配信日時 2020/04/06 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(70)】「コロナ・ストレス」との戦い

こんにちは、エンリケです。

鋭い指摘ですね。

さっそくどうぞ。

エンリケ


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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。

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桜林美佐の「美佐日記」(70)

「コロナ・ストレス」との戦い

桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は今回で70回目です。

 いかがお過ごしでしょうか?「3つの密」を避け
る生活をされていますか?「密閉」「密室」「密接」
を回避しようということですが、私は「みっつのみ
つ」は言いにくいので「密のM」と呼んでいました。

 しかし、「3つのM」だと「森伊蔵」「魔王」
「村尾」の通称『3M焼酎』と勘違いする人がいる
ため(特に自衛官に多い)、やっぱり「3つの密」
の呼称に落ち着きました。

 そんなことはどうでもいいのですが、以前この日
記で、米国在住の知人はまだコロナを気にせずに生
活していると書きましたが、現在は状況が完全に逆
転し、日本の状況は(現時点で)そんなにゆるいの
か大丈夫かと心配されるほどです。

 すでに日本でも多くが在宅勤務、テレワークに移
行しているといいながらも、実際には通勤している
人も多く、私の友人の多くが電車に乗って会社に行
き、残業もしています。

 これには色々な事情があると思われますが、たと
えば年配者が多い職場だと「テレワークにしなさい」
と言われても、よく分からないので物理的にできな
いという話も聞きました。

また、家で仕事をできるようにするためにはその前
に会社で済まさなければならない作業が山積みにな
り、そのために残業続きになっているとか・・・。

 一方で、ほとんど家から出ず、目いっぱい外出を
自粛している皆さんもいます。

そういう方々から見れば「まだ外をふらふら歩いて
いるのか!」と外出する人に対しては憤りの感情さ
え抱くようです。

 同じ日本人でも、コロナに対してどのようにして
注意を払っているか、その濃度によって意識差が生
じてきているような気がしています。

 加藤喬さんのメルマガにあったように、こういう
時に人間の暗部が出るものです。自分がどんなこと
に腹を立てたり焦ったり怖くなったりする動物だっ
たのか、自分でも知らなかった側面を垣間見ること
になりそうです。

 米国内では感染者が増える一方の報道にショック
を受けながらも、すでに教育や習い事、遊びやエク
ササイズの分野でもオンラインの取り組みが各所で
活発に始められているようです。

「せーの」で一斉にあらゆる機能シャットダウンし
たけれど、新しい世界が始まるのも早いのです。

日本のように指示が曖昧で足並みが揃わないと、た
だでさえ感染に対する不安があるのに、加えて「意
識差」というストレスも積み上がるのではないでし
ょうか。

 そんな中、メンタルヘルスについて著作が多数あ
る元陸上自衛官・下園壮太さんの記事をみつけました。

それは定年退官した自衛官が心のバランスを崩さな
いためのアドバイスでした。

「多くの人は、新たな環境に向けて自らの価値観を
緩めたり、生涯楽しめそうな“好きなこと”を見つ
ける、といった心の準備をし忘れたままで、定年生
活に突入します。その結果、がらりと変わる環境や
人間関係に適応できず、悩みを深めるケースが多い
のです」

と、あります。若年定年の自衛官、50代という一
般的には「働き盛り」の時に、突如全く違う世界に
入るという環境ギャップは非常にしんどいことだと
思います。

自衛官は再就職先で、「真面目な働き者であるがゆ
えに、現場の人に疎まれてしまう」パターンも実は
多いのだそうです。

「周囲の反発をうまく受け流したり、自分が折れた
りできれば良かったのですが、その方は『自分は正
しいことをやっている』という価値観を緩めること
ができませんでした」

これ、あれですよね。以前に書いた「ら抜き言葉」
や「トリガーに指をかけたまま銃を持ってる」行為
に対する嫌悪感、怒りと同じですよね(ら抜きと射
撃を一緒に語るなというかんじですが!)。

 この方は「これまでがんばってきた自分を全否定
されたように感じ、大きなショックを受けて、うつ
状態になってしまった」そうです。

「お金の心配」や「体力の低下」を改めて自覚する
年齢でもあり、そんな時に自分が信じ従ってきた規
則や価値観を否定されてしまうのは本当に辛いこと
だと思います。

 現在進行形のコロナ影響下の暮らしは、多くの自
衛官が退官後に経験するのと似た「突然に到来した
環境の変化」であり、「唐突な物事への評価基準の
変化」と言えるのではないでしょうか。

 これまで当たり前だったことが当たり前ではなく
なる。推奨され誉められていたことが責められる。

今日を境に、仕事も学校も趣味のサークルも宴会も
全てがテレビ電話で行なわれるようになり、洋式ト
イレは不潔だとして日本中のトイレが和式に戻るか
もしれないし、世界中の人が靴を脱いで家に上がる
ようになるかもしれません。

 それを知らないで従来どおりのことをする人がい
たら「何やってんだ!」と大勢の人からコテンパン
に叱られるという・・・。

 私たちは今、コロナ・ウイルスというより「コロ
ナ・ストレス」との戦いに突入していると言えるで
しょう。本当の敵を見定めなければいけません。

<お知らせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップしてい
る「国防ニュース最前線」、今週は伊藤俊幸・元海
将に解説をして頂きます。

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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。


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(代表・エンリケ航海王子)
 
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