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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出まし
た。今回はMP5です。
「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井雅美 (監訳), 加藤喬 (翻訳)
発売日: 2019/2/5
http://okigunnji.com/url/14/
※大好評発売中
IT社会になって世界は狭くなったと言われますが、
加藤さんの冒頭文を読んでいると、
必ずしもそうとは言えないな、と感じました。
さっそくどうぞ
エンリケ
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
世界の秘密兵器(17)
米軍の最強兵器2
「B-2ステルス戦略爆撃機とGBU57A/B大型貫通爆弾」
Takashi Kato
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□トランプツイッター 4月1日付
4月1日、アリゾナは「州閉鎖」第1日目の朝を
迎えました。
米国の州は日本の地方自治体より独立性が高く、準
国家といえる存在。各州が州憲法と州兵部隊という
軍隊を持っています。知事の行政命令で、強い法的
強制力を持つ外出禁止やレストラン閉鎖が可能な所
以です。
軍人や警察官、消防隊員、医師、看護師のほか、日
常生活に不可欠な食料品・薬などの小売業者、物流
を支える運輸業者などを除き、一般市民は今後1か
月にわたり自宅待機が義務付けられています。ここ
までは各国で行なわれている閉鎖措置と大差ありま
せんが、銃器弾薬を売るガンショップは「必須ビジ
ネス」として営業が認められています。「自分の身
は自分で守る」という開拓時代からの国柄がこんな
ところにもうかがえます。
トランプ大統領が全米対象の「自宅待機命令」を
出さないのは、いま以上に「人・物・金」の流れを
阻害すると米経済が致命的大不況に陥るからです。
これを人命軽視と非難する人たちがいます。しかし、
完全失業率の増加はアルコール依存症や鬱病による
自殺の急増を招くことが知られています。コロナ禍
の死亡者数を上回る人々が、失意と絶望に苛まれ自
ら命を絶つ可能性がある訳です。トランプ氏が再三
「コロナ対策がウイルス以上の損失を招くことがあ
ってはならない」と述べているのはこのためです。
国難に臨み、医療と経済の相反する要求を秤(は
かり)にかける。この難題を任せられる施政者とは、
目の前の悲劇に狼狽(うろた)えず、国と民にとっ
て最良の決断が下せる者。これこそ、選挙が候補者
の舌鋒やカリスマ、ルックスなどへの人気投票であ
ってはならない理由なのです。
いまのところ、わたしが住む国境の片田舎はまだ
平静。戦争や暴動のような「いまそこにある危機」
は感じません。しかし地域病院の看護師長である家
内を含め、医療従事者は州閉鎖に関わりなく勤務を
続けるので感染リスクはそのままです。
同僚のなかには、東海岸で爆発的ウイルス拡散が
確認されて以来、帰宅後は自宅ガレージやキャンピ
ングトレーラーで自主隔離生活を送り子供たちとの
「濃厚接触」を避けている人がいるそうです。長引
けば、子供にとっても親にとっても重篤な心的外傷
になり得る状況だと思われます。また仮に、目と鼻
の先のメキシコで爆発的感染が起こり、パニックに
駆られた人々が大挙して越境してくるような事態に
なれば、この平穏も一夜にして崩れ去るかも知れま
せん。
先日ホワイトハウスで行なわれた記者会見で、ト
ランプ大統領はいつもの楽観主義を極力封印。コロ
ナ禍による米国の死者が最悪の場合20万人に達す
るとの推定を念頭に「これからの2?3週間はとて
つもなく厳しく、辛いものになる」と、全米市民に
国家非常事態への心構えを求めました。ちなみに、
わたしも大統領の呼びかけと家内ら医療従事者の献
身に答えるため、感染を拡げ他者を危険にさらす愚
行は厳に戒める決心です。
図らずもこのパンデミックによって、中国共産党
はその身勝手な本性を全世界にさらけだしました。
このさき日本は、アメリカは、世界は、WHO(世
界保健機構)を懐柔して感染拡大を許し、人類を危
機に陥(おとしい)れた独裁政権とどう向き合うの
でしょう? いまはまだ感染終息も見えない状況で
すが、トランプ氏をはじめ、先見の明ある各国指導
者らはすでに対応を考え始めているはず。習近平政
権が進めるプロパガンダで真相がうやむやになれば、
中国発のパンデミックは今後も繰り返されるのです
から・・・。
本日は4月1日付のツイッターに載った記者会見
ビデオからの引用です。キーワードは make sacrifices。
「犠牲を払う」という意味の慣用表現です。
Every citizen is being called upon to make
sacrifices, every business is being asked to
fulfill its patriotic duty, every community
is making fundamental changes to how to live,
work and interact.
