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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出まし
た。今回はMP5です。
「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井雅美 (監訳), 加藤喬 (翻訳)
発売日: 2019/2/5
http://okigunnji.com/url/14/
※大好評発売中
こんかいの冒頭文も読ませますね。
現在の米をつかむには、
今後も、加藤さんの米国発レポートが
手離せませんね。
さっそくどうぞ
エンリケ
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
世界の秘密兵器(29)
「ロシアが恐れるべき米軍兵器2
「B2ステルス爆撃機」」
Takashi Kato
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□トランプツイッター6月23日付
「上野の西郷隆盛像と靖国神社の大村益次郎像、浅
草の勝海舟像が暴徒に引き倒された。西郷像には
『征韓論に加担した嫌韓派』、大村像には『国民皆
兵を主張した軍国主義者』、勝像には『海軍創設に
先鞭をつけた主戦論者』との落書きがあった」
ある日こんなニュースに遭遇したら、読者はどう
反応するでしょう? 初めのうちは、あまりの馬鹿
馬鹿しさに報道が信じられないかもしれません。し
かし、状況が理解されるにつれ「どうして?」「警
察は何をしていた?」「批判は的外れだ!」など、
驚愕と犯人の身勝手な動機に対する憤慨を感じるこ
とだと思います。
いまアメリカでは現実に、多くの市民がそういう
苦々しい思いを強いられています。人生の半分以上
をこちらで過ごしてきましたが、国の箍(たが)が
外れかけた米国を肌で感じるのは初めてのことです。
当初、人々はミネソタ州やジョージア州で黒人容
疑者を無用な死に追いやった悪徳警官らへの憤りか
ら団結。警察機構にはびこる人種差別撤廃を求めて
まっとうな抗議活動を展開しました。ところが、平
和的デモはほどなく極左暴力集団や無政府主義者に
乗っ取られ、首都ワシントンやサンフランシスコ、
ポートランドといった主要都市が夜な夜な無法地帯
と化す異常事態が続いています。
ことに最近は、米国の歴史と社会制度そのものを
徹底破壊する「反米武力闘争」の色合いが強まって
おり、初代大統領ジョージ・ワシントン像がペンキ
で汚損されたり、奴隷解放に尽力したアブラハム・
リンカーン像や北軍のユリシーズ・グラント将軍像、
そして、アメリカ国歌『星条旗』を作詞したフラン
シス・スコット・キイ像まで暴徒によって引き倒さ
れたりする有り様。彼らが奴隷所有者であったとい
うのが極左デモ隊側の主張ですが、該当都市の民主
党市長らはこれらの無法行為を看過しており、梯子
を外されたかたちの警察も手が出せない状況です。
これに加え、先日、ニューヨーク市のアメリカ自
然博物館に1940年から展示されてきたセオドア・ル
ーズベルト大統領の銅像も「人種差別と植民地主義
を正当化する」として自主撤去されることになりま
した。
これらの行為は理由の如何にかかわらず正当化で
きるものではありません。まず、公共物損壊は、対
象が公園のベンチであれ、慰霊碑であれ、銅像であ
れ、犯罪です。また「現代の常識で許容できない」
からといって、奴隷制の歴史そのものを抹消し「偶
像破壊」に走るのは短絡的な行動です。
歴史とはそこから学ぶためにあり、各人の好悪で
削除したり書き直したりするのは暗愚の極みです。
考えてみれば、西洋文明の礎である古代ギリシャ、
ローマ文明も労働力を奴隷に頼っていました。この
史実の否定は、西洋なるもののアイデンティティ喪
失を意味します。
自国外の領域や外国を武力で支配する「植民地政
策」然り。いまの尺度で考えれば、列強の身勝手で
あり白人優越主義の権化に他なりません。しかし同
時に、植民地時代を語らずして現代欧米諸国の成り
立ちは理解できません。
「自分たちは何者なのか」を知ろうとしない国民に
未来はない。歴史に紡(つむ)がれたアイデンティ
ティなしには、いま為すべきことも目指すべき将来
のゴールも発見できないからです。
現在、アメリカに吹き荒れる破壊活動は「国や社
会が思い通りにならないなら、いっそのこと、すべ
て焼き払ってしまえ」という子供じみた破壊願望の
発露。1960年代以降、義務や名誉、集団への帰属感、
愛国心を蔑(ないがし)ろにしてきたリベラル教育
と、左派が拡散した米国版自虐史観の「ツケ」なの
です。
この混沌たる社会状況が経済再起動を阻(はば)
み続けた場合、11月の大統領選挙は誰が制するのか?
