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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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おはようございます。エンリケです。
堂下元海将の連載
「海軍式 戦う司令部の作り方」
の三回目です。
われわれは、思い込みや勘違いで
リーダーシップ・スタッフ機能を誤解しており、
頑なで偏った理解把握をさせられがち、してし
まいがちです。
けっか、
正確妥当にリーダーシップ関連を理解把握できている
人と、それ以外の人との間の壁があまりに高すぎ、
両者の間にコミュニケーションが成立していない感
を持ちます。
だから堂下さんの司令部本やリーダーシップ論は
いいんですよね。
あなたの体験や思い、感想など、
ぜひ堂下さんにお届けください。
https://okigunnji.com/url/7/
いつでもお待ちしています。
エンリケ
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/
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【海軍式】戦う司令部の作り方(第3回)
チーム作り──「指揮官の孤独」を支えるスタッフ
堂下哲郎(元海将)
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□はじめに
前回は、適切な意思決定に至るためのプロセスに
ついて述べました。新著では1章を割いていますが、
前著『作戦司令部の意思決定』(*)では、ほぼ一
冊全部を充てた部分です。
(*)
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今回からは、そのプロセスを動かすリーダーとス
タッフについて述べます。まずは「チーム」におけ
るリーダーとスタッフの役割についてです。
▼指揮官の孤独
どんなに適切な意思決定ができ、立派な計画が出
来上がっても、「戦場の霧(※)」に覆われ、「摩
擦(※)」により思うに任せない状況を前にすると、
リーダーも人間ですから、どうしても迷いが生じる
場面があります。
(※戦場の霧:戦場の状況把握が情報収集の限界か
ら常に不完全であること。摩擦:作戦で自然条件、
情報伝達、敵の反応等により発生する障害のこと)
そこで、リーダーは自らの経験や直感を最大限に
活かして最終的に1人で決断をすることになります。
これが「指揮官の孤独」です。
このような場合、リーダーの悩みや迷いを信頼で
きるスタッフと共有し、適切な助言が得られたら、
リーダーの負担は軽減されるでしょう。これはリー
ダーの責任を回避したり、スタッフに転嫁するとい
うことではありません。また、リーダーが安易に不
安や迷いを口にしてスタッフを混乱させるべきでは
ないことも当然です。
「指揮官の孤独」とは、リーダーが何でも1人で抱
え込むということではありません。信頼できるチー
ムを作り、それを正しく活用することです。「指揮
官の孤独」を支えるスタッフ、それが「チーム」で
す。
▼リーダーとスタッフの違い
意思決定、計画作成のプロセスではリーダーによ
る目標設定が不可欠です。プロセスの要所でリーダ
ーの意図が反映され、結論を左右します。組織の方
向性をスタッフに示して納得させるのがリーダーの
役目であり、スタッフとの大きな違いです。
もうひとつの違いは、スタッフの関心がモノやデ
ータに向かわざるを得ないのに対し、リーダーは人、
組織の団結、士気を重視します。計画はスタッフの
助けがあれば作れます。その内容を部下に納得させ
るには、計画が論理的で合理性を備えていればよい
でしょう。
しかし、いざ作戦開始となり部下を困難な状況に
立ち向かわせて成果を得るには、単なる論理的な理
解や納得、あるいはポストの上下関係だけでは不十
分です。
「このリーダーのためなら」という、部下たちの自
発的な服従や献身を勝ち得ておかなければなりませ
ん。このために、リーダーは人に向き合い、目標達
成に向けた情熱を示し、自ら組織の団結の中心とな
り信頼と尊敬を得る必要があります。これもスタッ
フとの大きな違いです。
▼スタッフの役割
それではスタッフに期待される役割とは何でしょ
うか。3つに分類してみました。
第一は当然のことながら、リーダーの補佐です。
これはリーダーの手に余る量の仕事や専門的な知識、
技能を必要とする仕事などを分担することです。リ
ーダーの意思決定プロセスに関係するデータ収集、
分析、文書の起案などが含まれます。
第二に、チェック・修正役が挙げられます。これ
は広義の補佐ともいえますが、一般的なスタッフが
分担して行なう作業的な補佐と違い、幕僚長などの
上級スタッフや部下指揮官などが指揮官のチームの
一員として最も近い立場で修正意見を述べたり、場
合によっては諫言(かんげん)も厭(いと)わない
という点で異なります。
第三に、外部との調整役です。担当レベルのスタ
ッフから上級スタッフあるいは幕僚長レベルの調整
があります。困難な調整を行なう場合は、リーダー
同士の衝突を防ぐ緩衝役となることもあります。
▼「チーム」に求められるもの
リーダーとスタッフそれぞれに求められるものに
ついて述べましたが、「チーム」としてのあり方も
重要です。リーダーには様々なタイプがおり、スタ
ッフとしてそれとの折り合い方も様々ですが、これ
がチームの「性格」を決めることになります。「長
老制司令部」や「人間関係司令部」などです。
またチームには、時間的制約、マンパワー不足、
思考のバイアスなど、多くの意思決定上の「落とし
穴」もありますが、これらを回避するための「レッ
ドチーム」や「悪魔の代弁者」などの工夫が考えら
れています。
これら以外にも、リーダーとして、「癖」のある
スタッフの取り扱い方、指示、命令の出し方、関心
の示し方など色々と論じましたが、「チーム論」と
は人それぞれで、かなり奥深いものだと思います。
次回は、リーダーの資質と個性についてお話します。
(つづく)
(どうした・てつろう)
□次回以降のテーマ
第4回 リーダーの資質と個性
第5回 リーダーの役割
第6回 戦うリーダーに求められるもの(最終回)
●著者略歴
堂下哲郎(どうした てつろう)
1982年防衛大学校卒業。米ジョージタウン大学公共
政策論修士、防衛研究所一般課程修了。海上勤務と
して、護衛艦はるゆき艦長、第8護衛隊司令、護衛
艦隊司令部幕僚長、第3護衛隊群司令等。陸上勤務
として、内閣官房内閣危機管理室(初代自衛官)、
米中央軍司令部先任連絡官(初代)、統幕防衛課長
(初代)、幹部候補生学校長、防衛監察本部監察官、
自衛艦隊司令部幕僚長、舞鶴地方総監、横須賀地方
総監等を経て2016年退官(海将)。
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