───────────────────────
ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
E-mail
hirafuji@mbr.nifty.com
WEB
http://wos.cool.coocan.jp
───────────────────────
こんにちは、エンリケです。
市川さんの最新刊
「不思議で面白い陸戦兵器」
https://amzn.to/2mHwynA
は、陸戦兵器や装備に興味ある人にとっては、
知的体力を養う上で欠かせない
「必須サプリメント」のような存在でしょう。
得難い本です。
●月刊『軍事研究』(2020年3月号)で、
「国産製品が割高・低性能の誤解を解く!
『日本が弾薬を国産する理由』」という市川さんの
記事が掲載されました。不良弾や欠品が許されない
国内事情、継戦能力の確保だけではない弾薬を国産
する理由が解説されています。
ご一読をおススメします。
『軍事研究』
2020年3月号
https://amzn.to/38ezqLA
「防衛予算から読み解く日本の防衛力」第二部の
二十二回目です。
不測事態という言葉が安易に使われすぎという
印象を私も持ってます。
後世に負債を残して平気の平左な日本人では
いたくありません。
この連載も、残り二回となりました。
質問があればやっておいたほうがいいですよ。
きょうの記事も必読です。
さっそくどうぞ
エンリケ
市川さんの新刊
「不思議で面白い陸戦兵器」
https://amzn.to/2mHwynA
※大反響発売中
ご意見・ご感想はコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
───────────────────────
防衛予算から読み解く日本の防衛力(43)
第2部 危機的状況にある日本の安全保障体制(22)
結言:今後の大綱、中期防はいかにあるべきか?
─今こそ真実を明らかにし、将来に備えるべき
市川文一(元武器学校長・陸将補)
───────────────────────
□はじめに
不測事態とは予測できなかったからこそ不測事態で、
ある程度予測できたのに備えがなかったことに対して
は不測事態とはいいませんが、最近は不測事態という
言葉がよく使われます。今般の新型コロナ感染につい
ては不測事態に近い現象かもしれません。日本各地で
頻発する災害については、いつでもどこでも起こりう
るという観点では不測事態ではありませんが、いつ、
どこで、どの程度の規模で起こるか予測することがで
きないという意味では不測事態です。
ただし、予測できても完全な備えができるわけでは
ありません。たとえば、地震や津波、堤防決壊に対し
て、国や地方自治体、個人が準備できることは限界が
あります。予算や収入の許す範囲で最大限ということ
になるでしょう。自然の脅威には対抗できません。
代わって、日本の国に対する周辺国の脅威について
は、どのように捉えたらよいでしょうか。日本国憲
法のように他国を全面的に信頼するならば、日本に
対する他国の侵攻は不測事態になります。しかしな
がら、大綱や中期防、防衛白書を読む限り、日本国
政府は日本の周辺国の脅威を明示しています。
国の防衛は、自然災害や疫病などと比べると、は
るかに予測可能であり、事前に備えることができま
す。防衛力は脅威に応じて整備できます。それが、
「所要防衛力」です。国の防衛を自然災害の備えと
同じレベルで捉えたものが「基盤的防衛力構想」な
のでしょう。
▼「所要防衛力」の整備に必要な経費(その2)
所要防衛力を整備するために必要な経費としてGDP
2%、約10兆円という数字を提示しました。この10
兆円の経費は、日本の安全保障体制を将来にわた
って盤石なものとするために必要な経費であり、
優先的に国家予算から配分すべきものです。しか
しながら、三木政権以来、「基盤的防衛力構想」
に縛られ、防衛予算はGDP1%というのが完全に定着
してしまいました。
GDP1%で整備した防衛力により、幸運にも日本の安
全は確保され、大災害に対しての自衛隊の災害派遣
も有効に機能してきました。これには日米同盟が有
効に機能し、自衛隊の絶え間ない努力があったこと
も大きな要因ですが、ソ連崩壊によりロシアの軍事
力が低下したこと、中国の軍事力が陸上戦力主体で
あったこと、北朝鮮の核ミサイルの開発が途上であ
ったことに加え、政界経済の繋がりにより先進国同
士の紛争が起こりにくい情勢になったことが日本の
安全保障環境に大きく影響しています。
日本の安全保障にとって比較的に有利な環境が整っ
ていたことがプラス要因となり、日本の安全に幸い
した訳であり、GDP1%の防衛力で十分であった訳で
はありません。しかも、日本の安全保障環境は厳し
い方向へと進んでおり、グローバル経済の進展もト
ランプ大統領の登場により停滞もしくは逆戻りして
いる状況です。現在から将来を見据えた場合、今の
防衛力で日本の安全が確保できるかどうかは非常に
疑問となるところです。
さて、日本の安全保障を確保するのにGDP2%の防衛
