配信日時 2020/07/17 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】世界の秘密兵器(31)「ロシアが恐れるべき米軍兵器4「弾道ミサイル防衛システム」」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

【新】加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。

『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
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今回の冒頭文も読ませますね。

今の米の背景事情がよくつかめる
きわめて貴重な重要知識です。

日本国内の報道を浴びている限り、
「この種の的を射た海外事情」はつかめないなあ。

改めてそう感じています。

こんごも、加藤さんの米国発レポートは
手離せません。

さっそくどうぞ


エンリケ



ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/

ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/


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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編     

世界の秘密兵器(31)
 「ロシアが恐れるべき米軍兵器4
       「弾道ミサイル防衛システム」」

Takashi Kato

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□トランプツイッター7月4日付

「自由のために戦うのが私たちの責務。勝利を手に
するのが私たちの義務。お互いを慈しみ、支え合っ
ていこう。わたしたちの自由を奪った鎖の他に、失
うものなどないのだから」

 抑圧された人々の自由への渇望と解放への決意を
宣する言葉には、万人の心を鼓舞するパワーがあり
ます。これは1970年代に米国で活動した「ブラック・
リベレーション・アーミー:黒人解放軍」(BLA)の
メンバー、アサタ・シャクールのスローガンです。
半世紀後の今日、反人種差別団体「黒人の命も大切:
ブラック・ライヴズ・マター」(BLM) もこのモッ
トーを受け継いでいます。

 問題はシャクールの経歴。彼女は共産主義の信奉
者で、反米闘争という目的達成のためには、銀行強
盗や警官襲撃など手段を選びませんでした。第1級
殺人の罪で服役中に脱獄。1984年キューバに亡命し
現在も同国に潜伏中で、FBIの最重要指名手配テロリ
ストのひとりです。

 シャクールを師と仰ぐBLMの指導者パトリッセ・
カラーズもマルクス主義者。70年代の武闘派スロー
ガンを意図的に継承することで、カラーズは差別廃
絶運動と反米闘争を表裏一体にしたのです。BML支持
者らが、奴隷制反対派のアブラハム・リンカーン大
統領や北軍のユリシーズ・グラント将軍の像まで汚
損・破壊するという矛盾も、「アメリカという国家
体制そのもの」を敵視する反米行為だと考えれば合
点がいきます。

「アメリカが黒人の望むものを与えないなら、現体
制を焼き払い新しい国家に作り変える」BLMニュー
ヨーク支部の代表ホーク・ニューサムのTVインタビ
ュー発言からも、BLMが反米武力闘争を目指してい
ることが伺えます。


「米司法制度のみならず、人々を抑圧する政府組織
の解体を始めなければならない」。黒人男性暴行死
事件にからむ政治集会でこう述べたのは、ソマリア
難民から政治家に転じたイルハン・オマル下院議員。
反体制活動家ならともかく、米国憲法を内外の敵か
ら守る連邦議員が反米主義を扇動するとは政治家と
しての正道を踏み外しています。しかし、左派に牛
耳られた民主党内で新米議員の暴論を諭す声は聞か
れません。

 事程左様に、昨今のアメリカでは移民国家として
のルーツを否定・拒否・非難し、ひいては国体その
ものを作り変えようというキャンセル・カルチャー
が渦巻いています。

 もっとも、アメリカ版自虐史観に陶酔するBLMや急
進左派デモの参加者が、シャクールやカラーズのよ
うな筋金入りの共産主義者ばかりなのかというとそ
うでもないようです。多くは米国史を学んだことも
「自分は何者なのか」を突き詰めて考えてみたこと
もない人々で、「建国の父らの権威を貶めるのがカ
ッコいいから」「嫌いな相手をレイシストと呼べば
黙るから」「自分の思い通りにならない社会は、焼
き払ってしまったほうが清々するから」「警察解体
を叫ぶのがファッションだから」というぐらいの動
機で抗議運動に参加。集団心理に駆られるまま破壊
行為に走っているように見えます。

 体制転覆を目論む扇動者らにとって、これほど操
りやすく便利な「兵隊」はないでしょう。60年代以
降、家庭での躾(しつけ)や学校教育で、歴史、伝
統、文化、義務、名誉、愛国心などがおろそかにさ
れてきた結果ですが、そのツケは大きかったと言わ
ねばなりません。

 差別撤廃運動の衣を借りたBLMや民主党急進左派
が目指すのは「アメリカ解体」。このカラクリに無
党派層がどう反応するかで大統領選の潮目が変わっ
てきましょう。今回トランプ氏が「左派の文化革命」
という異例の表現を使ったのは、左派の行き過ぎを
懸念し始めた無党派層にアピールする狙いがありそ
うです。

 本日のトランプツイッターは独立記念日の大統領
演説からの抜粋。動画をご覧になる場合は0:41
から0:50までです。キーワードは overthrow。
「転覆させる」「崩壊させる」という意味です。

This left-wing cultural revolution is designed
to overthrow the American Revolution.

