────────────────────
ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
E-mail
hirafuji@mbr.nifty.com
WEB
http://wos.cool.coocan.jp
────────────────────
こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が出まし
た。今回はMP5です。
「MP5サブマシンガン」
L.トンプソン (著), 床井雅美 (監訳), 加藤喬 (翻訳)
発売日: 2019/2/5
http://okigunnji.com/url/14/
※大好評発売中
きょうもおもしろいです。
さっそくどうぞ
エンリケ
ご意見ご質問はこちらから
https://okigunnji.com/url/7/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
世界の秘密兵器(14)「手榴弾」(1)
Takashi Kato
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□トランプツイッター3月6日付
アメリカで政治の話をしているとしばしば出てくる
のが「大きな政府」と「小さな政府」。前者は「大
きな権限を持つ政府が、教育から医療、社会福祉、
企業の経営、果ては一般世帯の水使用量まで法律を
以て管理する」との考え方で、民主党の主張と重な
ります。
後者は「政府の役割は国防や治安など必要最低限に
とどめ、政府は企業や個人の経済活動には干渉せず
自由競争や個人の自制に任せる」との保守的視点で
す。共和党の立ち位置に近いと言えます。
この解釈に基づくなら、引退後の年金を給付する
社会保障制度(ソーシャル・セキュリティー)や65
歳以上の高齢者向け医療保険制度(メディケア)は
大きな政府が一括管理すべき分野のはず。ところが
民主党のバイデン候補は以前から、両制度の恩典縮
小や給付年齢の引き上げ、給付資格の厳格化を主張
してきました。
連邦政府の抱える赤字額を減らすためですが、ソ
ーシャル・セキュリティーとメディケアはタダでは
ありません。これらの制度は労働者が払う給与税を
財源としてきたのです。したがってバイデン氏の主
張は、納税者が長年の勤労で手にした権利をないが
しろにするものです。
今回のツイッター、トランプ大統領は、
「(有権者の権利である)ソーシャル・セキュリテ
ィーとメディケアはこれまでの3年同様わたしが守
る。活気のないジョー・バイデンが大統領になった
ら、これらの制度はすぐ台無しになる。しかもご本
人はそれに気づきもしない!」
と、社会保障年金や高齢者医療保険制度に頼らざる
を得ないブルーカラー労働者の権利を擁護していま
す。1972年に上院議員となって以降、政治家以
外の仕事に就いたことがないバイデン氏の経歴を念
頭に「労働者階級にとって、これらの制度がいかに
大切か分かっていない」との揶揄でしょう。
「小さな政府」を信奉するトランプ大統領がこれ
らの制度を尊重するのは、ひとつにはブルーカラー
労働者が氏の岩盤支持層だからです。しかしそれ以
上に、彼はアメリカが・・・若き不動産王として君
臨することを可能にした「自由競争と機会均等の国」
が心底好きなのです。そして、こよなく愛するアメ
リカの原動力が実体経済を支える「声なき大衆」で
あることを、このビジネスマン大統領は見抜いてい
るのです。
話は変わりますが、コロナ禍制圧作戦でトランプ
大統領が見せている決断力と指導力は、氏がワシン
トン政治の部外者であることを如実に示すものです。
国境なき世界、すなわち、人の行き来に寛容なグロ
ーバリズムの危険性をいち早く看破し、中国や欧州
連合諸国にアメリカの門戸を閉ざしたのは英断。新
たな感染者の流入を止めたうえで、国内の集団感染
に対処しワクチン開発に全力を注ぐ指針も正鵠を射
たものです。相手国の顔色を窺い、国内外の批判に
ぶれる旧来タイプの政治家だったら二の足を踏んだ
でしょう。
主流メディアはここに来て、コロナ禍が引き起こ
した経済パニックを「トランプ再選阻止の千載一遇
の機会」と捉え、視聴者に過剰な不安を与えている
ふしがあります。もちろん、誰一人免疫を持たない
新型ウイルスが危険なのは事実です。しかし、世界
人口が16億人だった20世紀初頭に大流行し、死
者数が1億人に達したと言われるスペイン風邪に比
べ、新型肺炎による死者は現在の総人口77億人中
5千人。中国や韓国、イランでは感染拡大のピーク
を過ぎたとの報告も耳にします。客観的視点に立て
ば、買い占めなどに走ったり、経済パニックを起こ
したりする必要はないことに気づくはずです。
対照的にドイツのメルケル首相らは「誰が何をな
し、何を為さなくとも、人類の70%がコロナウィ
ルスに感染し、人類の0.3%が死に、2年後に全
人類が免疫を得る」との見解を示しています。確か
に、麻疹(はしか)でも同じことが起こり、人類は
「集団免疫」を獲得したのでした。この読みが慧眼
だとすれば、この先数年は各自が衛生習慣を実行し、
体力と抵抗力の増強に努めることが肝心。体の免疫
力は精神状態によって大きく左右されそうですから、
連日のマスコミ攻勢にパニックを起こさず、努めて
前向きの人生観を保つことも大切です。
本日のトランプツイッター、キーワードはsleepy。
「眠い」「のんびりした」の他に「活気のない」
「最盛期を過ぎた」と言うような意味があります。
I will protect your Social Security and
Medicare, just as I have for the past 3 years.
