる「米空軍のベテラ
ン航空機」、2回目は1956年から戦術輸送機、後年
はガンシップとしても活躍しているC-130/AC-130で
す。
4発ターボプロップ輸送機C-130は、軍用機として最
も長く量産され続けている機体です。現在も操縦席
をグラスコックピット化し、エンジンとプロペラを
近代改修したC-130Jスーパー・ハーキュリーズが生
産されています。
元々は兵員輸送や負傷兵後送などを任務として設計
された機体ですが、空挺降下、対地攻撃、航空救難、
空中給油、気象観測、海上哨戒、空中消火などの分
野でも活躍。不整地から短距離で離着陸できること
から、橇(そり)を装着したLC-130は南極や北極で
の科学観測支援も行なっています。
多用途性を誇るC-130シリーズの中でも異彩を放つ存
在は、対地攻撃に特化したAC-130ガンシップ「スプ
ーキー」(幽霊のようなもの)でしょう。大きな積
載量を活かし、105ミリ榴弾砲、25ミリおよび40ミ
リ機関砲と大量の弾薬を搭載。目標上空を左旋回し
ながら圧倒的火力で敵を制圧します。味方地上部隊
の要請で火力支援を行なう場合は、誤射を防ぎ、指
定された目標だけを破壊する「精密射撃」も可能で
す。
ゲリラやテロリストにしてみれば、空から砲弾の
雨を降らせる「スプーキー」は文字通り「幽霊のよ
うな不気味な存在」に違いありません。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=PU_OxwH1guM&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=116
(C-130ハーキュリーズのイントロダクションは
7:49から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Gunship(ガンシップ)対地攻撃機、ガンシップ
Spooky(スプーキー)幽霊のような 薄気味悪い
Howitzer(ホウィツァー)榴弾砲
シナリオ(カウンターを8:12に合わせてください)
The AC-130 gunship version, aka, Spooky
mounts an array of weapons including a 105mm
howitzer, the biggest gun on any modern
aircraft, as well as rapid firing 40mm and
25mm cannons.
(AC-130ガンシップ、別名スプーキー、は数多くの
武器を搭載している。現用航空機に装備された砲と
しては最大の105ミリ榴弾砲、それに40ミリおよび
25ミリ速射砲などである)
(C130のビデオは8:53まで続きます)
英語一言アドバイス:
gunshipは対地攻撃の特化した航空機のことです。
ベトナム戦争で使われた武装ヘリコプターや、機関
砲を多数搭載した改造輸送機などを指します。詳し
くは参考サイトを参照してください。
発音サイト:
gunshipの発音
https://www.howtopronounce.com/gunship
参考サイト:
C-130 ハーキュリーズ輸送機
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_C-130_Hercules
(本サイトの日本語版に移行してください)
C-130J スーパー・ハーキュリーズ輸送機
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_Martin_C-130J_Super_Hercules
(本サイトの日本語版に移行してください)
AC-130 ガンシップ
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_AC-130
(本サイトの日本語版に移行してください)
AC-130 火力支援映像
https://www.youtube.com/watch?v=7lrfdzU8k4k
ガンシップ
https://en.wikipedia.org/wiki/Gunship
(本サイトの日本語版に移行してください)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
「MP5サブマシンガン」
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『AK-47ライフル』
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『M16ライフル』発売中♪
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『アメリカンポリス400の真実!』発売中
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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PS
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人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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