水晶玉を持たぬ身に未来を窺い知ることは叶いません。
が、米有権者の30パーセントを占める無党派層の動
きがカギになりそうな予感はあります。
つまり、銅像破壊デモやシアトル占拠といった極
左・無政府主義者らの振る舞いを、このグループが
どう解釈するかです。たとえば、一連の破壊行為に
関するバイデン氏の沈黙を「党内急進左派におもね
るバイデン候補は、極左や無政府主義者の違法行為
を容認し、反米運動を助長している」と捉えれば、
無党派票が大挙してトランプ氏に流れる可能性は考
えられます。
日本でも話題になっているジョン・ボルトン前国
家安全保障補佐官の暴露本の影響はどうでしょう?
本書が描きだすトランプ氏の「素顔」が有権者の判
断に与える影響は軽微だと思います。「トランプ憎
し」で結束する主流メディアはトランプ叩きの好材
料にしていますが、大統領の岩盤支持層はボルトン
の発言など歯牙にもかけません。ここでもカギは無
党派層の反応ですが、この種の暴露本の常として
「なぜこの時期に?」「補佐官を罷免された腹いせ
では?」という醒めた見方が大勢を占めるでしょう。
もちろん、ボルトン氏をはじめ多くの閣僚が失意
のうちに去っていった事実は、トランプ氏が決して
「付き合いやすいボス」ではないことを示唆してい
ます。しかし同時に、内憂外患に喘ぐアメリカがい
ま必要としているのは、品行方正な善人や人畜無害
の八方美人ではありません。逆境をバネにあらゆる
手段で国を繁栄に導く、したたかなリーダーという
ことになれば、わたしはトランプ氏に分があると思
います。
とは言うものの、「最悪に備えつつ最良を期待す
る」のが賢明な生き方です。日本の政治家諸氏は
「11月の選挙結果如何では、日米同盟が形骸化す
る恐れ」を考慮するべきです。米民主党はかねてか
ら「力による平和」を否定。しかも「国際協調」
「戦略的忍耐」という無責任な理想論で中国の覇権
野望を放置・助長してきました。このマイナス遺伝
子はバイデン候補にも100%受け継がれています。
安倍首相と後継指導者には、最悪のシナリオを想定
する慧眼と、自立国防案を迅速に練り上げる胆力が
求められます。
本日のツイッター、トランプ氏は銅像破壊などの
違法行為を犯す者に対し、厳罰で臨む決意を示して
います。法と秩序の回復で強い大統領のイメージを
打ち出し、投票判断を先延ばししている無党派層を
取り込む意図がありそうです。キーワードは
authorize。「許可する」と訳します。
I have authorized the Federal Government to
arrest anyone who vandalizes or destroys any
monument, statue or other such Federal property
in the U.S. with up to 10 years in prison, per
the Veteran’s Memorial Preservation Act, or
such other laws that may be pertinent..........
This action is taken effective immediately,
but may also be used retroactively for
destruction or vandalism already caused.
There will be no exceptions!
