配信日時 2020/07/27 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(86)】本当は言いたいことがもっとあったのに!

こんにちは、エンリケです。

今回と同じような外の世界と内側の温度差ばなしを、
以前、佐藤守元空将閣下の言葉をとおして伺ったこ
とがあります。


問答集ときいて
故渡部昇一先生の
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を思い出しました。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(86)

本当は言いたいことがもっとあったのに!

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年7月の今回
で86回目です。

 このところ、すこぶる忙しく過ごしていました。
そういう時に限って、友達から「zoom飲み」や「zo
omデスカッション」に誘われたりするのですが、こ
うなってくると「zoo務多忙!?」になってしまい、
なかなか参加できないものもあります。

 そんな中、以前に色々な習い事や勉強をしていた
うちの一つのグループがzoom開催をするので参加し
ませんかとお誘いを頂き、久しぶりの人にも会える
と思い、原稿の締め切りは抱えていたのですが仲間
入りしました。

 すると、そこに新しく入った人が何人かいて、初
めましてということになったのですが、その中のひ
とりが突然に「今日は桜林さんがいるというので、
とてもイヤなんです」と言い出したのです。

 この人は、自衛隊は無くなるべきだと強く思って
いて、それゆえ自衛隊について好意的な記事を書い
ている私が許せなかったようです。

 彼女が涙ながらに訴えることは次のような内容で
した。

このところの軍拡に心を痛めている。太古の昔は武
器なんかなくてもよかった。自衛官には武器を使い
たがっている人がいるだろう。世の中には苦しんで
いる人がたくさんいるのにそこに目を向けていな
い・・・等々。

 また、同級生や近所の住民に自衛官がいるが、そ
の多くが、金使いが荒く、奥さんはヘラヘラして開
き直っている、のだそうです。

 よくよく聞くと、金使いの部分は多額の自治会費
を負担していることを金遣いが荒いと感じたよう
で、奥さんのにこやかな対応を開き直っていると捉
えているようです。

 自衛官の中にはおかしな人もいるとは思います
が、もしこの人の言う自衛官が自治会の活動に一所
懸命になっているだけで、その奥さんは良好な関係
作りのために明るくしているのだとしたら、とんだ
濡れ衣ですよね・・。

 ちょっとおかしな人なんじゃないか、そういう人
とは関わらなければいいと考えがちですが、実はこ
の人ほどまではいかないまでも同類の人はけっこう
いると考えていいと思います。

 自衛隊の当事者は、けっこう外からの評価を知ら
ないものです。自衛隊応援団のような人たちにチヤ
ホヤされて、まして階級章がモノを言う組織の中で
井の中の蛙になってしまう可能性があるという、非
常に恐ろしい環境で生きているといってもいいかも
しれません。

 もちろん、人間関係などで苦労をしている方もい
て、みんながみんなそうではないのですが、常に世
間知らずになる危険性の中にいるということです。

 また、本人よりもはるかに部外者と関わる家族は
もっと周りに神経を配らなければならないでしょう
から、このあたりの認識は奥さまたちや子供たちの
ほうが強く持っているのかもしれません。

 こういう話が出るとすぐに「やはり憲法改正が必
要だ」ということも言われるのですが、果たしてそ
うなのだろうかという気もします。

もちろんいつも述べているように手続き上の必要性
は大なのですが、憲法を変えたらこの人たちの頭の
中が変わるとは到底思えません。全く違う次元の努
力が必要なのだとつくづく思います。

 さらに言えば、自衛隊に詳しい記者さんによる報
道にダメ出しをする自衛隊関係者の方がたまにいま
すが、防衛記者会の皆さんなどは(今、全く知って
いる人もいないので確かなことは言えませんが)、
日本の中では極めて自衛隊を知る人たちであり、自
衛隊側がそこにダメなんか出している場合ではない
のではないか、と思ってしまいます。

 それにしても、なぜあの忙しい最中に、私はあの
ような女性に罵られなくてはならなかったのか。そ
の場にいた人が居たたまれないだろうと、多く反論
もできず、後半は我慢して聞いていることしかでき
なかったことで、その日以降、ずっと悶々としなけ
ればなりませんでした。本当は言いたいことがもっ
とあったのに!

しかし、神様はきっと意味のあることをするに違い
ないと、思うしかありません。それと、いつどこで
このような攻撃を受けても有効な反撃ができるよう、
相手のタイプ別理論武装の必要性を感じた次第です。
これどなたか書いて、本にしてもらえませんか?



<おしらせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂き、私はリモート出演です!

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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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(代表・エンリケ航海王子)
 
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