配信日時 2020/07/09 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (285)】  ― ゆうべつ最後の観艦式(3)―

こんにちは、エンリケです。

285回目となる
「渡邉陽子のコラム」は、
「ゆうべつ最後の観艦式」の第三話です。

実に面白いです。

ちなみにわたしは今回の記事で
新たな学びを得ました。

ありがたい限りです。


あなたの体験談やご感想もお寄せください。
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さっそくどうぞ


エンリケ


追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (285)
 ―ゆうべつ最後の観艦式(3)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
熊本・鹿児島大雨災害により被災されたみなさまに、心よりお見舞
い申し上げます。そして自らも被災者であるかもしれない立場であ
りながら、家族を置いて災害派遣に従事している自衛官のみなさん、
ありがとうございます。
これ以上被害が大きくならないことを祈るばかりです。


記事掲載のお知らせです。

『丸』8月号にて、「陸自87式自走高射機関砲ガイド」「高射学校
陸曹高射火器課程密着ルポ」の記事が掲載されました。「87AW」と
言ったほうが通じやすいかもしれませんね。高射学校にはいい取材
をさせていただきました。高射学校長のお話も、記事に収まりきら
なかった興味津々の話題が山のようにありました。
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『PANZER』8月号には「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火
箱芳文の半生」第16回が掲載されています。今回は北部方面総監部
幕僚長時代の話が中心です。異動とほぼ同時期にイラク戦争が停戦、
1次隊として派遣されることになったのは、北海道の「あの」部隊
でした。https://amzn.to/2B7VnAL

月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」
最終回が掲載されました。https://amzn.to/3cOzOSQ



■ゆうべつ最後の観艦(3)

「ゆうべつ」艦長の話は続きます。
「現在の乗員たちは万全の体制、自信を持って観艦式に臨める練度
だと確信しています。観艦式に初めて参加する乗員は、お客様に自
衛隊を見ていただくという目的もさることながら、“自分たちはこ
れだけすごいことをやっているんだ”という自信を持ち、かつ楽し
みながら参加してほしいですね。一方、すでに観艦式を経験してい
る乗員には、どうすればお客様によりよいものを見ていただけるの
か、われわれのアピールができるのかをよく考えて臨んでほしいと
思っています」

出航時、緊張感の漂う艦橋に足を運んでみます。
艦長はじめ航海長、測距担当の航海科員、針路をチェックするジャ
イロレピーター、通信士、速力指示員、操舵員、レーダーを担当す
る船務科員などが、決して広いとはいえない艦橋に詰めています。
さらに、その背後に写真や動画を撮らんとやるき満々の招待客たち
がひしめいているのですから、大変な混雑ぶりです。
しかし出航時の緊張感はギャラリーにも伝わり、大声を上げたり任
務に集中している隊員に話しかけたりする人はいません。隊員たち
の真剣な背中を、息をつめて見守っているという感じです。

ゆっくりと岸壁を離れた「ゆうべつ」は東京湾を進んで行きます。
これから浦賀水道を経て観艦式会場である相模湾へ向かうのです。
無駄口は一切ありませんが、静かなわけではありません。艦橋には
ひっきりなしに航海長や操舵員、速力指示員などの声が飛び交って
います。
「両舷前進1戦速黒10」
航海長の発した暗号のような号令は、速力の指示です。これを速力
指示員が艦橋下に位置している機関室に伝達し、機関室がスロット
ルレバーで指示された速力になるようエンジンを動かします。
この速力指示や針路の指示が、ほとんど途切れることがありません。
一見、海上をスイスイとたやすく進んでいるように見える「ゆうべ
つ」ですが、周囲の漁船に注意しつつ前方を進む「ゆうばり」と列
を乱さず一定距離を保つには、これだけひっきりなしに指示を飛ば
す必要があるのです。

艦橋後部では、艦内放送を担当する隊員がタイミングを見計らって
アナウンスを行なっています。
「まもなく左に曲がります」「まもなく速度を上げます」といった
業務的なものだけでなく、「右手の小高い丘の上に建つ建物は防衛
大学校です」などガイド的なアナウンスもあり、サービス精神も旺
盛です。

艦橋が再び出航時のような緊張感に包まれてきたと思うと、「まも
なく浦賀水道に入ります」というアナウンスが流れました。
東京湾の銀座とも呼ばれる浦賀水道は、1日に700隻もの船舶が通る
海の難所。交通量が多いため、この海域では右側通行、時速12ノッ
ト(約20キロ)に制限されます。艦橋から見える海上には右を見て
も左を見ても大小の船が航行していて、さながら海の渋滞状態です。
「レーダーは少し遅れるから鵜呑みにしないほうがいい。かならず
自分の目でも確認するように」
ベテランの船務長が若い海士に助言している横では、艦長が「あの
漁船、どこに行くのか無線で聞いたほうがいいな」と船務士に指示
しています。センターラインもない海の道を安全に進むため、いく
つもの目と何重ものチェックが行なわれているのです。


(以下次号)



(わたなべ・ようこ)


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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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