「左派が扇動する文化革命は、アメリカ革命(の成
果)を崩壊させようとするものだ」


https://twitter.com/whitehouse/status/1279255418938802177
 
 

▼ロシアが恐れる米軍兵器4「弾道ミサイル防衛シ
ステム」

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。「ロシアが恐れるべき米
軍兵器」4回目は弾道ミサイル防衛システムです。

弾道ミサイル防衛は3つの段階に分けられます。弾
道弾が発射され加速・上昇中の「ブースト段階」。
切り離された弾頭が宇宙空間を慣性飛行している
「ミッドコース段階」。そして、弾道弾が大気圏に
再突入し目標に向け降下している「ターミナル段階」
です。各段階に特化した迎撃手段が開発されていま
すが、互いに独立して運用されるのではありません。
ブースト段階でレーザー兵器が撃ち漏らした弾道ミ
サイルは、ミッドコース段階のイージス・ミサイル
や地上配備型迎撃ミサイル(Ground Based Interceptor:
GBI)が撃破。これにも失敗すればターミナル段階で
パトリオット・ミサイルが迎え撃つという3段構え
の守りです。

ビデオでは肩撃ち式の携帯ミサイルも出て来ますが、
これらは低高度で侵入してくる攻撃機やヘリコプタ
ーに対処するもので弾道弾の迎撃には無力です。ち
なみに、先日導入が白紙撤回された地上配備型イー
ジスは、大気圏外で敵弾頭を撃破するミッドコース
段階のミサイルでした。

弾道ミサイル防衛システムは、飛翔中の敵ミサイル
を破壊するという性質上、攻撃任務には転用できま
せん。とすると、この種のシステムには抑止力がな
いのでしょうか? 答えは弾道ミサイル防衛と補完
関係にある敵地攻撃能力の有無によります。敵地攻
撃能力がない日本のような場合、攻撃側は弾道ミサ
イル防衛システムを恐れることなく核先制攻撃を仕
掛けられます。日本が報復しない、またはしたくて
もできない事情を見透かしているからです。しかし、
強大な敵地攻撃能力を有するアメリカなら話は違っ
てきます。弾道ミサイル防衛システムによって、敵
国を焦土とするに充分な核報復能力が温存されるか
らです。

弾道ミサイル防衛という「盾」は、敵地攻撃能力と
いう「矛」と組み合わされて初めて大きな抑止力を
発揮できるのです。

教材ビデオ: https://www.youtube.com/watch?v=wyueruJtycw&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=116

(ミサイル防衛システムのイントロダクションは
8:30から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Surprise attack(サープライズ・アタック)奇襲攻

Nuclear arsenal(ニュークリア・アーサナル)核兵
器備蓄

シナリオ(カウンターを11:41に合わせてくだ
さい)

 Moscow’s fear is that the missile defense
system will give the United States greater
confidence in its ability to conduct a surprise
first strike to eliminate Russia’s nuclear
arsenal with missile defense systems able to
handle any missiles that aren’t destroyed in
the initial attack.

(ミサイル防衛システムを持つことで、アメリカは
ロシアの核ミサイル備蓄を排除する先制奇襲攻撃を
仕掛ける自信を深めるのではないか・・・ロシアは
これを恐れている。先制攻撃を生き延びたロシアの
ミサイルは、この防衛システムがすべて撃ち落とせ
るからだ)
 
(ミサイル防衛システムのビデオは12:03まで
続きます)


英語一言アドバイス:
first strikeは核兵器による「先制攻撃」を意味します。

発音サイト:
first strikeの発音 https://www.howtopronounce.com/first-strike

参考サイト:地上配備型ミサイル防衛システム https://en.wikipedia.org/wiki/Ground-Based_Midcourse_Defense
(本サイトの日本語版に移行してください)

米ミサイル防衛システム全般 
https://en.wikipedia.org/wiki/Missile_defense
(本サイトの日本語版に移行してください)

中間段階防衛ミサイル
https://en.wikipedia.org/wiki/Ground-Based_Midcourse_Defense
(本サイトの日本語版に移行してください)

終末段階防衛ミサイル
https://en.wikipedia.org/wiki/Terminal_High_Altitude_Area_Defense
(本サイトの日本語版に移行してください)


(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
 
 
追記
「MP5サブマシンガン」
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
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