こんにちは、エンリケです。
きょうも面白い記事です。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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今年4月に刊行された『自衛官が語る災害派遣の記
録』に続く、第2弾『自衛官が語る海外活動の記録』
(桜林美佐監修・自衛隊家族会編)が発売されてい
ます。中東シーレーンの安全確保をめぐって新たな
自衛隊派遣が行われているこの時期にタイミングを
合わせたような出版です。現地で自衛官たちが何を
思い、どのような苦労をして、任務をこなしてきた
か、25人の自衛官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(69)
胸を打つメルケル首相のテレビ演説
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』は今回で69回目です。
読者のF様から感想を頂戴しました。前回の日記に
ついて誉めて頂き嬉しい限りです。また、市川文一
さんにもこの場を借りて御礼申し上げます。
一連のやり取りに、有名な戦時歌謡である上原敏の
『上海だより』に対し、エノケンが『上海だよりの
御返事』を歌ったことを私は連想しました(多分、
世界中で私だけだと思いますが!)。
F様の感想には「自衛隊寄付制度できて欲しいで
すね。寄付された分、財務省が予算を削らない防護
策も必要ですが」ともありました。
そうですね!仮に寄付制度が確立されても、あり
がちなワナ。上手い話には注意深さが必要です。
さて、春分の日に始まる連休は、各地でまずまず
の人出があったとのことで、沈静化したように見え
ていた新型コロナの勢いを後押しする形になってし
まったようです。
同時に海外に滞在していた日本人が数多く帰国し
たことも影響しました。東京での感染者拡大を受け、
小池都知事が外出自粛を呼びかけることになりました。
私はこの会見が行なわれた日に久々に東京に行き、
翌朝に福岡に戻りましたが、いつも満席の福岡便の
割には乗客は少ないとはいえ、まずまずの乗車率で
した。埼玉や神奈川などの近隣だけでなく、実は福
岡や大阪といった地方都市との人の往来もかなり多
いわけですから「首都封鎖」のようなことは相当難
しいのだろうなあと感じました。
今回は実に色々な国の「お国事情」が見えてきま
した。
多くの死者を出しているイタリア在住の方によれ
ば、イタリア人はおじいちゃんおばあちゃんも含め
た大家族で食卓を囲むことが多く、しかも長時間か
けてご飯を食べ、さらに決定的な特徴は全員が「ず
っと喋っている」のだといいます。
つまり「飛沫は飛びっぱなし」だと。どれくらい
喋り好きかというと、ひとりで歩いている時は電話
で誰かと話しながら、トイレに入っている時に電話
をする人も多く、そのため、なかなか次の人が入れ
なくてドンドンとドアを叩く光景は日常茶飯事なの
だとか。
おまけに欧米では握手、ハグ、キスなどが習慣の
ため、禁止されてもついつい癖が出てしまうことは
あり、その意味で欧米でコロナウイルスが拡散され
てしまったのは避け難かったようです。
また、イタリアは財政破綻で医療施設にも影響し
ていた上に、中国の一帯一路構想に参加し、経済的
に大きく依存していたことが悲劇を呼んだことはす
でに多くの方が指摘しています。
ただ、驚かされたのは、これで中国にダメ出しが
されるのかと思いきや、あまりそのような考え方は
一般の人々からは聞かれないのだそうで、むしろ中
国がこの災難の収束のためにも力を尽くしてくれる
だろうという期待感を抱いている人が多いというの
です。
私は今回のコロナの件で、世界中の人たちが中国
共産党の危うさを知ることになったかと思っていま
したが、そうとは限らないと思っていた方が良さそ
うです。そして、中国人と日本人の違いも理解され
ているとは限りません。
一方、ドイツはまさに国が一丸となっての姿勢が
見て取れます。
あれだけ緊縮財政を続けてきたのに、いち早く大規
模な財政出動を決め、「お金は出すから心配せずに
自粛をして」と言っているからこそ、みんながお休
みできるわけです。
すごいのは、普段は全く違う物を製造する企業が、
総出でマスクを作っているのだそうです。
本当に各国首脳が言うように、これは「戦争状態」
なのです。国々の「戦争の仕方」を、私たちは見て
いるのです。
日本ではK1の試合が行なわれたとか、言うこと
を聞かない人がいるわけですが、そうした背景には、
政府がどれくらいお金を補償してくれるのか見えな
い中で、イベントを実施しないと関係者を路頭に迷
わせてしまうという実態もあるのかもしれません。
ドイツのメルケル首相は3月18日にテレビ演説
を行ない、国民に自ら語りかけました。その全文を
読むと、お金のことも買い物のことも細かく安心感
を与えるとともに、非常に胸を打つものがありまし
た。
まず「開かれた民主主義に必要なことは、私たち
が政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの
行動の根拠をできる限り示して、それを伝達するこ
とで、理解を得られるようにすることです」と述べ
ています。
政府が国民に分かりやすく順を追って説明すること
の重要性を示しているのです。
わが国の場合は、足の引っ張り合いがあるせいか、
理由や根拠がハッキリ語られず、あえて抽象的で分
かりにくい言葉でのみ伝えられます。
「不要不急の外出」と言われても、小さい子供は分
からないでしょうし、それぞれに解釈が違う可能性
がありますよね。
メルケル首相は「一人一人がどのような貢献がで
きるか」を、かなり具体的にあげていきます。
例えば、孫がおじいちゃんおばあちゃんに会いに
行くことを控えるようにと言っています。
「今は、距離だけが思いやりの表現なのです」と。
そして、孫からおじいちゃんおばあちゃんに向け
た有用なツールについても詳しく説明されています。
「今でもすでに、おじいちゃんおばあちゃんがさみ
しくないようにポッドキャストをするお孫さんたち
がいます」として、スカイプや電話、メール、そし
て手紙を書くなど、接触以外の方法を探し、実施す
ることを奨励しているのです。
この、メルケル首相の演説は、老若男女問わず全
国民が理解できるはずです。
日本の場合はどうでしょう。
「接触が少ない」ことがコロナの爆発的拡大を防い
でいるかもしれませんが「説明が少ない」ことは、
国民の一致を阻害します。同時に「補償が少ない」
ことも結果的には人々を街に出し、感染拡大に繋が
る可能性があります。
今後、どのような言葉が語られるのか気になって
います。
<お知らせ>
YouTubeチャンネルくららで毎週土曜にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週は伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます。
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フリ
ーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(PH
P研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載。
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