Sleepy Joe Biden will destroy both in very
short order, and he won’t even know he’s
doing it!
(訳文は前出)
▼世界の秘密兵器「手榴弾」(1)
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。今回は手で投げる小型爆
弾である手榴弾を取り上げます。
子供の頃に見た戦争映画では、米兵が手榴弾をサス
ペンダーからぶら下げていました。キャラメルのよ
うな突起が全面に刻まれたMk2破片手榴弾、通称パイ
ナップルはいかにも武骨で強力。演出効果抜群でし
た。もっとも『ガントリビア99:知られざる銃器
と弾薬の秘密』(ゴードン・ロットマン著 加藤喬
訳 2016年)によると、米陸軍のリッジウェイ
将軍は野戦服に吊るした手榴弾がトレードマークだ
ったそうです。
後年、陸軍の基礎訓練で手榴弾の扱い方を習いまし
た。当時すでにパイナップル手榴弾は退役し、新型
のM67破片手榴弾になっていました。野球のボール
と見紛うM67は一見すると「非力」ですが、Mk2より
軽いので投射距離が延び、また、破片による殺傷半
径はMk2を上回る15メートルとされています。
今回のビデオでは手榴弾を「防御兵器」と解説して
いますが、兵器というモノは、使い方によって防御
にも攻撃にも使えます。基礎訓練では50メートル
ほど先の敵陣を2人1組で攻撃するシナリオ。パー
トナーがM16小銃で援護射撃する間に前進し、こ
ちらが弾幕を張っている間に相手が前進。これを数
回繰り返し、十分に接近したところで手榴弾をお見
舞いしました。
見通しがきかない市街地での掃討作戦では、敵が立
てこもる建物にまず手榴弾を投げ入れて突入兵士の
安全を担保しますが、これなども手榴弾の「攻撃
的」使い方でしょう。
逆に、味方陣地に突撃してくる敵部隊を阻止するな
ら殺傷半径が大きい手榴弾は極めて効果的です。敵
フロッグマンの接近を防ぐために、艦艇から手榴弾
を海中に投げ入れるのも「防御的」使い方です。
教材ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=r4Rwe-N8s_I&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=106
(手榴弾のイントロダクションは0:04から始ま
ります)
基本語彙 (カタカナ発音表示はおおざっぱなもの
です)
Iconic(アイコニック)象徴的な 代表的な
Defensive(ディフェンスィブ)防御の 防衛的な
シナリオ (2:15から始まります)
In the U.S. the iconic pineapple grenade was
an effective defensive weapon.
(アメリカの代表的手榴弾であるパイナップルは効
果的な防御兵器だ)
英語一言アドバイス: iconic iconは「肖像」
「聖像」「象徴」とか「崇拝の対象となるもの」と
言う意味です。Iconicは形容詞型で、今回のような
場合は「象徴的な」あるいは「代表的な」になります。
発音サイト: iconicの発音
https://www.youtube.com/watch?v=YKbEWRCogyE
参考サイト: 手榴弾
https://en.wikipedia.org/wiki/Grenade
(本サイトの日本語版に移行してください)
Mk2A1パイナップル手榴弾
https://en.wikipedia.org/wiki/Mk_2_grenade
(本サイトの日本語版に移行してください)
M67手榴弾
https://en.wikipedia.org/wiki/M67_grenade
(本サイトの日本語版に移行してください)
パイナップル手榴弾を野戦服に吊るしたリッジウェ
イ将軍(写真左)
https://en.wikipedia.org/wiki/Matthew_Ridgway#/media/File:Major-General_Ridgway_and_Major-General_Gavin.jpg
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃(近刊)』(いずれも
並木書房)がある。
追記
「MP5サブマシンガン」
http://okigunnji.com/url/14/
※大人気継続中
『AK-47ライフル』
http://amzn.to/2FVniAr
※大好評発売中
『M16ライフル』発売中♪
http://amzn.to/2yrzEfW
『ガントリビア99』発売中!
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633456/
『アメリカンポリス400の真実!』発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633405
『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
---------------------------------------
日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
----------------------------------------
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------
配信停止はコチラから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
----------------------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権はメー
ルマガジン「軍事情報」発行人に帰属し
ます。
Copyright (C) 2000-2020 GUNJIJOHO All rights reserved.