予算が必要としても、現実的には、国民が納得する
数字であるかという問題があります。防衛費を2倍
にするとなると野党やマスコミが「日本を軍事国家
にするのか、戦前の悪夢を再現するのか」と騒ぎ立
て、全国各地で反戦デモが催されるのが予測されます。
2倍という数字が一人歩きすることで、防衛費の倍
増は非常に困難な政策となりますが、予算額そのも
のは大きく騒ぎ立てるほどのものではありません。
防衛予算の増額となると、これを批判するために戦
前の軍事体制につなげることが常套手段ですが、戦
前の国家予算に占める軍事費の割合は30%~70%で
推移しており、10%という数字は戦前とは比較にな
らない低いものです。
戦前の軍事費は、山梨軍縮時の大正末期から昭和初
期でさえ、国家予算の28%以上を確保しており、日
中戦争が始まる昭和10年代では50%以上となってい
ます。戦艦大和の価格は約1億4000万円ですが、戦
時体制前の昭和初期から10年までの国家予算が20~
30億円で推移していること考えれば、1隻の船の建
造費に国家予算の5%を投じているわけです。
現在の予算額としても、新型コロナウイルス感染拡
大に伴う緊急経済対策の予算が117兆円であること
比較するなら、国家の存立に関わる防衛費に投じる
10兆円は、決して大きな数字ではありません。また、
一気に2倍にするのではなく、大綱が想定する10年
間、2コ中期防で2倍にするのであれば、年度の防
衛予算の増額は8%で済みます。決して無理な数字
ではないのです。
防衛費倍増に関しても、単に必要性を説明するだけ
でなく、防衛費を増額しない場合の安全保障上のリ
スクについて具体的に説明することで国民の理解も
得られます。本連載で指摘してきた現在の防衛力の
問題も可能な限り国民に公開すべきです。継戦能力
や装備品の可動状況は、日本の防衛力の弱点となる
ため通常は秘密にすべき事項ですが、とりあえずは
安全保障上の危機的状況にない今こそ真実を明らか
にし、将来に備えるべきです。
(つづく)
(いちかわ・ふみかず)
市川さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
↓
https://okigunnji.com/url/7/
【著者紹介】
市川文一(いちかわ・ふみかず)
1961年生まれ。長野県出身。防衛大学校27期生。
1983年、陸上自衛隊に入隊。
2002年に1等陸佐に昇任後、第13後方支援隊長、統合
幕僚監部人事室長、装備施設本部武器課長、陸上幕
僚監部武器・化学課長、東北方面後方支援隊長、愛
知地方協力本部長として勤務、
2015年陸将補に昇任後、陸上自衛隊武器学校長の勤
務を最後に2017年8月に退官。退官後の9月には
YouTube「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演。
2019年9月に新刊『不思議で面白い陸戦兵器』を刊
行。
2017/9 YouTube「桜林美佐の国防ニュース最前線」
に出演。
https://youtu.be/6hPY3vgpidw
2017/10/21「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出
演
https://youtu.be/jESYh1lIeSE
2018/2/10「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/D_md0ZSJNds
2018/6/9「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/eHnT9jvqQjk
2018/10/6「桜林美佐の国防ニュース最前線」に出演
https://youtu.be/aEOhNJ3twN0
著書に、
『猫でもわかる防衛論』(大陽出版)
https://amzn.to/2qBGuNJ
「不思議で面白い陸戦兵器」(並木書房)
https://amzn.to/2mHwynA
がある。
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が
主催運営するインターネット上のサービス(携帯サ
イトを含む)で紹介させて頂くことがございます。
あらかじめご了承ください。
PPS
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権はメールマガジ
ン「軍事情報」発行人に帰属します。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
----------------------------------------
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら
https://okigunnji.com/url/7/
Copyright(c) 2000-2020 Gunjijouhou.All rights reserved.