配信日時 2020/06/15 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(80)】当たり前が「ありがたい」

こんにちは、エンリケです。

きょうも面白いですね。

共感できるところ多い記事でした。

さっそくどうぞ。


エンリケ



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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(80)

当たり前が「ありがたい」

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年6月の今回
でなんと、80回目です。

 読者のFさんから感想を頂戴しました。前回、ご案
内した私の自作朗読YouTubeを聴いて頂いたとのこと、
心より感謝申し上げます!

「拉孟(らもう)の地に眠る英霊の安らかならんこ
とを祈らずにいられませんでした。こういう祖先の
犠牲の上に今があること、その事がきちんと伝えら
れていないなど課題は多いですね。」

諦めないで続けて下さいとのお言葉を頂き、とても
励まされました。ありがとうございます!

最近、「地球タクシー」という番組をよく観ていま
す。これは2015年からNHK-BSで放送されていて、
世界各地のタクシー運転手さんとの会話と車窓の風
景という大変シンプルな作りなのですが、観た後に
はなんだか幸せな気持ちになれるのです。

制作会社の老舗テレビマン・ユニオンによるもので、
さすが、いい作品を提供してくれます。

何か偉業を達成した人ではないかもしれませんが、
それぞれに恋人や家族がいて、日々のささやかな出
来事に喜びながら懸命に生きています。

 今回、コロナ・パンデミックを機に、多くの人が
「生き方」や価値観を見つめ直すことになったので
はないでしょうか。

当たり前だと思っていたことに「ありがたい」と感
じるようになったならば、これは得難い経験となる
はずです。

この些細なことに対する「感じ方」をはじめとして、
このわずか数か月の間に、実に多くの「気づき」が
ありました。

そのうちのひとつは「目に見えないものを知った」
ということだと思いました。

ウイルスを顕微鏡なしで自分の眼で見える人はいな
いでしょうから、実際、私たちは肉眼で認識できな
いものを恐れ、大きく影響されているわけです。

私たちの多くが、おそらく、宇宙人や神様に会った
ことはありません。幽霊に会ったという人はたまに
いるようですが、他の人には見えなかったり、科学
的根拠がないとなれば、そんなことを言ったり信じ
ている人のほうが変人扱いされます。

でも、本当は人間が見えるものなんて極めて限られ
ているのだそうです。

作家の三浦綾子さんは、その著書の中で「私たち人
間の耳は、ある程度を超えた、例えば雷鳴以上のよ
うな大きな音は聞こえないことを知った」と、その
驚きを語っています。

確かに、超音波のような小さく高い音は聞こえない
のだろうとは知っていても、大きすぎる音も実は聞
こえていないらしいのです。

すなわち人間は、大きすぎる音も小さすぎる音も聞
こえず、またものすごく早く前を横切るものは目視
できない、その存在に気づくことすらないのです。

この人間の能力を知ったら「目に見えるものしか信
じられない」などというのは、いかに愚かなことか
と思いませんか?

人間の限界を認め、決して思い上がってはいけない、
それが今日只今の私たちの「まなび」ではないかと、
つくづく感じます。

コロナウイルスについては、いずれワクチンや特効
薬が開発されることでしょう。しかし、そのことに
よって人間が勝利したなどと思ってはならないのだ
と思います。

また、ウイルスをやっつけることに成功しても、そ
のことで私たちが幸せになれるかどうかは分かりま
せん。

幸せはもっと別な場所にあるからです。タクシー運
転手さんが帰宅して家族と囲む小さな食卓とか・・・。

「偉大な科学者ほど、神を信ずると昔から言われて
いる」

と、プロテスタントのキリスト者である三浦さんは
記しています。科学を究めるに従って、人間の有限
性を知り、人間には知り得ぬ世界の多いことを知る
からだと。

また、カトリック東京大司教区の菊池功大司教はYou
Tubeで配信されたミサの中で、このコロナ禍につい
てこんなようなことを語っていました。

「世界中の人間が、実は嵐の中でたまたま同じ船に
乗り合わせた仲間だったのだと、気づかされること
になった」と。

そう、私も、あなたも、トランプも、プーチンも、
習近平も、どんな人間も、宇宙から見れば、小さな
船の中で出会い、揺れている小さな生物に過ぎない
のです。

そう考えると、国際政治や安全保障を語ることも、
なんだか滑稽に思えてしまいます。

テレビで、ニューヨークの病院に全米各地から医師
や看護師が「役に立ちたい」とボランティアで駆け
つける光景を見て衝撃を受けました。人間の力には
限界があるとはいえ、こうした人間の行動は大きな
感動を与えてくれるということも、また知りました。

一方、靖國神社が発行している冊子『靖國』の巻頭
言に興味深い一文がありました。

それは、大正7年からのスペイン風邪を機に日本に
おいて清潔を保つ重要性が示されるようになり、近
代日本は保健・衛生に注力するようになったが、こ
れを為し得たのは「人々の根底に清めることを大切
にする精神的土壌があったことも一因ではないだろ
うか」というものです。

神社やお寺ではよく掃き掃除をしています。かつて
靖國神社では、白百合や大妻をはじめとする近隣の
高校13校が連合で清掃奉仕をしていたのだそうで
す。

私の父方の祖母も白百合でしたので、きっと参加し
ていたのでしょう。ミッション系の学校が筆頭にな
っていることにも驚かされますが、聞いただけで心
が洗われる気分になります。

「神前を掃き清めることは御祭神への敬意と感謝を
具現化する行いであるとともに自らの心身をも清ら
かにする」

この言葉に心から納得するのは、私自身も子供の頃、
誰に言われるわけでもなく近くの神社を学校帰りに
掃き掃除をして「いつかいいことがあるに違いない」
と信じていたからです。

この下心がいいのかどうかは分かりませんが、気づ
くと自分が1日、心地良く過ごしているものでした。
そして巻頭言は次のように続きます。

「古来、日本人は自然との共存・調和のもとで生き、
そこに宿る神々を敬い、畏怖する存在として感じて
きた。日々の暮らしは決して穏やかな事ばかりでは
なく、病や自然災害等にも見舞われる事もあったで
あろう。その経験から人々は神威に頼り、祓い・清
めるという感性を培った」

このように考えると「祓い給へ、清め給へ」であっ
たり、キリスト教では「私たちを誘惑に陥らせず、
悪からお救い下さい」という祈りが、今とても見直
されている、という言い方は適切ではないかもしれ
ませんが、その重要性に気づくことのできる時期に
なっていると言えるのかもしれません。

まずは小さな喜びを、身近なところで見出したいも
のですね!


<おしらせ>
YouTubeでの朗読第2弾『拉孟に散った花』を公開し
ています。拉孟守備隊の史実を朗読用の物語にした
ものです。
(前半)
https://www.youtube.com/watch?v=ddaGiAl58Iw

(後半)
https://www.youtube.com/watch?v=R-ItuP50NLw


2、YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップし
ている「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・
元海将に解説をして頂き、私はリモート出演です!

http://okigunnji.com/url/42/



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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