配信日時 2020/05/28 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (279)】  ― 千歳管制隊(4)―

四こんにちは、エンリケです。

千歳管制隊の四回目です。

きょうは一風変わった内容ですよ。

あなたの体験談やご感想もお寄せください。
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さっそくどうぞ


エンリケ


追伸
東京五輪は一年延期されました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読んで、来年に思いを馳せます。
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『ライター・渡邉陽子のコラム (279)
 ―千歳管制隊(4)―

         渡邉陽子
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こんばんは。渡邉陽子です。
23日は富士総合火力演習が動画配信されましたね。見学する隊員た
ちにとっては、酷暑の8月、炎天下で一分の隙もないほどぎっちり
詰めて座らされる例年よりも、はるかに快適な環境だったかもしれ
ません。今年初めて登場した装備品もありました。
私は本当なら23日は千歳にいて、24日には7師団の創立記念行事に
足を運んでいる予定でした。
甲子園も中止になりましたね。インターハイも中止ですしやむを得
ないと思いますが、春の選抜に出場予定だった母校は、夏も戦う前
からその機会を奪われました。ドラフトに名が挙がるであろう注目
選手もいたので、後輩たちの気持ちを思うと胸が痛みます。緊急事
態宣言が解除された後も、コロナウイルスは若者の進路に影響を与
えていくのですね。



記事掲載のお知らせです。
月刊『正論』6月号に「自衛隊あってのオリンピック」最終回が掲
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月刊『丸』6月号に「現代の工兵/陸自施設科部隊の任務と装備」
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僚長火箱芳文の半生」第14回が掲載されました。
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■千歳管制隊(4)

今週は千歳管制隊第4回として管制官になるまでの道のりをご紹介
する予定でしたが、先週お届けした記事について、千歳管制隊に勤
務されていた航空管制のスペシャリスト・航空自衛隊OBのK氏から
貴重なご意見をいただきましたので、ご紹介させていただきます

先週の記事の最後に、
「人の目に触れるタワーでの業務は華やかに見えるものの、業務の
難易度で見るとラプコンのほうが高いというわけです。」
と書きました。
これについてK氏は、ご自身の長年にわたる経験から
「千歳における両飛行場の安全かつ効率的な運用を作り上げている
のは、ラプコンではなく管制塔であると考えています」
とおっしゃり、その根拠を丁寧に解説してくださいました。
私の言葉に変換して万一解釈に誤りがあってはいけませんので、以
下にK氏の言葉を引用させていただきます。

「訓練機と民間機が交錯するもっとも多忙な時期には、飛行場全体
(ラプコンの管制状況も含めて)の状況を把握させるため、タワー・
ラプコンを統括する管制係長を管制塔に配置しております。
また、航空自衛隊の管制官は5種類ある国交省の管制業務の資格の
うち、航空路管制業務を除く4種類を取得しなければなりませんが、
以前は最初の資格取得のための訓練は、航空管制全体の流れをもっ
とも把握しやすい管制塔から開始し、管制塔の資格取得後ラプコン
の訓練に移行するようにしておりました。」

タワー、ラプコンを統括する管制班長は、ラプコンではなくタワー
に配置されているのですね。
管制業務資格については、次週にご紹介する予定です。
訓練がまずタワーから、続いてラプコンという順番で行なわれるこ
とは、私も取材時に教えていただきました。そのせいなのか、「ラ
プコンのほうが難易度が高い」という声をお聞きしたことが、先週
の記事の文末の一文にもつながったのですが、一概にそうとは言え
ないのですね。
また、K氏は現場を知る方ならではの貴重なコメントもくださいま
した。

「管制官それぞれタワー・ラプコンの得手不得手はあるでしょうが、
上番時はONE TEAMとして業務するため、どちらに上番させるかは天
候及び航空交通の動態、ならびに管制官の技量を勘案し、そのつど
決めており、決してどちらかだけしかできない管制官にはならない
ようにしておりました。私の印象からすると、タワーを得意とする
管制官はラプコンにもなじみやすく、逆にラプコンを得意とする管
制官はタワーを苦手とする者が多かったように感じます。」

こういうお話、大好きです!
こういったことをお聞きできるのが取材の醍醐味だと思っています。
それを今回はこのような形でお聞きできて、ありがたいことです。

それからラプコンのTCA席について、先週「パイロットの要求に応
じて交通情報の提供およびレーダー誘導を行ないます」とご紹介し
ましたが、K氏から以下のような細かなご説明をいただきました。

「ラプコンの管制席であるTCAは、通常はレーダー管制の対象とな
らない有視界飛行方式により飛行する航空機に対し、レーダーを使
用して飛行場周辺の交通状況の助言や他の航空機に関する助言を行
う席であり、計器飛行方式により着陸する民間定期便をTCA席で扱
うことはありません。
大まかな流れとして、計器飛行方式で到着する航空機は、まず入域
管制席との初度交信設定後、当該席により大まかな着陸順位が付け
られ捜索誘導席に移管されます。その後、捜索誘導席は天候や凍結
等の滑走路面状況を考慮しつつ各航空機間に着陸後に必要な滑走路
上での間隔を勘案し、最終進入コースへ誘導することになります。」

K様、貴重なご意見を本当にありがとうございました。
空自の管制官として現場にいらした方だからこその的確なご指摘、
改めて勉強させていただきました。同時に、こうして週に一度メル
マガという形で自衛隊に関する記事を発信させていただいている立
場として、情報の正確さについて改めて考えるきっかけになりまし
た。

今回の記事に限らず、「おや?」とか「それについてはぜひ伝えた
いことがある」など思われることがあれば、みなさまからのご意見
いつでもお待ちしております。
今後もひとりよがりのメルマガにならないよう、努めてまいります。



(つづく)


(わたなべ・ようこ)


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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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