配信日時 2020/07/10 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】世界の秘密兵器(30)「ロシアが恐れるべき米軍兵器3「F-22ラプター」」

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは。エンリケです。

【新】加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!

ミニミ/M249です。

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今回の冒頭文も読ませますね。

日本国内の報道を浴びている限り、
「的を射た海外事情把握」はできないなあ。

改めてそう感じました。

現在の米事情をつかむには、
今後も、加藤さんの米国発レポートが
手離せません。

さっそくどうぞ


エンリケ



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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編     

世界の秘密兵器(30)
 「ロシアが恐れるべき米軍兵器3
       「F-22ラプター」」

Takashi Kato

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□トランプツイッター6月30日付

 アメリカの自虐史観運動がとまりません。
 
 これまで建国の父ら歴史上の人物や政治家に向け
られていた敵意が、とうとう国民的スター、ジョン・
ウェインに及んだのです。『駅馬車』や『硫黄島の
砂』をはじめ多くの西部劇や戦争映画に出演、屈強
で頼りがいある英雄を演じ続けたウェインは根っか
らの保守派。自由と義務、権利と責任、名誉、国家、
開拓者精神、愛国心といった米国の伝統をさまざま
な役柄で体現し、世代を超えて多くのアメリカ人に
愛された名優です。文民に与えられる最高位の勲章
「議会黄金勲章」と「大統領自由勲章」も受賞した
ミスター・アメリカが、なぜいま?
 
 カリフォルニア州オレンジ郡の民主党議員らが、
半世紀前に同氏が行なった人種差別発言を問題視し、
「オレンジ郡にあるジョン・ウェイン空港の名称変
更とウェイン像の撤去」を決議したのです。読者も
お察しの通り、ミネソタ州の黒人男性暴行死を発端
に広がった「銅像破壊運動」がらみの政治的方便で
す。

 問題の雑誌ンタビューを読んでみると、たしかに、
黒人と性的少数派、先住民族などに向けられた言葉
は「英雄」が持つべき器の大きさと配慮を欠いてい
るように感じられます。昨今の常識からすれば、差
別と言われても仕方ないでしょう。しかしながら、
社会通念は時流とともに変容するうつろいやすいも
の。この事実を顧みず、過去の過(あやま)ちを声
高に糾弾する民主党の態度には「自らの正義に酔う
驕(おご)り」を感じます。

 この、なんとも釈然としない心境をあえて日本に
投影するなら、「国民的名優として慕われてきた渥
美清が、生前日常的に家族に暴言を吐いていた疑い
が浮上したため、柴又駅前の寅さん像を撤去し、没
後授与された国民栄誉賞を取り消すことになった」
というところでしょうか。
 
「ウェインの発言は、50年前でも今でも、けっして
許されるものではない」。民主党議員らはそう主張
します。ならば、自党の不都合な真実にも同じ基準
で臨むべきだと言いたい。たとえば、奴隷制度の是
非をめぐり1861年から1865年にかけアメリカを二分
して行なわれた南北戦争で、合衆国を脱退した南部
「奴隷州」の多くは民主党主導でした。

 白人と黒人が同じ学校に通う「融合教育」が進め
られていた1957年、アーカンソーの州都リトルロッ
クの高校に州兵部隊を動員し、黒人学生の登校を阻
止したのは民主党のオーヴァル・フォーバス知事。
また、上院の最古参・最高齢議員記録を持つ民主党
の故ロバート・バード議員は、かつて白人至上主義
団体KKKのメンバーだったことが知られています。

 ところが、「民主党」の改称や、人種差別を積極
推進した同党重鎮らへの内部批判はついぞ聞いたこ
とがありません。外に厳しく身内に甘い二重基準の
典型だというべきです。

 ことほど左様に、左派や無政府主義者による銅像
汚損行為やシアトル不法占拠はなぜか咎(とが)め
ず、トランプ氏の「法と秩序回復要請」を拒否し無
法状態を長引かせる民主党の言動には、露骨な政治
的策略を感じます。

 大統領選のカギを握る無党派層有権者らも、同党
の目にあまる偽善体質に気づき始めていることでし
ょう。加えて、民主党が主導する「キャンセル・カ
ルチャー」(歴史や伝統の継承をキャンセルし、自
国を貶める自虐史観)が裏目に出れば、来たる11月、
同党の大凋落を誘発しないとも限りません。

 本日のトランプツイッターは、銅像撤去・名称変
更運動のみならず、11月の本選挙を睨んだ発言だと
思います。キーワードは heritage。受け継がれる
文化、遺産、伝統のことです。

This is a battle to save the Heritage, History,
and Greatness of our Country!

