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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出まし
た。今回はMP5です。
「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井雅美 (監訳), 加藤喬 (翻訳)
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ラプターの実戦逸話、面白いですね!
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エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
世界の秘密兵器(16)
米軍の最強兵器1「F22ラプター戦闘機」
Takashi Kato
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□トランプツイッター3月26日付
疫病と言うと、歴史上の出来事、たとえば14世紀
の黒死病(ペスト)とか20世紀初頭のスペイン風
邪しか思い浮かびませんでした。ところがいま、日
米も世界もパンデミックの真っただ中。この苦境を
凌(しの)ぎ、「つい先日まであった日常」を取り戻
すためのカギはなにか? トランプ・ツイッターを
読んでいると、いくつかなるほどと思わせる指摘が
あります。コロナ禍状況の全体像を見ることがひと
つ。感染拡大に歯止めをかけ予防と治療薬を見つけ
ること、そして、急停止しかけている経済活動を活
性化させることの3つです。
最近の統計によれば、アメリカ人の死亡原因トッ
プは心臓病で年間約65万人、2位は癌で約60万
人、3位は交通事故や高所からの転落、溺死など不
測の事故で約17万人とされています。もちろんこ
れらの疾患や事故は「感染」しません。しかし今回
のパンデミック同様、自らの生活習慣や行動を変え
ることによって予防や回避が可能です。コロナ禍に
よる死者数を遥かに上回るこれらの数字がニュース
にもならず大規模パニックも引き起こさないのは、
予防と回避という選択肢が人々にコントロール感を
与えているからであり、また、健康に留意し危険行
為を避ける限り、これらの疾患や事故で死ぬ確率は
無視できるほど低いためです。
つまり我々はいつも、数多(あまた)の「死に至
る要因」と共存しつつ生活しているのです。患者の
重篤度や快復例には触れず、新規感染者数や死者数
のみふれ回るマスコミに翻弄されないためには、こ
ういった全体的視点を持つことが肝心です。24日
付のツイッターで大統領が「交通事故やインフルエ
ンザでも毎年多くの死者が出ている。しかし経済活
動を止めてしまっては国が崩壊する。皆、仕事に戻
りたがっている」と述べたのは、氏がこのような大
局的な立ち位置を保っている証左です。
同じく24日、トランプ氏はホワイトハウスと疫
病対策予防センターなどとの連名で『コロナウイル
ス拡散防止の15日間』と題するビデオをツイッタ
ーに載せ「10人以上の集会を避ける」「レストラ
ンやバーで飲食しない」「自宅勤務奨励」「個人衛
生の徹底」「旅行延期」「症状が出たら自宅で自主
隔離」などを要請し、医療崩壊阻止に取り組んでい
ます。
また、既存の抗マラリア剤ヒドロキシクロチンと
肺炎薬アジスロマイシンを並行投与することで治療
が促進されるかも知れないとも発信しています。ホ
ワイトハウスのコロナウイルス対策作業部会の免疫
学者、アンソニー・ファウチ博士は「大統領の発言
は限られた臨床例に基づく希望的観測で、わたしの
仕事はより科学的な結論を出すことだ」としつつ
「わたしもそういう希望を共有していることでは違
いがない」と述べています。
ウイルスというものは常に少しずつ遺伝子を変化
させているそうです。毎年受けるインフルエンザの
ワクチンにいくつか種類があるのもこのせいでしょ
う。ならば、新型コロナウイルスも小変異を続ける
うちに毒性が増し、感染・発症した場合の症状が重
篤になる可能性は否定できません。したがってワク
チンと治療薬の開発にいち早くゴーサインを出した
トランプ氏の決断は、今回の感染拡大のみならず、
将来の再発をも見据えた賢明な措置だと言えます。
最後はトランプ大統領の肝煎りで審議が急ピッチ
で進んだ経済活性化予算。外食産業や小売業の閉鎖
で解雇された従業員を含む何百万人もの米国人に対
する現金支給や、小企業への低金利融資、ビジネス
減少に喘ぐ航空会社、クルーズ客船業界やホテル業
界、生産ライン停止で経営悪化した大手製造業への
ローン、失業保険拡充などを合計すると、米国年間
予算の半分に迫る220兆円規模になります。戦争
や天災とは異なり、生産設備や流通機構その他の社
会基盤は無傷ですから、感染拡大が収まって労働者
が仕事に戻れば経済は立ち直ります。その再起動に
弾みを与える強力なカンフル注射との位置づけです。
This is not about the ridiculous Green New Deal.
It is about putting our great workers and
companies BACK TO WORK!
