配信日時 2020/06/11 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (281)】  ― 千歳管制隊(6)―

こんにちは、エンリケです。

281回目となる
「渡邉陽子のコラム」は、
千歳管制隊の六回目です。

隊長さんの
「忘れることができる力」
という言葉にビックリしました。
常識と真逆の発想ですね。
実に面白いです。


あなたの体験談やご感想もお寄せください。
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さっそくどうぞ


エンリケ


追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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『ライター・渡邉陽子のコラム (281)
 ―千歳管制隊(6)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
ずっと取材したかった機甲科の訓練の案内があったので喜び勇んで
申し込み、日が迫っていたので急いでフライトや宿の手配をしたと
ころ、部隊から「県外からの取材はまだ受けられないことになって
しまいました」と。旅費のキャンセル代だけが消えるという、がっ
くりの出来事でした。年に一度しか行なわれない訓練なので、来年
こそ……


記事掲載のお知らせです。

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就役したばかりの観測船「平洋」の厨房拝見、海保の回転
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■千歳管制隊(6)

取材時の千歳管制隊長は、今でも自ら週に数回管制業務を行なうと
いう、歴代の管制隊長の中でも稀有な存在でした。
そんな隊長に、管制官に求められる資質を聞いてみたところ、たと
えが印象的な回答が返ってきました。

「30センチ四方のお盆があって、そこに色とりどりのビー玉を転が
したとします。その様子を数秒間見せてからお盆を隠す。そしてど
こに赤いビー玉があったのか尋ねたときに、正しく答えられる人。
これが管制官に求められる資質ですね。つまり直感力、難しくいえ
ば空間認識能力。そして記憶力が求められます。さらに20分前のビ
ー玉の配置を覚えていても意味ないので、忘却力も必要です。これ
らは努力だけではどうにもならないところがあるのは確かですね。
どんなに成績優秀でもまじめ過ぎて20分前の記憶を引っ張ってしま
う、あるいはヤマを張りすぎて5分後のことを考え過ぎてしまうタ
イプも不向きです」

ふたつの飛行場を一元的に管制するという特異な千歳管制隊で鍛え
上げられた管制官は、相当な腕前になるのではという問いには……
「確かに、ここの隊員には“われこそは千歳だ”という思いはあり
ますね。それは一歩間違えれば井の中の蛙になったり、天狗になっ
たりする恐れもはらんでいます。しかしあえて言うなら、それくら
いの誇りや自信を持っていてもらわないと、民航機の定時性・安全
性と自衛隊航空機の訓練効率を両立させる千歳の管制はできません。
実際、管制だけでなく、飛行管理も整備も本当によくやってくれて
います」

2008年夏に洞爺湖サミットが開催されました。なんだか随分昔のこ
とのように思えますね。
新千歳空港は未曽有のVIP航空機ラッシュ、千歳飛行場も偵察や警
備、輸送など陸海空の航空機が絶え間なく離発着するという、千歳
管制隊史上最大のミッションとなりました。
その際に千歳管制隊に所属していた隊員たちにとっては、当然なが
ら忘れられない印象深いミッションとなっています。
「G8プラス20数か国の首脳がみんな新千歳空港にやってくるなん
て、部隊が設立して50年間で一度もなかったことです。前年の秋く
らいから準備を始め、1分1秒遅れずにしっかり下ろす、しっかり
飛ばすという明確な目標に対し、部隊の全員が走り続けた感じでし
たね。士気も大いに上がりました」

ちなみに隊長にはこの部隊でやってみたいことも尋ねてみました。
「一度でいいから、10分でいいから、管制隊の160名全員が一堂に
会してみたいですね。ま、タワーもレーダーも無人にするわけには
いきませんから不可能な夢なんですが。管制隊の宿命です」
なるほど。海上自衛隊の救難飛行艇US-2を運用する71航空隊も常に
岩国基地だけでなく厚木基地でも前進待機している隊員がいるので、
全員がそろう機会がないと聞きました。管制隊の場合は千歳に限ら
ず、あらゆる管制隊が一堂に会する機会をもたないわけです。

個人的には、取材時に庁舎とタワーが車で移動しなければならない
ほど離れているので(飛行場のある基地は総じて広いので珍しいこ
とではありませんが)、隊員たちも往復が大変そうだと感じました。


(つづく)


(わたなべ・ようこ)


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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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