「これ(記念碑や名称を保護し本選挙に勝つこと)
は偉大なる我が国の文化、歴史、そして伝統を守る
戦いなのだ!」
 
▼ロシアが恐れる米軍兵器3「F-22ラプター」

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。

「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。「ロシアが恐れるべき米
軍兵器」3回目はF-22ラプター戦闘機です。

レーダーなどに発見されにくい第1世代のステルス
機は1981年に初飛行したF-117ナイトホーク。レー
ダー反射断面積を極限まで減らした機体は菱(ひし)
形で構成される多面体で、「奇抜」と言っていいデ
ザインでした。


戦闘機(Fighter)に分類されてはいるものの、実際
には夜間爆撃を主任務とする攻撃機で空中戦を行な
う機動性はありません。任務が夜間に限られ、機体
が黒一色に塗られているのも、目視され空中戦に待
ちこまれることを避けるためです。

これに対し90年代に開発された第2世代ステルス機
F-22ラプターは、ステルス性と空力学的優位性を見
事に両立させています。これはF-117開発当時に比
べ、機体形状をシミュレートするコンピューター能
力が格段に進歩したためです。

F-22はステルス機でありながら、F-15イーグルやス
ホイ-27フランカーといった第一線制空戦闘機をし
のぐ空戦能力を有しています。

F-22の本領は有視界外戦闘。敵機が目視できない距
離から中距離ミサイルを発射し撃墜する戦法です。
F-22は先方の機上レーダーに映らないため、相手は
自機が何に攻撃されたかも知らずに撃破されること
になります。

本ビデオのシナリオのようにF-22がロシア空域に進
攻する場合,多数のスホイ-27などが迎え撃つことに
なるでしょう。第1波の空対空ミサイル攻撃ではケリ
がつかず、ドッグファイト(空中戦)にもつれ込む
ことも想定されます。

しかしこの場合でも、相手のレーダーや赤外線セン
サーにロックオン(自動追尾)されにくいため、ミ
サイル攻撃を避けることができます。よしんば機関
砲を撃ち合う近接空中戦に持ち込まれても、持ち前
の空戦能力で優位に立つことが可能です。したがっ
て、ステルス性と機動性を兼ね備えたF-22ラプター
の抑止力は極めて高いものと考えられます。

教材ビデオ: https://www.youtube.com/watch?v=wyueruJtycw&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=116

(F-22ラプター戦闘機のイントロダクションは
6:32から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Conflict(コンフリクト)紛争 戦争
Air superiority(エア スーペリオリティ)制空権

シナリオ(カウンターを7:57に合わせてください)

In any conflict with Russia, the F-22’s primary
purpose would be to knock down the door and
establishing air superiority.

(ロシアとのいかなる紛争においても。F22の主目
的はドアを蹴破って進攻し、制空権を確立することだ)
 
(F-22ラプター戦闘機のビデオは8:28まで続き
ます)

英語一言アドバイス: air superiorityは制空権と
訳され、ある空域の支配権を握っている状態のこと。
制空権が確立されていれば、敵の反攻なしに陸・海
作戦を行える。

発音サイト: air superiorityの発音https://www.youtube.com/watch?v=zHd9DFLMW_c

参考サイト: F-22ラプター戦闘機 https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_Martin_F-22_Raptor
(本サイトの日本語版に移行してください)

F-117ナイトホーク攻撃機
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_F-117_Nighthawk
(本サイトの日本語版に移行してください)





(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
 
 
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
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『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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