配信日時 2020/04/13 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(71)】「今はガマン!」の先にあるのは?─第二の 就職氷河期が来てほしくない

こんにちは、エンリケです。

桜林さんが、週刊新潮のグラビアに登場される
かもとのことです、、、そんときゃ買わなきゃ。

詳しくは本文で。

さっそくどうぞ。

エンリケ


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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(71)

「今はガマン!」の先にあるのは?─第二の
就職氷河期が来てほしくない

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は令和2年4月の今回
で71回目です。

お気づきになりましたでしょうか? 今回から冒頭
に年月を入れてみました。

たまたま過去の日記データを見た際に、ナンバリン
グはしているものの「いつの話だっけ?」というも
のがけっこうあり、このままでは将来「これは一体、
あたしがいくつの時の日記だったかのお~」(日本
昔ばなしか!)ということになりかねないための措
置です。

お読み頂いている皆さんには何ら影響はありません。
自分のためですね、はい。

で、ちょうど昨年の同じ頃の日記を読んでみたとこ
ろ、福岡県在住の中学生たちと一緒に陸上自衛隊の
駐屯地見学に行ったことを書いていました。

高等工科学校に関心があるということでしたので、
私たちは張り切って自衛隊のPRをしたのでした。

なんと、その時の男の子が今年、高等工科学校に合
格したのです!

本当に嬉しい知らせでした。1年というのは早いも
のです。昨年時点ではまだ、そこまで現実的に考え
ていない様子でしたので、まだまだ進路を決めるの
は先なのだろうなあと思っていましたが、子供は1
年もたてば卒業したり進学したりしているものなの
ですね(そもそも何年生だったのか聞いたような聞
かなかったような)。

早々に切符も宿も予約し、ワクワクしていたご両親
が入学式に参加できなかったのは気の毒でしたが、
いつのまにか立派な自衛官になって再会できること
を祈るばかりです。

さて、そうした中いよいよ緊急事態宣言が出されま
した。海外との違いなど色々とありますが、やはり
経済に対する配慮が気になるところです。

補償が足りないという批判に対しては「こんな時に
金をくれとは!」「武士は食わねど高楊枝」という
ご意見も聞かれます。

しかし、そういうことを言う方は、十分かどうかは
別としてもだいたい何らかの安定収入を得ているケ
ースが多いんですよね・・。

知人の飲食店経営者はツイッターで次のように言っ
ています。

「ウイルスとの戦いで国民一丸となって籠城戦に臨
むなら、それなりの食料や武器(現状、最大の武器
となるのは、やはり減税を含む現金の補給でしょう)
の補給が必要」と。

それがなければ「死ね」と言っているのと同じです。
店舗が賃貸であれば、とりあえずは家賃、人件費を
最低でも補助しないと、多くが、次の支払いをまた
4月末に迎えるのです。

カネの話ばかりであさましい!と思われるかもしれ
ませんが、もう一人の知人で経営者やテナントビル
を管理する不動産会社などとの関わりが多い方から
聞くと、事態は「とんでもなくひっぱくしている」
といいます。

自分が解雇した従業員のためにハローワークに交渉
に行ったり、解雇や廃業の準備をしたり、会社を売
る準備をしたり・・・こんな状況を数多く目にする
日々だそうです。

「大の大人が目の前で涙を流すほど追い詰められて
いたりするんです・・」

持病があり、感染したら危険だと分かっていても、
どうしても金策をしなければならず、やむを得ず外
出しなければならない人もいるといいます。

テレビなどでもさかんに外出する人を批判的に取り
上げますが、まるで雲の上からものを言っているよ
うです。

国民に危機感を持ってもらうことは大事だと思いま
す。だから「自粛が大事」「家にいろ」と政治家も
評論家も芸能人もこぞって言います。

でも、その裏では、歯を食いしばり、ものも言わず、
ひたすら従業員の給与や家賃を確保するために死に
物狂いになっている人たちがいるのです。

まだ外を出歩いているのかと怪訝に思う前に、人そ
れぞれの事情を想像してみて下さい。その人は中小
企業の経営者かもしれません。

こうした想像力と視点については、自衛隊の方々も
ちょっと欠けていると言えるかもしれません。親族
が商売をしているなどでないと知らない世界の人々
ですから当然だと思います。

自衛隊の皆さんにもぜひお願いしたいのは、弱い立
場の人の心に寄り添ってあげて欲しいということで
す。困った時に頼りになる自衛官が、そうした人た
ちの心情が理解できず不用意な発言をして欲しくな
いからです。

自分の銀行口座がゼロになるところを想像して下さ
い。それなのに家賃や光熱費などの固定費を払わな
くてはならない状態をイメージして下さい。

もちろん、事業者だけでなく、今、奮闘しているの
は医療従事者もそうですし、政治家も官僚も自治体
の首長もみんな大変な頑張りの中にいると思います。
こうした人たちも含め、多様な立場の人々に思いを
致したいものです。

また、経済無策あるいは中途半端なやり方は長期的
な視点でも禍根を残します。

仮に解雇が増えないような施策がなされたとしても、
納税や保険料が先送りされるだけではダメージは変
わりませんので、会社は新規採用を控えることにな
るでしょう。

そうすると、かつての「就職氷河期」世代がまたぞ
ろ生まれることになります。

以前も書いたようにこの世代はその後、景気が上昇
しても正社員にはなれず、世の中から切り離された
ような存在になってしまいます。そして引きこもっ
てしまう。

収入が低く結婚もできず、今後ますます深刻になる
「8050問題」つまり、80歳の親と50歳の引
きこもりの息子や娘が同居する状態がもっとひどく
なる可能性があります。

当然、少子化にも拍車をかけます。

「なんで今の若い人は結婚しないのかなあ、子供が
いないのかなあ」
と不思議がっているおじさんたちに今一度、はっき
りと言いたい。

「お金の心配があるからです」。

ただ、今回のコロナの影響で、これは救いの道に繋
げられないかと思っているのは、都市型生活からの
脱却です。

極めて個人的な見地ですが、田舎の生活は東京ほど
お金がかからないと感じます(地方都市は別でしょ
うが郊外なら)。まず家賃が東京のように高くあり
ません。

この機会に一気にテレワークが老若男女、津々浦々
に浸透すれば、あれ?もしかしたら東京にいなくて
もこの仕事できるのでは?というものが増えるかも
しれませんし、雇用の形態が広がるかもしれません。

とはいえ、これはあくまでこの先、第二の就職氷河
期が来てほしくないための、希望的観点ですが。

とにかく「今はガマン!」「しばらく辛抱!」とい
うのはウイルス対策としては重要ですが、将来にど
のような影響を及ぼすのか、についても考える必要
がありそうです。


<お知らせ>
※「週刊新潮」のグラビアページに登場するかもし
れません!グラビアといっても水着の写真が載るよ
うなことは一切ありません。どのようなものか?ご
興味ある方はぜひ。ヒントは「船」です(バレバレ
なかんじが・・・汗)!

※YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週は実は、未定で
す!申し訳ありません。土曜の夜以降にご確認頂け
れば幸いです・・。

http://okigunnji.com/url/42/




(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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