「これ(経済活性化予算)は馬鹿げたグリーン・ニ
ューディールとは関係ない。アメリカの素晴らしい
労働者と企業を仕事に戻すためのものだ!」
トランプ氏が糾弾しているグリーン・ニューディ
ールとは、上院での採決土壇場でペロシ下院議長が
予算に組み込んだ環境保全条項を指します。コロナ
対策とは全く無縁であるばかりか、予算の政局化で
成立が遅れれば一般市民や経済への打撃がより大き
くなります。幸い、世論の批判で追加条項は大方削
除され、緊急予算は25日に上院で27日に下院で
可決。翌日トランプ大統領が署名、成立しました。
未曽有の国難に臨んでなお、主流マスコミはお決
まりのトランプ叩きを続けています。ときに偏向報
道を指摘されるアメリカ公共ラジオの主任コラムニ
ストなどは「アメリカ人の60%は大統領のコロナ
発言を信じていない」とトランプ政権の感染拡大対
策を一蹴。希望を吹き消し、人々の不安をことさら
煽っています。同調者の中には「失業率が倍増しト
ランプ支持率が落ちたいま大統領選があれば良い」
とソーシャルメディアに書き込む者も散見されます。
しかし、わたしの見方は異なります。就任以来連
日繰り返された反トランプ報道や民主党による弾劾
工作にもかかわらず、トランプ氏はこの3年半で失
業率を半減させ、空前の好景気を導き出しました。
そこに降ってわいたのがコロナ禍ですが、未知の病
原体が引き起こした混沌とパニックにもかかわらず
トランプ氏は冷静を保ち、米国市民の生命、安全、
国益を最優先する政策を矢継ぎ早に実行して見せた
のです。
わたしは陸軍で学びましたが、人はパニックにさ
らされたとき本性が出ます。冷静を失って周囲に八
つ当たりする者、逃げ出す者、他人より楽をしよう
とする者、その場にうずくまって動けなくなる者な
ど様々です。同時に、逆境が引き金となり、冷静沈
着かつ大胆な指導力を発揮する少数の例外も存在し
ます。出自や学歴の有無、階級、地位には関係あり
ません。おそらくは、人格形成時の親による躾が大
きくかかわっているのでしょう。トランプ氏の場合、
図らずもコロナ禍が「危機に強い大統領」との実感
を無党派層も含む有権者に与えた形です。
また世界の指導者の中で、新型コロナを「中国ウイ
ルス」と呼んで中国共産党の責任を指弾しているの
はトランプ大統領のみ。中国が「新型コロナの真犯
人は米軍」とのニセ情報工作を展開するのを許さず、
今回のパンデミック終息後、発生源を特定し再発防
止策を実行するための重要な布石だと言えます。
ちなみに、わたしは以上のような理由から「来夏
の東京オリンピック開会式に姿を見せるのはトラン
プ氏」だと読んでいます。
本日のトランプ・ツイッター、キーワードは
back to work。文字通り「仕事に戻る」です。
▼米軍の最強兵器(1)F22ラプター・ステルス戦闘機
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。今回は戦力増強兵器
(force multiplier) であるF22ラプター・ステルス
戦闘機です。
10年ほど前、F22は退役が進むF4EJ改ファントム
戦闘機の後継として一時採用が検討されていました。
しかし、高いステルス特性や超音速巡航性能を持つ
同機は軍事機密の塊。最先端テクノロジー漏洩を懸
念する米政府が海外でのライセンス生産を認めず、
空自の次期主力戦闘機選定から外された経緯があり
ます。
世界の第5世代戦闘機のなかでもラプターが抜き
んでているのは、敵のレーダーや赤外線探知装置に
発見されにくい卓越の隠密性です。つまり、相手に
見つかる前に敵機を探知し先制攻撃をかけられる訳
です。
今回は、同機がこのステルス特性をいかんなく発
揮したエピソードを紹介します。2013年、国際空域
からイランを偵察していた米空軍ドローンに対し、
イラン空軍のF4ファントム戦闘機がスクランブルを
かけてきました。このとき無人機をエスコートして
いたラプターは、イラン軍パイロットに気づかれる
ことなくファントムの下面に潜り込み、兵装を確認
するという芸当をやってのけました。レーダーには
何も映っていないのに、突然下方から現れたF22の姿
に、イラン人パイロットらは肝をつぶしたことでし
ょう。
この逸話が示すように、ラプターは相手に攻撃の
間を与えません。1対1のドッグファイトにもつれ
込まず撃墜できるということは、ラプター1機で数
倍の敵を無力化できるということです。F22が戦力
倍増兵器として大きな抑止力を持っていることは疑
いありません。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=yF9I1HEGwv0
(F22のイントロダクションは1:35から始まります)
基本語彙 (カタカナ発音表示はおおざっぱなものです)
Raptor(ラプター)「猛禽」を意味するF22戦闘機の通称。
Pull up(プル アップ)急上昇する
Ought to(オー ツー)?した方が良い
シナリオ (2:12から始まります)
He (The Raptor pilot) flew under their (Iranian
F4s) aircraft to check their weapons load
without them knowing that he was there.
(ラプターのパイロットは、イラン軍パイロットに
気づかれずにF4戦闘機の下を飛び、相手の搭載兵器
を確認した)
And then pulled up on their left wing and
then called them and said, “You really ought
to go home”
(そしてF4の左主翼の上まで上昇し無線で警告した。
「悪いことは言わないから、帰った方が良いぞ」)
英語一言アドバイス:
raptorとは鷹や鷲のように他の動物を捕食する鳥類
のことです。「猛禽」と訳され、「強さ」「速さ」
「高貴さ」などの象徴になっています。
発音サイト:
raptorの発音
https://www.youtube.com/watch?v=_us38se1zmc
参考サイト:
F22ラプター戦闘機
https://en.wikipedia.org/wiki/Lockheed_Martin_F-22_Raptor
(本サイトの日本語版に移行してください)
第5世代戦闘機
https://en.wikipedia.org/wiki/Fifth-generation_jet_fighter
(本サイトの日本語版に移行してください)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
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マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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