「わたしは連邦政府に対し、記念碑や銅像など国内
の国有財産を汚損または破壊した者を逮捕し、最高
10年の禁固刑に処することを許可した。これは復員
兵墓地保護法その他の関連法に基づくものだ・・・・
この措置は即時発効するが、すでに行なわれた汚損・
破壊行為に遡って適応されることもあり得る。例外
は認められない!」
▼ロシアが恐れる米軍兵器2「B2ステルス爆撃機」
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。「ロシアが恐れる米軍兵
器」2回目はB2ステルス爆撃機です。
前回B2爆撃機を取り上げた際は、レーダー反射断
面積を減らす「空飛ぶ翼」形状について書きました。
今回は赤外線、視覚、そして音響面での「見つかり
にくさ」に触れます。
レーダーに映りにくいということは、レーダー照準
対空砲やレーダー誘導ミサイルの攻撃を避ける上で
効果があります。しかしそれだけでは、赤外線追尾
ミサイルや目視照準の機関砲には無防備です。これ
らの脅威を軽減するため、B2にはいくつかの工夫
が凝らされています。
たとえば4基搭載されたエンジンは胴体中央内部に
埋め込まれ、排気ノズルは地上から見えないよう上
面に配置されています。また、排気ガスはノズルか
ら出る直前に周辺空気と混ぜ合わされて温度が下げ
られ、赤外線の痕跡を減らす仕組みです。
またB2には、エンジン推力を増すアフターバーナ
ーは装備されていません。高速飛行中に空気との摩
擦熱で機体表面が熱せられることを防ぐと同時に、
最大速度をマッハ0.95に抑えソニックブームと呼ば
れる衝撃波の発生を避ける意味合いがあります。ソ
ニックブームは地上で大きな爆発音として聞こえる
ため、同機の隠密性を帳消しにしてしまうからです。
読者も高空を飛ぶジェット機が飛行機雲を曳いてい
く姿を目にしたことがあるでしょう。機体そのもの
は見えなくても、おおよその位置は伸びていく雲を
追っていれば分かります。レーダーや赤外線に対す
るステルス性がいかに優れていても、これでは目視
照準の対空砲で容易く撃ち落とされてしまいます。
このためB2爆撃機には、飛行機雲の発生を防ぐ物
質をエンジン排気に混入させる装置が組み込まれて
います。
このように、レーダー、赤外線、音響、視覚領域で
の「見つかりにくさ」を組み合わせることで、B2
爆撃機は高度な対空システムをかいくぐる隠密性を
達成したのです。見えない敵は防ぎようがなく、し
たがって、B2爆撃機が持つ抑止力は極めて高いと
思われます。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=wyueruJtycw&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=116
(B2爆撃機のイントロダクションは4:15から始
まります)
基本語彙
Infrared(インフラレッド)赤外線の
Acoustic(アクースティック)音響の
Visual(ビジュアル)視覚の 目視による
Signature(シグナチャー)痕跡
シナリオ(カウンターを4:56に合わせてください)
Particularly essential, in light of Russia’s
sophisticated anti-air systems, is the B2’s low
observability which is derived from a combination
of reduced infrared, acoustic, electromagnetic,
visual and radar signatures.
(ロシアの最新式対空システムを考慮すると、特に
重要なのはB2爆撃機の持つ発見されにくさである。
これは赤外線、音響、電磁、視覚およびレーダー上
の痕跡が小さいことによって達成されている)
(B2爆撃機のビデオは6:30まで続きます)
英語一言アドバイス:
signatureは一般的には「署名」「サイン」のこと
です。また、「痕跡」「特徴」を指す場合もありま
す。たとえば、潜水艦の出す特徴的な音のパターン
を「音紋」、声の特徴を「声紋」、赤外線の特徴を
「熱紋」と称します。英語ではそれぞれ acoustic
signature voice signature infrared signature
になります。ちなみに著名人からもらう「サイン」
はautographです。
発音サイト:
signatureの発音
https://www.howtopronounce.com/signature
参考サイト:
B2ステルス爆撃機
https://en.wikipedia.org/wiki/Northrop_Grumman_B-2_Spirit
(本サイトの日本語版に移行してください)
ステルス技術
https://en.wikipedia.org/wiki/Stealth_technology
(本サイトの日本語版に移行してください)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
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『アメリカンポリス400の真実!』発売中
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
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ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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PS
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
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マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
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心から感謝しています。ありがとうございました。
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