「すべてのアメリカ市民に犠牲を耐え忍んでもらい
たい。あらゆる企業には愛国的義務を果たしてもら
いたい。どの地域社会でも例外なく、人々は生活や
仕事の仕方、そして他人との接し方を根本的に見直
し(コロナ禍に)対応している」
▼B-2ステルス戦略爆撃機とGBU57A/B大型貫通爆弾
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。今回は敵国の奥深くまで
探知されずに進攻することのできるB-2ステルス戦略
爆撃機とGBU57A/B大型貫通爆弾をとりあげます。
戦略爆撃機(strategic bomber)とは、敵国領土の重
要目標を破壊し相手の士気と戦争継続能力を弱体化
する兵器です。「成層圏の要塞」の異名をとる米空
軍のB-52は、核爆弾を高空から投下する任務を念頭
に開発されました。しかし地対空ミサイルの発達で
高高度爆撃の危険性が増すと、今度は超低空を地形
に沿って飛び敵レーダーをかわすB-1Bランサーが開
発されました。
レーダー回避の兵法をさらに一歩進めたのがステル
ス性の高いB-2スピリットです。レーダー反射断面積
(radar cross-section)を減らすと同時に長い航続距
離を達成するため、スピリットは垂直および水平尾
翼と胴体部をもたない全翼機、つまり「空飛ぶ翼」
(flying wing)と呼ばれる独特の形状をしています。
ステルス性をさらに高めるため、機体表面にはレー
ダー波を吸収する特殊なコーティングが施され、ま
た、地上からの赤外線探知を避ける目的でエンジン
排気口は機体上面に設けられています。目視できる
飛行機雲を発生させない工夫まで組み込む念の入れ
ようです。
レーダーに探知されにくいステルス特性を活かし、
B-2は敵の対空砲火や対空ミサイル、迎撃機の攻撃を
受けずに目標付近まで接近し、精密爆撃(pinpoint
bombing)を行なえます。B-2に搭載可能なGBU57大型
貫通爆弾(Massive Ordnance Penetrator: MOP)は、
地下深くに構築された敵司令部や核研究施設などを
破壊するためのもの。自由落下中、GPS情報に基づき
胴体中央部にある4つのフィンを動かして目標地点
に着弾。3トン弱の弾頭はそのまま地下60?70メート
ルまで貫通し爆発するとされています。
イランや北朝鮮の指導者らにとって、実戦配備中の
B-2とGBU57の組み合わせは虎の子の核開発プログラ
ムのみならず、自らの命まで脅かす怖い存在。自軍
には効果的防御手段がないだけに、B-2/GBU57が発
揮する抑止力には大きなものがあります。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=yF9I1HEGwv0
(B-2爆撃機のイントロダクションは2:57始まり
ます。B-2が使用するGBU57大型貫通爆弾のイントロ
ダクションは4:36からです)
基本語彙 (カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Enrichment(エンリッチメント)濃縮
Massive(マッシブ)巨大な
Ordnance(オーディナンス)爆発物
Penetrator(ペネトレーター)貫通するもの 貫通爆弾
シナリオ(5:12から始まります)
It the U.S. decided to attack Iran’s nuclear
program, it would almost certainly use the MOP
(Massive Ordnance penetrator) to destroy Iran’s
Fordow nuclear enrichment site which is buried
deep inside a mountain.
(仮にアメリカがイランの核開発計画施設を攻撃す
るとしたら、大型貫通爆弾を使うのはまず確実だ。
フォードウにある山の地下深くに構築された核濃縮
施設を破壊するためだ。)
英語一言アドバイス:
penetratorは貫通するものと言う意味です。本ビデ
オの文脈では、地下深くに構築された敵の掩蔽壕や
核施設を破壊するための「貫通爆弾」を指します。
発音サイト: penetratorの発音
https://www.youtube.com/watch?v=hX-a6eWgcVQ
参考サイト:戦略爆撃機
https://en.wikipedia.org/wiki/Strategic_bomber
(本サイトの日本語版に移行してください)
B2戦略爆撃機
https://en.wikipedia.org/wiki/Northrop_Grumman_B-2_Spirit
(本サイトの日本語版に移行してください)
GBU57A/大型貫通爆弾
https://en.wikipedia.org/wiki/Massive_Ordnance_Penetrator
(本サイトの日本語版に移行してください)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
「MP5サブマシンガン」
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『AK-47ライフル』
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『ガントリビア99』発売中!
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『アメリカンポリス400の真実!』発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633405
『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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